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俺は剣を握る手に力を込め神の元へとゆっくりと近づいてゆく。

「来い、プロトス。わしもお前に決めてほしかった」

神は今までのおどけた様子と異なり穏やかな表情をしていた。

「これから死ぬってのにずいぶん落ち着いてるな。まぁそれがお前の望みだもんな」

「プロトス、お前もずいぶん落ち着いているじゃないか。わしを殺せばこれから世界が終わる可能性があるんだぞ」

「お前のせいで俺の人生は終わったようなもんだ。それを新たに始められる可能性があるなら俺はどんな手段でも取る」

「そうか、お前を作ってよかったよ」

神は穏やかな笑みを浮かべる。

俺は神の間合いへと入った。

いつ奴が攻撃を仕掛けてくるか緊張のまま静止した。

しかし、神は微笑を浮かべたまま何もしてこなかった。

「固まってどうした?警戒しているのか?わしは何もせんぞ」

「は?」

「お前に全てを委ねる。さあ来い、プロトス」

そう言うと神は両手を広げ無防備な状態を曝した。

「本当にいいんだな?」

俺は予想外の神の対応に戸惑ってしまう。

「よい、言っただろう。わしは死にたいんだ。もう無駄な戦いはしない」

「そうか、じゃあ覚悟しろよ、いくぞ!」

俺は剣を構えると渾身の力を込めて奴の胸に剣を突き刺した。

奴の皮膚は今までに感じたことが無いくらい異常な硬さを持っていた。

まるで岩に剣を突き刺しているような気分だ。

奴の胸の中を剣が進んでいく感覚が鮮明に腕に伝わる。

奴は胸に剣が刺さっているというのに微笑を浮かべたまま微動だにしない。

不思議と血も出てこなかった。

剣を進めると何か硬いものに当たった。これが心臓だろう。

これを貫けばやっと終わるんだ。

そう思い限界を超えて力を込めた。

あまりの心臓の硬さに剣の先が削れる感覚が伝わってくる。

しかし、負けずに力を込め続ける。

すると少しずつだが剣が心臓に食い込んでいく感触が伝わってきた。

これで終わる。終わるぞ!俺は喜びで興奮が最大になる。

神も興奮してきたのかそれとも苦しいのか微笑を浮かべる顔が紅潮してきていた。

ブツリと心臓が弾ける感触が伝わってきた。

「プロトス、よくやったぞ!これで終われる!やったぞー!」

神はそう言うと糸が切れた人形のように後ろに倒れこんだ。

白い空間は静寂に包まれた。

俺は神の元を後にし、二人の元へと戻る。

「本当にやったんだな」

サクスムがこわばった表情で言う。

「や、やってしまったんですね。」

フローラが震えながら言う。

「これでよかったんだよ。何も起こらないじゃないか。じきに俺たちは元の世界に戻されるはず」

俺が言うと鼓膜が破れそうなほどの轟音が響き地面が揺れ始めた。

そして空間の白い領域がどんどんと黒くなってゆく。

「やっぱりだめだったんじゃないですか!おかしいですよ!」

フローラが涙目で叫ぶ

俺も異様な空間の雰囲気に戸惑ってしまう。

サクスムが神の元へ走り出す。

「おい神!これはどうなっているんだ。どうすればいいんだ!」

サクスムが焦りながら叫ぶが神は反応しなかった。

黒の領域が神とサクスムに迫る。

「サクスム!逃げろ!」

俺は叫ぶ。

サクスムは迫りくる領域に気づきこっちに戻ってくる。

しかし、ここにも黒の領域は迫って来ていた。

神は領域に飲み込まれ見えなくなった。

そして領域は俺たちの目前にも迫って来ていた。

「誰か助けてください!」

フローラが叫ぶがその声は誰にも届かなかった。

そのまま俺たちは抵抗することもできず黒の領域に飲み込まれていった。

しかしなんともなかった。

「おい皆、生きてるか?」

「プロトスさん?俺も無事です」

「わ、私も無事です」

なんだ死ぬわけじゃなかったんだな。

俺は炎で空間を照らした。

緊張で張ったサクスムの顔、涙で濡れているフローラの顔が現れた。

だが、その様子は異様だった。

ガラスにひびが入ったように彼らの顔にもひびが入ったような線が走っていた。

「君たち。その顔どうしたんだ?」

俺が聞くと

「プロトスさんあんたの顔こそ」

とサクスムが返してきた。

「な、なんですか?二人とも顔がおかしいですよ。やっぱり駄目だったんだ」

フローラは泣きながら恐怖のためか顔を押さえ始めた。

その瞬間鼓膜を突き刺すような音が響いた。

すると空間、サクスム、フローラがひびを起点に砕けた。

どうなってんだ......そう思うと俺の視界は複数に割れ、暗闇の中に溶け込んでいった。

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