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一番目の勇者

俺はプロトス。世界の命運を背負ってる。しかし、その命運を賭けた相手魔王は今目の前で細切れになっている。あまりにも弱い。弱すぎた。つまらん。こんな程度なら勇者の俺である必要はなかっただろう。


「プロトス。貴様がここまでとは我の想定外だった。この我がこんなにも呆気なく倒されるなんて」


「その状態でまだ話せるのか、まあいい暇だから最後の言葉くらい聞いてやる」


「貴様。強さに餓えていないか?」

魔王はバラバラになった顔ににやりと笑みを浮かべる。


「は?何言ってんだてめーは」


「そのままの通りだ。貴様、強さに餓えているだろう。我を倒したときつまらないと感じなかったか?」

確かに感じたが、何故こいつにそれがわかる?


「何故わかるのか?と思っただろう。貴様顔にすぐでるタイプだぞ。我を刻んだときもつまらなそうにしていた」


「そうか、だからなんだ?それが最後の言葉でいいのか?」

俺はこんな奴に自分の欠点を見透かされた苛立ちから炎魔法で消滅させてやろうかと奴に向かって構える。


「おいおい、そう急ぐな。まだ話しは終わってない。貴様は強さに餓えている。合っているだろ?それだけ話せ」


「そうだ」

俺は奴が何か企んでいるのではないかと警戒しながら言った。


「よくぞ言った!ならば、我の主と戦う権利を貴様に授けよう!」

なんだ?急にテンションが上がって。それに我が主ってなんだ?お前が親玉なんじゃないのか?

次々と疑問が沸いてきて整理がつかないこちらには、お構いなしに奴は次々と話し始めた。


「では、貴様をこれから招待しよう。我が主、神の元へと。しかし、条件がある。貴様一人では無理だ。仲間が必要だ。どうしてもというなら考えてもやらんが絶対に勝てない。やめておけ。さあ、どうする?」

魔王は不敵な笑みを含んだ顔でこちらを見つめる。

頭の中では本能が今までにない程に危険信号を発しているが、強さに餓え、渇いた心とで葛藤が繰り広げられた。


俺は葛藤の末に答えを出した。

「そんな申し出引き受けない」


「な、何故だ?」

俺の返答が予想外だったのか魔王の顔に戸惑いが浮かぶ。


「俺はあくまで勇者だ。己の欲望を満たすために戦うのではない。世界に平和をもたらすために戦ってきたんだ。お前という悪の存在を倒した今、より凶悪な存在をこの世に召喚しようだなんてあり得ない」


「そうか、プロトスよ貴様は勇者として正解だ。褒美として招待しよう。我が主の元へ!」


「おい、てめー言ってることとやってることが違っ」


「魔王の我が貴様の言うことなど聞くわけないだろう。だが安心しろプロトスよ我が主は人間に害はなさない。そして、貴様以外の挑戦者もこちらで用意しておく。彼らがたどり着くまで落ち着いて待つがよい!」

奴は恍惚の表情を浮かべるとバラバラになっていた体が元に戻った。

そして戸惑いで動けない俺に手をかざしてきた。

かざされた手からは、淡く白い光が発せられていた。

その光に吸い寄せられるようにして俺の意識は、何処かへと消えていった。

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