対面
あれからどれ程時間が経っただろうか?白い無の空間に閉じ込められてから。果てしない時間が経過したと思うが不思議と三大欲求は今まで沸いてこなかった。ただこうして上?を見て寝転がって時間を潰している。
「おい、プロトス。やっと揃ったぞ」
はるか昔に聞いたようなしわがれた声。俺をここに閉じ込めた張本人。その声は、感情を失っていた俺の頭の中に燃え上がる怒りを呼び起こさせた。
「何が揃っただ!そんなものはどうでもいい、ここから出せ!」
「ずっとボケッとしてるかと思えば急に怒りだして、お前ずっとここにいたせいで感情が変になってるんじゃないのか?まあ無理もないと思うが。なんせ20年間この無の空間にいたわけじゃからのう。」
「20年?お前人の人生を」
「まぁ過ぎてしまったことでそうカリカリすんな。お前の仲間が揃ったんだ喜べ。これでお前の力への欲求が満たせるぞ」
謎の声は俺の怒りの抗議を遮り冷静に言う。
「仲間なんて知らん。どうでもいい。元の世界に返せ」
「出でよ仲間たち!」
俺の懇願を無視して謎の声はそういった。
すると、4人の若者が現れた。
3人の男に1人の女。
俺と同い年くらいか?
いや、俺は20年ここにいるから彼らの約20歳年上か?
だが、この何もない空間に時間なんて概念はあるのか?
そうこう考えているうちに男の1人が目を覚ました。
「痛ってえー」
頭をおさえながら男は立ち上がる。
「何だったんだー?さっきのは」
筋肉質の普通程度の大きさの体に乗った意思の強そうな眉を持つ顔に不機嫌そうな表情を浮かべている。
「おい、君は誰なんだ?」
俺は彼の状況を無視して率直な疑問をぶつける。
「うわっ!誰だお前」
青年は急に声をかけられ驚く。
「こっちが先に聞いたんだ。君は誰だ?」
俺は落ち着いてしかし、有無を言わせない圧をかけながら聞き直した。
「人に聞くんならまずテメーが名乗れ!」
俺の圧は無意味だったようだ。しょうがない。ここで無理に彼を刺激して争うのはよくない判断だ。
「そうだな。まず俺から名乗ろう。俺の名はプロトス。これで俺が誰か分かるかな?」
「プロトス...聞いたことあるぞ。先代の勇者だ。魔王に負けた」
「少し訂正するところはあるが概ねあってるな。それで、こっちは名乗ったぞ。君は?」
「俺はイグニス。あんたの次の勇者であんたの代わりに魔王を倒してやった」
「そうか、君も魔王を倒したんだな」
「君も?あんたは負けたんだろ。だから俺らが勇者としてこの世に生まれたんだ」
「俺は奴に負けてない。勝った。しかし、奴の謎の光に吸い込まれここに閉じ込められている。そして今の君の発言でひとつ聞きたいのだが、俺らが、勇者とはどういうことだ?勇者は1人じゃないのか?」
「ああ、何故だか分からないが勇者は4人いる。皆はあんたが魔王に負けたから神様が保険で勇者を多めに召喚したんじゃないかといってる」
「それでその4人のうちの1人が君で残りが彼らということでいいのかな?」
俺はまだ意識を取り戻さない3人の方に視線をやる。
「多分そうだ」
「多分?なんなんださっきから君の話はー、確実なものが全然ないじゃないか」
「うるせぇーな。じゃあ断言するよあいつらが残りの勇者だ。人数も3人、容貌も話で聞いてたものと変わりない」
「じゃあ君と彼らが俺のなか」
「起きてる君たちも寝てる君たちも注目ー!」
俺の声を遮り忌々しい老人の声が空間に響いた。




