神様おねがい、絶対助けないで
別の小説を書いていたのですが、アイデアが浮かばず、色々考えていたら、こんな小説誰も読まんわと思ったら、頭がリフレッシュ出来たので書いてみました。
場所は、異世界。それは剣と魔法の世界。
主人公は、ショウタ 15歳。
貧しい名も無い村生まれのショウタは、早くに両親をなくし、天涯孤独の一人っ子。
ショウタは、誰にも言わないが、異世界転生した日本人なのだ。
温和で事なかれ主義的な人間だったのもあり、誰を憎むこともないが、好かれることもない性格。
日本では、16時間労働土日休み殆無しの超ブラック企業で10年勤め、過労であっけなく死んだ。
せっかく転生できたので、好きなことを見つけ、ゆっくりスローライフを送ることにした。
この世界では、みんな女神アフロディテの敬虔なる信者だ。一神教であり異教徒は迫害粛清される。
俺は宗教感のない日本人、敬虔な信徒にはなれないが、そこは逆に日本人、敬虔なフリはお手のものだ。
お葬式で南無南無してたら右へならえの忖度社会人だ。
この国では、15歳になると女神アフロディテ様からスキルを授かる。授かる場所は神殿だ。
薬師のスキルを授かれば薬剤師に、鍛冶を授かれば鍛冶師になる。
剣士や魔法を授かれば冒険者か騎士になる。
授かったスキルで職業がほぼ決まる世界なのだ。
無もなき村に神殿はないので、ショウタも近くの”始まりの町”にスキルを授かりに来た。
”始まりの町”は人口5000人くらいでこの世界では中規模の町だ。
門番から神殿の場所を聞き、早速スキルを貰いに行く。
ショウタの狙いは、農民だ。
家には、父母が残した畑が有る。生きていくには大変だが、農家だけに食うのはなんとかなるし、作物を育てるのは大好きだ。
いつかは、可愛いお嫁さんを貰って、子供と一緒に畑を耕すのが、俺にとっては大きな夢だ。
神殿に着くと、50人くらいの同い年と思われる集団が並んでいた。
貴族の人たちは、別枠らしくこちらにはいない。
暫く待っていると神殿の扉が開き、順番に中に入っていく。
神官が頭に手を置き、授かったスキルを大きな声で読み上げる。
「あなたのスキルは、剣士です。冒険者か騎士にお成りなさい。 はい次の方ー」
この世界に個人情報保護は無い。皆に職業はバレバレだ。
・
・
「あなたのスキルは、聖騎士です。これは素晴らしい。国の騎士団に紹介状を書きますからお待ちなさい」
俺の前で中断されてしまった。
・
ついてねー。こういう事は、誰でも経験する。俺の後ろならいいのにと思ってしまう。
こういう時に、今日はいつもと違う、ワンちゃんあるかもと思う人は、ギャンブル依存症になり易いのでご注意を(そんな悪友がいます)。
神官が帰ってきた。
いよいよ俺の番だ。気を取り直して、女神像にお祈りのポーズ。
農民が出ますよーにー。アイメーン、南無南無、何妙・・・・・
・
「あなたのスキルは、八百万の神です。八百万?・・・・・ちょっとお待ちなさい。」
神官がぱたぱた走っていった。
何だろ、八百万の神って、お酒好きの大きな蛇倒すとか、天ノ岩手県にお隠れ、かしこみかしこみ・・何とかだっけ?あま、あまて、あまでらへ行け、かな。
駄目だ、日本神話なんて真面目に聞いてないから、みんなとヘラヘラしながらディスった記憶しかない。
・
<暫くして>
「衛兵、この者を捕らえよ」
は?なんで俺捕らえられちゃうの。
俺は二人の鎧を着たオッチャンに両腕を持たれ牢屋に放り込まれた。
痛てて、乱暴に放り込みやがって。何なんだよ。
それから、翌日の朝となった。
俺は、貼り付けにされ、周りには多くの薪が積まれている。
紫色の変な衣装を着たオッチャンが大衆に向かってなにか言ってる。
「このものは、この世界を滅ぼそうと企む邪神の使徒である。ここに滅し侵略を阻止するものである。松明に火を」
始まったばかりで、終了イベントってどういうことだよ。
俺は思わず叫ぶ。
「俺は、農民だ。そんな事あるわけ無いだろ」
「皆のもの、耳を傾けるな。邪神に洗脳されるぞ」
みんなは、耳を塞ぎ、”邪神を殺せ!世界を守れ!”と物凄いシュプレヒコールが怒涛のように合唱される。
松明から薪に火が付けられ、俺の周りは火の海だ。
おかしいだろ。スキルを授けたのは、女神様だろ。女神様が邪神のスキルを授けるわけがないだろ。
ふざけんな。助けろよ。神様助けろよ。こんなスキル授けてどうしてくれんだ。
必死になって願った。
神様、早く助けろ!
曇天の空から物凄い光が降り注ぐ。雲を分け光の柱が地面に突き刺さる。
世界の全てが光だし、目も開けていられない。段々温度が上がりだした。蒸発する湯気が立ち始める。
・
またまた状況切り替わり、今度は、真っ黒な雲が世界を覆う。雲の上には未だに光が降り注ぐため、視界は普通となった。
その黒い雲の中から大きな龍が首を出し、こちらに向かってきた。
胴体は水のように透明だ。それを皮切りに大雨が周りを襲う。
どんどん向かってきたが、あまりの大きさで遠近感が分からない。
眼の前まで来てもまだまだ胴体は雲の中にあり、大きさが何十キロなのか何百キロなのかもわからない。
今までいた大衆は、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
火はどんどん消えていった。
眼の前にいるのだが、顔の大きさが何百メートルあるのかも大きすげて分からない。
大量の薪の炎が消え、煙がモクモクと昇っている。
その煙が、すーっと前に吸い込まれた。その瞬間
「ぶわっくしょーーーーーーん」
物凄い大音量で物凄い爆風が起こった。
俺はどういう原理か分からないが、磔から落っこちて地面に立っていた。
「すwっわwっwんんんんーーーーーーーーっっっけーーーーんんんんんっっっむう・・」
喋っているのか吠えてるのかハウリングが酷くて全く分からない。
俺は思わず突っ込んでしまった。
「デカすぎて、何いってんのか、全くわかんねーよ」
龍は納得したのか、顔だけが、すーーーーーーーっと小さくなり、10mくらいの顔になった。
「すまん。煙を吸ってクシャミをしてしまった。この季節アレルギーが酷くて敏感なんじゃよ」
周りを見ると、町は無くなり更地になっていた。
5000人が住んでる町が一瞬で更地に・・・・・・・・・
「わしは大天白龍、水神じゃ。お主、あまり真剣に助けを呼んではならんぞ、お館様を宥められたから良かったものの。もう少しで・・・いろいろ危なかったぞ」
いろいろ危ないってなんだよ。説明されなきゃパンピーに分かるわけねーだろ。
とにかく、神様に逆らっちゃいけない。
触らぬ神に祟りなし。
神がいるから人が存在するんだから、町が無くなっちゃたのは、神罰なんだわ。
全ては神の思し召しってやつなんよ。
神様怖えーよ。とにかく粗相したら、今度は宇宙まで飛ばされちゃう。
「へへー、この度はお助け頂き誠に誠にありがたき幸せに存じ奉りそうろうかしこみかしこみ申し上げますー」
「バカにしとるんか、何だかうざい奴じゃ、ところでお主、なぜ助けを呼んだ」
うざいとか言われた。フランクにいかないと神罰のおかわり貰っちゃう?
「火炙りにされていたんです。死にかけるとこでした。ありがとうございます」
「あんな、小さーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーな火で?」
「普通、人間死にますよ」
大天白龍は、よーーく考えた。
「良いか、お主は、凄ーーーい神に好かれておる。
お主がもし焚き火程度で助けを呼ぶのなら、大道芸人が笑わせるじゃろ。あはははと。
あんな感じで、リラックスしながら、”あはは、神ちゃんお助けよろー”くらいで呼ぶんじゃ。
もう少し危なそうな場合は、先輩が後ろから”よっ、今日はいい天気だな”とぽんと肩を叩く感じで、”よっ、かーみ助けちゃって”くらいの感じで呼ぶんじゃ。
よっぽど強敵が現れた時のみ感情を込めずに”神お助けね”くらいじゃ。分かったか」
全然分かんねーよ。
「ははー、肝に銘じまして、末代まで語り継ぎまするーー」
そこは、空気の読める日本人だ。
・
「はっはっはー、それでは、さらばじゃー」
神は去っていった。
しかし、助かったのはいいが、「腹へった」。
もう町はない。周囲数キロが更地になって草も生えていない。
はー、仕方ない。王都に向かって歩いて行こう。
途中で樹の実や魚を探して食べながら、王都への道を歩いていると、空を黒い塊が渦巻くようにこちらに向かってきた。
”ズドーーン”
地面に勢いよく何かが落ちた。
翼を広げると横幅20m、体高10m以上。それは、大きな黒い竜だった。
「われは、世界最強の邪神 暗黒竜、この世界で敵うものなし、生きていたくば問に答えよ弱小の人間。
この辺で大きな神力を感じた。しかし今は感じぬ。
だが、お前には強い神力がこびり付いておる。
この神力の持ち主、捕まえて我が喰らい尽くしてくれる。
何処に居る?早く答えよ」
こういう上から目線の奴は、居ませんなんて答えるとキレるんだよな。
自分の都合のいい答え以外受け付けないからな。
俺は、いい加減な方向に指を指し。
「何かが来ると、ビビって向こうの方に逃げていきました」
「はっはっは、さもあらん、さもあらん。われに臆して逃げおったか。
では、追う前におまえを食らってやろう。神力付きで美味そうだ。われの血肉になる事を誇りに思え」
おにぎりの海苔が美味そうみたいに喋るんじゃない。
暗黒竜がこちらに迫ってくる。
水神様に比べると超ーーー小さいけど、最強って言ってるし普通に呼んでいいよね。
「神お助けねー」
「わっはっはっは、これは愉快愉快、われは神でも邪神、助けるご・・・・」
その時、空から大きな?なんだ?
”ドン!” ”ぷちっ”
大きな足?
邪神さん大きな足に踏まれちゃったけど大丈夫かな。
今”ぷちっ”て言ってたし。
上を見上げるが、足が天からニョキッと出ているだけだ。
暫くすると、大きな足は一気に縮み、10m程の人型の生き物になった。
「おら、でいだらぼっち。呼んだか?」
「はい、お助け頂きありがとうございます」
「何もしてねーけど、いいだか。」
「先程、襲ってきた相手は、神様の足で踏まれていなくなりました」
徐ろに、でいだらぼっちは足裏を見た。
「ああー、おらの足にチッチャイ染みがー、Gだな。踏んだかな踏んだだな、病原菌もってたらどうしよう。ばっちいの飛んでけー」
でいだらぼっちが小さくなると暗黒竜も強制的に縮んだようだ。
でいだらぼっちが足をブンブン振り回すと黒いシミはどっかへ飛んでいった。
「おら、潔癖症だで、呼ぶ時は、清潔な所で頼むだよー」
そう言いながら、でいだらぼっちは、空へ帰っていった。
へー、神様から見たら邪神てGなんだ。 人間界でもGは悪者扱いされるもんな。
それよりも、軽〜く呼んだだけで、世界最強を瞬殺しちゃ駄目でしょ。
もっと小さーーーーーい、人間サイズの神様はいないんかい。
それから、王都へも後少しに差し掛かると、鎧を着た兵士に囲まれた。
「お前は、何処から来た」
「えーと、名もなき村から来ました」
「こっちに、黒いおぞおぞしいものが飛んでいったはずだ。なぜ、お前がいる」
なぜいると言われて何と答えればいいのか。
会ったら死んじゃうぞ、お前なんで生きてるんだって事かな。
「いえ、そのような黒い竜は見ておりません。樹の実や魚を採りに道を逸れた時にでも通ったのでしょう」
「ほほう、黒い竜とな」
しまった。誘導尋問に引っ掛かった。やりやがったな。
ーーーいや、あんたがただの間抜けですーーー
「連行しろ」
「いえ、竜かなーって思っただけですー、信じてくださいーーー」
俺の話は、無視され本部へ連行された。
王都からさほど遠くない草原に多くのテントが立っていた。
ここは、王都軍本部駐屯地。その人数常時1万とも2万とも言われ、異変があれば各方面に派兵されれる。
後ろ手に縛られた俺は、駐屯地中心の平原で膝を地面につかされた。
本部統括の将軍と近衛兵50人による尋問を受けた。
「さて、お主は、なぜ邪神、地上最強の暗黒竜を見て生きておる。いささか強そうにも見えぬが」
「いえ、竜かなーって思っただけです、信じてください」
「よいか、黒い霧が暗黒竜だと知っておるのは、ごく一部だ。偶々目撃して助かった者の話で、この国の話ではない。出逢えば皆死んでしまうので、一般市民は知るものはおらん。嘘をついても何も変わらんぞ。早く話してしまえ、お前は邪神の手下であろう」
「わたしは、邪神の手下ではありません。ただ黒いものを見ただけです」
あの竜の置きみやげかよ。シミのくせに。
「最初は、竜は見ていないといい、今度は黒い霧は見たという。そんな輩を信じる阿呆はおらんぞ。
喋りたくないなら喋りたくするしかないのう。
尋問官、懇切丁寧にじっくりじっくり聞かせてもらえ。よいな、じっくりコトコトだぞ」
いやだー、じっくりコトコトされたら、いい出汁が出て、美味しくなっちゃう。
「ふえふえふえ、閣下、誠心誠意任務遂行致します」
何だこのジジイは、ごっついハサミ持って何する気だよ。
俺は、縄を解かれた。屈強な熊さんみたいな兵士によって、台の上に右掌を押し付けられた。
もの凄い力で押さえられ右手は1ミリも動かせない。
そこにハサミがすーっと、俺の薬指を挟んだ。
「小僧、これから9本の指をゆっくり”ちょん”するから気持よーくなるんだぞ。大丈夫、大丈夫、9本落とすまで何を言っても続けるからな。もう二度とお箸は持てないから、お口から直接食べる気持ち、後で教えてけれや。まずは」
やばい、やばい。
「何でも良いから、早く早く、神様助けて!」
”キュイーーン、キュドン!”
周囲20mが吹っ飛んだ。地面がゆらゆら揺れている。空間が歪んでいるような。
だんだん、揺れも収まってきた。
そこには、3mくらいの鎧武者が立っていた。
よかったよー、普通に超大きい人くらいに見える。
「ちっ、優しーく着地したのに、もう少しでこの世界、弾け飛ぶとこだったぜ」
なんか、話がヤバそーな神様だな。
「おい、お前、執事の白じじーに、助けをする時の仕方を教わっただろ。早く早くっていったから俺が割り込んで助かったが、必死に助けを呼ぶから姉貴が出てきそうだったぞ。気をつけろよ」
しろじじーは、大天白龍 水神様だよね、大天白龍神って執事なの?。
「すみません。お名前をお伺いしても宜しいですか」
「おれは、スサノオだ。それよりこの弱っちい世界の神は誰だ」
え?聞いたことあるぞ、アル中の蛇を締めた人だ。
「女神アフロディテ様です」
ごそごそと懐から携帯をだした。
「おい、ツクモ 女神アフロディテを調べろ。なぜかって?舞い降りただけで世界が崩壊しそうでな、違法建築の疑いがある」
ツクモの携帯、ツクモ、・・・付喪神?
「ふん?ふんふん、俺の部下のそのまた部下のそのまたまた部下のそのまたまたまた部下の・・・・・・(途中略)・・・・・・の臨時、非正規神?正規じゃないのか面倒な事になりそうだな。とりあえず、建築調査課に調査させろ」
ふー、と息を吐き、
「ところで、何から助けて欲しいんだ」
そこに、槍を持った兵士が、”そりゃー”とスサノオに槍を突き刺した。
”ポキッ”と音がして茶色い柄だけが残った。それを見たスサノオは、
「ん?われ、ごぼうをくっつけたら土で汚れんだろうが!」
スサノオが怒った瞬間、雷鎚が無数に天から降り注ぎ、辺り一帯に落ちた。
”バリバリバリーーーーー”
音が止むと、辺り一面、全ての兵は消し炭になった。1万以上の人間だったものがまだプスプスしている。
スサノオは都会っ子の潔癖症だった。
消し炭にスサノオが語りかけた。
「おのれら、今度やったらただでは済ませんぞ」
早くご退場願いましょう。二度と合わないことを神に助けを求めそうになります。
「助けて頂き誠にありがとうございました」
「俺は忙しいんだ。困って無いのに呼び出すなよ。それにあんまり気持ちは込めるなよ」
もう、早く帰れよ。二度と来んな。
「へへー、肝に銘じ末代まで語り継ぎまするー」
スサノオは、帰った。
この世界の女神は、どうも不良物件の世界を掴まされたらしい。
可哀想に、悪い知り合いとかいないよね。
とにかく、王都へ行こう。
この道を通って門に辿り着くとまた難癖つけられそうだ。
あの天の雷鎚を見たな、お前は、なんたらかんたら・・・・と。
森の中を通り、別の門から街に入った。
なけなしの金で飯は食ったが、もう金が無い。貧乏人だから仕方がない。
裏路地で寝ようとしたら、「おい、金を出せ」
「お金なんてないから、裏路地で寝ようとしてるんですけど」
「じゃあ、着ているものを脱げ」と小さな刃物で脅してくる。
逃げようにも路地の前と後ろを塞がれ、逃げるに逃げられない。
仕方ない助けを呼ぶか、えーと、ヘラヘラ笑いながら呼ぶんだっけ。
その時、光の柱が天から降り注ぐ。
強盗たちは、光を浴びると和やかな顔になりふらふらとその場を離れていった。
おおー、慈愛の神様っぽい。
でも、助け呼んでないんだけど。
天から、白いワンピースを着たいかにも神様っぽい人が降りてきた。
「わたしは、アフロディテ。この世界を守る神です。」
神はブロンド、顔は神々しくも童顔な綺麗な子かな、スタイルは、まあスリムな凹凸なし。
なんか、女神様って”ぼっきゅっぼん”ではないんだな。
いきなり、彼女は土下座してきた。
「すみません、どうか神様に助けを呼ばないで下さい」
いやいや、貴方が授けたスキルでしょ。
「あのー、私もあまり使いたくは無いんですが、別に女神様から頂いた大事なスキルですから嫌じゃないですよ。ただ、有能なスキルを授かり申し訳ないとは思うんですが、自分には持て余すと言うか、ちょっと凄すぎるというか、その使えないんだったら交換して頂ければ幸いです。希望は農民なのでよろしくです」
いやー良かったよ。女神様から使用禁止が出て、これで交換できるな。
過去にも神殿で交換できた特例あるもんな。良かったー。
こんな心臓に悪いスキル止めて欲しい。女神様も忙しいからきっと間違っちゃっただけだろうし。
「出来ないんです。そのスキル私が授けたスキルじゃないんです。
私の授けたスキルは、農民でした。
それを上書きというか、木っ端微塵に消し飛ばされたというか、とってもとってもとってもとっても凄ーい神様のお授けになったもので、私の力ではどうしようもないのです。
そのスキルの出処は、口が避けても言えません。
言ったらきっとその瞬間に私消えます。消されるんじゃないですよ。全自動瞬間自然消滅です。」
凄いな、洗濯機と湯沸かし器を融合したような自然にやさしいよとさり気なくアピールして消滅させるとは、さすが神。
「しかし、そんな偉い神様が、勝手に他の世界の人間にスキル授けちゃうんでしょうか」
「これは、太古の神話のお話ですが、神界で創造神が世界を創生する最、自身の力不足もあり、色々な物凄い神様に協力してもらったそうです。
そして、世界が幾つも創り出されると、人類が滅亡する世界が出はじめて。
その時、人類を創造した凄い神様が、人類が危機に陥った際、人にスキルを授けたのですが、一撃で生き物を根絶やしにしたり、星自体パンチで割っちゃたり、とにかくメチャクチャにしちゃったんです。
物凄い神様にとっては。鼻くそ飛ばしたようなスキルでも、とんでもない事になるので、創造神は困ってしまって、でも創造神など蹴り飛ばしただけで消滅させちゃうような存在に逆らえず、仕方なく、下っ端に賄賂を送り、酒池肉林で籠絡させ、段々と上位神に食い込みながら何万年もかけて今の仕組みにしたそうです。
その仕組が、八百万の神様が1年に一回、投げたい神100人が投げてスキルを与えられる方式です。
与え方は、神界からダーツでスキルを投げるという方式というかお祭りというか儀式をすることです。
このダーツが肝でして、スキルは神力の強さで能力の大きさか決まります。ダーツは、小さいのでどんな神様でも神力を込められる量は決まってしまいます。
物凄ーいスキルをそのまま人間に与えると爆死します。与えるには、神様が人間に接触して直接与えなければなりません。人間の器を守りながら付与する必要があるからです。
ですから、貴方が凄ーーい神様からスキルが付与されたのを気にしていなかったのです。
スキルもただの伝言スキルで、ちょっと違うのが神界まで微弱に届くくらいなんです。
神界の上司に問い合わせたら、スキルを投げたのは、物凄ーい神様の頂点に君臨する超物凄ーい超神様でした。この方は、大変な引き篭もりなんですが、近頃、日本のライトノベルにハマっていて、冒険者を助けて、「しょうがないなー、私が一緒じゃないとダメダメじゃん」と一緒に旅に出ようと企てたそうです。
その超神様が”天ノ岩戸”の上にアンテナ立てて電波ジャックしているようで、貴方が”助けて”と叫ぶと探知するそうで、即助けに入ろうと虎視眈々と狙っているそうです」
ちなみに、超神様の決め技はファイアーボールで倒す。決め台詞は「初級魔法ですが、なにか?」だそうだ。
なんだ、伝言するだけのスキルかよ。
俺、農民だし、冒険する気はないし、
「では、頂いた神様に助けを呼んで取り消してもらいます」
あれ、女神ちゃん目からケチャップ出してる。神様って器用だな。
「ぞでだげは、絶・絶・絶対勘弁じで下ざい。
神界でのその神様の行動は、神話となるほどの神様です。
お越し頂いただけで、この世界は一瞬で消えます。
この世界に残るのは、超物凄ーい超神様と貴方だけになっちゃいます。
今は、周りの凄ーい神様たちが、ギリギリ阻止してくれてますけど、何時まで阻止できるか・・・」
神界で神話って、人間だったら、人間界で人話って意味だからね。唯のおしゃべりだよ。
女神様、今の世の中、貴方に都合良く解釈してくれる人少ないから。
それに、二人だけの世界みたいな言い方だな。スサノオ様も姉って言ってたし、美人さんだったら冒険者になるのもいいかも、二人は見つめ合い、二人だけの世界で・・・・いやいや世界が無くなる?
「世界が無くなるって、来るだけで?」
「正しくは、来る途中でです。
その神様は、太陽の化身です。
眼の前に太陽来たら、どうなるか分かりますよね」
あれ?決め技がファイアーボールって、太陽がファイアーボール?考えるのは辞めよう。
「ひょっとして。アマ「!アーアーアッポッポウ?」ミカミ」
「ショウタさん名前を言ってはいけません。世界が消滅します。
訓読み”てんXXXXXXじん”も駄目です。スラング登録してます。
御ヒーーー様は、点滅です。”ヒー”と伸ばすのがお姫様の呼び名と被ってギリセーフです。」
「事情は、分かりました。自分が世界にとって邪魔な存在なんですね。暗殺しようとは、思わないんですか」
「ショウタさんは、死にません」
え?人間なんて頭を石にぶつけただけで、簡単に死ぬよ。
「ショウタさんには、超凄ーい超神様の部下達、つまり物凄ーい神様がウズメ様を中心に付いてます。
貴方は、死んだ瞬間に生き返えさせられ、殺したものは、関係者も含めゴリゴリに磨り潰して畑の肥料になります。」
「俺、死ねないの?」
「はい、死にません。死んでいいのは、超物凄ーい超神様がラノベに飽きた時だけです。
飽きると言っても、神様の思いは千年以上は余裕で続きます
超神様は、貴方と一緒に冒険者になりたいんです。もしその妄想、、いえ思し召しを潰したら、超神様が世界にカチコミかけると秘書兼侍女のウズメ様が断言されました。
超神様が、落ち込んだり、本気で怒ると超巨大異次元ブラックホールを生成します。
もし、飽きる前に貴方が死んでしまったら、この世界だけでなく、数万の世界は消滅するでしょう。
神界もどこまで壊れるか分かりません」
そんな凄い話しして、パンピーの俺に責任押し付けるみたい言われても困るよ。
「でも、人間死にそうになったら、普通は助けを呼んじゃいますよ。死にたくないし、それに千年どころか数十年で自然に老衰で死にますよ」
「大丈夫です。これから数千年私が貴方を守ります。一生くっついて離れません」
「そんな事したら、世界の危機が来た時、誰がこの世界を守るんですか」
「この危機以上の危機を教えてください。一瞬で世界が無くなるんですよ。まじで誰も止められないんですよ。それ以外の世界の危機なんて、片手間でちょちょいで充分です」
「いやいや、女神様がいつも一緒だと、ちょっとそのー、俺も若い男だし、きゃっきゃうふふな事とか、ちょっと溜まっちゃうとほら何ていうか、一人の時って大事だと思うんですけど」
若い男の子には、いろんな悩みがあるんですー。女の子には秘密なんですー。
女神が足にしがみついてきた。
みっともないから、しがみつくんじゃありません。
「お願いしますうー。私やっと神見習いから臨時神になって、正規神の試験が2千年後に受けられるんです。後2千年なんですうー。ここで世界消しちゃったら、また見習いに逆戻りになるか消されてしまいますうー。失敗すると追い出し部屋に入れられて、ずっと一人で”あいうえお”を100年間書き取りさせられるんです。靴舐めますからお願いしますうー。何でも舐めますうー」
神々しさ全く無いですけど。
あ、胸が大きくなった。肉体も顔も自由自在だな。女神様、超あざとい。
とはいえ、流されやすい日本人代表の俺。
「取り敢えず今を凌がないといけないのは、わかります。あくまで取り敢えずですよ。」
俺は渋々承諾した。
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人と接すると危ないとの事で、人里離れた山奥での二人暮らしが始まった。
・
・
・
・
それから、幾百年が経った。
畑を耕し、二人で住むうちに、俺が風呂でクシャミをしたのがキッカケで二人で入るようになった。
悪い夢を見て、寝言で”助けて”と言ったときから、一緒に寝るようになった。
一緒にいると情が湧くのは当たり前で、いつしか神様はかみさん(妻)になっていた。
俺は、女神の神力を受け続け、不老不死になっていたようだ。
2人の子供が生まれた。姉弟のかわいい俺達の子。
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あれから年月は数えていない。
娘は、ウズメ様のダンス教室に通い、今は、ウズメ様のバックダンサーをしている。
弟は、白龍様のところで執事見習いをしている。
スサノオ様?スサノオ様は絶対駄目です。あの人、危ない人No.1です。近寄っちゃいけません。
二人は、半神なので入神は大変難しいのですが、コネで入神出来た。
女神のコネではありません。私のコネです。人間なのに不思議ですか?
神の世界は、完全コネ制です。
売り込みは簡単です。”助け呼ぶぞ”と言ったら2人共、優良どころか最優良な物凄ーい神様に即入神出来ました。今は、妻より階級が上ですが内緒です。
かみさん(女神)は、数十年前、正規神試験を受けましたが、見事落ちました。
ウズメ様からどうして落ちたか内緒で聞いたのですが、かみさんも当然コネでの入神ですが、親戚の黒闇天からの推薦でした。
これが響いて内申点が伸びなかったそうです。黒闇天って貧乏神です。一生出世は無理かもしれません。
それから、だいーぶ暫く経って、超物凄ーい超神様は、ラノベに飽きて、昔のアニメに凝っています。
月に替わって、おしおきしちゃうそうですが、まじで月夜から替わってお日様出ますから、超神様は、はまり役になりそうです。今は、超ミニのセーラー服をウズメ様と一緒に着ながらコスプレしています。ユニット名は、セーラーサニーでちょっとダサ名ですが、ブロマイドは超人気です。
八百万枚は確実に売れます。かみさんには内緒ですが、私も即買いします。
やっと、お役御免になりました。
今日も二人で畑仕事に勤しむ。
お!子どもたちが孫つれて帰ってきた。
二人で居れば、スローライフはいつまで経っても楽しいです。
〜〜〜〜〜おしまい〜〜〜〜
どうでしたか、有り得なさ過ぎてアホだわーと思って頂けたら幸いです。
表現がおかしい部分、足りない部分を加筆・修正しました。
最後にESPORTSのくだりを月に変わってに変更しました。すみません。