三番目の勇者
俺はサクスム。勇者だ。三番目の。前の二人は俺よりも強かったらしいが魔王討伐を果たしたと思えば忽然と姿を消した。そしてその討伐されたはずの魔王と俺は対峙している。俺は本来ならば戦わなくてよかったのに。
「次の勇者もか、我を見るなり硬直しおって。そんなにまれが恐いか?」
魔王は10メートルはあろうかという大きな体躯に乗せられた小さく気持ちの悪い顔に笑みを浮かべる。
「そりゃ恐いさ。俺よりも強いと言われてた勇者がお前を倒した後に姿を消してるんだ。得体の知れない恐怖って言うやつだ」
「そんなに高評価してくれるとは嬉しいね。無駄話は手短にして始めようか」
奴は2本の両腕を伸ばし俺につかみかかろうとする。
こいつ本当に魔王か?遅いぞ。
疑問を抱きつつも隙だらけの胴体に向かって俺は拳を放とうとしたがやめた。
魔王と取っ組み合いしてみるのも面白そうだ。
そう思い。魔王の両腕を受け止める。
でかいだけあってさすがにパワーはあるな。
奴の圧倒するパワーに押されて足元の床が削れる。
だが、これでどうだ。俺は握る拳に渾身の力を込める。するとあっさりと魔王の拳は砕け散った。
「グッ。なかなかやるな勇者よ。三人目ともなると大したことないのではないかと侮っていた。詫びよう。」
その瞬間魔王は大きな足でおもいきり地面を叩きつける。
衝撃で足元がふらつく。
「どうだ?勇者よ次に隙を見せたのは貴様だな」
ふらつく俺の胴に奴の足がめり込む。
内臓が圧迫され悲鳴を上げる。
勢いのままに俺は壁に叩きつけられた。
壁に叩きつけられた左手足には、力が入らない。
ヤベーしくじっちまったかもな。最初にあの時素直に隙をついてれば。
「もう終わりか?勇者!」
奴は拳のなくなった両腕を最初と同じようにこちらへ伸ばしてくる。
バカか?こいつと内心呆れつつも俺は動く右側の腕で渾身の突きを奴の隙だらけの胴体に放った。
「良くやった」
と謎の褒め言葉を口にすると奴は後ろに倒れ込んだ。
「良くやった?どういうことだ?」
「我が主よ三人目の勇者です。どうぞ御堪能あれ!」
俺の疑問を無視してそういうと奴は砂のように消え去った。
何だったんだ?最後のは?消えない疑問を頭に残しつつも俺は用のなくなったこの場から出ようと扉を開く。
「なんだこれは...」
目の前には真っ白に包まれた空間があった。
俺が来た道とは違う。
本能的に危機を感じ取った俺は急いでその場から逃げようとするが、どうやら遅かったようだ。
視界が真っ白に包まれる。




