対話
「しかし自分の力ではどうにもならなかった。そこで何とか知恵を振り絞り、人間の力を借りようと結論付けた。ただ、普通の人間では駄目だ。何か使命を背負った人間でなければ。わしはこの世界を作った時、必ず純粋な正義が悪に勝利するように作った。ならばわしが悪になり正義の存在に成敗させればよいと思った。そこで作ったのがお前ら勇者だ」
神は淡々と語った。
「何故神であるお前がそもそも死にたいなんて思うんだ?」
俺は最初の疑問を聞いた。
「それは孤独と終わりのない義務だ」
「孤独と義務?」
「そうだ。誰もいない空間でただただ世界を形成し続ける。最初の頃は自分だけが特別な存在であるという優越感に浸りながら義務を全うしていた。しかし、時が経つと共に終わりの見えないこの作業に嫌気がさしてきた。いつ終わるのか?そもそも自分は何によって作られ何によって終わりが訪れるのか?考えれば考えるほど気がおかしくなりそうになる」
神の苦痛が語られた後、しばらくの沈黙が訪れた。
「聞けば苦しむのも無理はない話だが、本当に俺達じゃないと無理なのか?例えば我々としてはやめてほしいことだが、世界を終わらせるとかしたらどうなんだ神ならできるだろ?神として統治すべき世界が無くなればお前も必要なくなる。そうすればお前も役目を終わらせることができるのではないか?そうであれば、もう手遅れだが俺達は悪となったとはいえ苦しむ物を討伐なんてしなくて済んだ話かもしれない」
サクスムが沈黙を破った。
「それはもう試した。わしは世界を四回終わらせている。今は五回目の世界だ」
再度沈黙が訪れた。
長い沈黙の後神は再び口を開いた。
「そういうわけで、お前らには悪いがわしを討伐してもらう」
俺の中で一つ疑問が浮かび上がってきた。
「待て、一つ聞きたいことがある。俺らがお前を倒したら世界はどうなる?終わるのか?それともそのまま続くのか?」
「試してみないことには分からない......としか言えないな」
神の顔には今までのような笑顔は張り付いていなかった。




