幸せのギフト(ウタほたるのカケラ〈US〉出張版【サイズS】第7iS片)
そういう手紙、もらったことはありません。
それは突然、彼女のところに贈られてきた。
差し出し人は、しばらく会っていない従姉妹からで。中身はハムや佃煮など、ありがたい食品の詰め合わせだった。
問題は同封されていた、この紙。
【これは幸せのギフトです。
贈られたひとは、できれば1ヶ月以内にほかのふたりにも贈ると、贈られたひとは幸せになります】
ご丁寧に、そのふたりへ同封するぶんの同じ紙が2枚と、贈るギフトの中身を選べるカタログまで入っているではないか。
なんか昔、こんなような手紙がはやったなあと思い出しつつ。ギフトはありがたくいただくが、ほかのひとに贈るかはどうしようと、彼女は迷うのであった。
「やっぱり、効果はいまいちですよ課長」
この【幸せのギフト】を立ち上げた、某会社の企画課ではその効果が疑問視されていた。
「ほかの何人かに贈らないと不幸になるとか、幸せになれないってのならわかりますけど。
贈られたあいてが幸せになるだけなんて、ふつうのことじゃないですか!」
部下に詰め寄られた課長は、眉を吊り上げながら答えた。
「いくら、昔の都市伝説をヒントにしたとはいえ、そんな脅迫めいた文を突きつけられるもんか。
それに、贈られたあいてが幸せになることが、ギフトの最大の魅力だろう?」
業績不振から、起死回生を狙った食品会社のギフト戦略。
新たな都市伝説を生むには、どうやらそうとう厳しそうに思えたのだった。




