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36 ラブストーリは突然に


その後の二日間は宿題を仕上げるために集中する事になった。


「やっぱり依織はすごいな。スラスラ解けてるもんな」

「そんなことないですよ。睦月さんだってしっかりできてるじゃないですか」

「いや、俺はこれでも頑張ってる方なんだけど、全然ペースが違う」

「でも、睦月さんと一緒に勉強するのは楽しいです」

「そうかな」

「はい。あまり他の人と一緒に宿題をしたりすることってなかったんですけど、睦月さんとだと楽しいしはかどります」

「そう、よかった」

「はい、本当によかったです」


俺だって女の子と二人で宿題なんかしたことない。

一人でやるより明らかに集中してるし楽しい。

依織が同じ気持ちでいてくれることが、なんとなく嬉しくなってしまう。


「もう少し頑張ろうか」

「はい」

夏休みの宿題がこんなに楽しみだったことは未だかつてない。

むしろずっとこれが続けばいいなとさえ思ってしまう。

依織は三日目の早い段階夏休みの宿題を全て終了してしまったが、俺が終了するまで一緒に付き合ってくれた。

「あ〜終わった〜。これで勉強終わりだ〜! 依織も付き合ってくれてありがとうな」

「いえ、睦月さんと一緒に勉強するのは楽しいです」


依織がそう言ってくれるのはうれしいが、記憶を取り戻す為にも、このまま家に籠もっているよりも、外に出ていろいろ刺激を受けた方が良い気がする。


「せっかくの夏休みだから、いろいろどこかに行ってみないか?」

「はい、もちろんいいですよ」

「この前依織も映画とか好きだって言ってたから、よかったら行かないか?」

「はい、ぜひ行きたいです」

「映画か〜。俺も久しぶりだし楽しみだな。それじゃあ明日は映画館に行ってみようか。好きなジャンルとかある?」

「そうですね。どんなジャンルでも大丈夫ですけど、一番はラブストリーですね」

「ラブストーリーか……」


正直俺は映画館でラブストリーなんか観た事は無い。

あれを観に行けるのは、彼女がいる男子限定だと思うが、依織が好きな映画を観た方が、記憶を取り戻す助けになる気がする。


「いえ、私はどんなジャンルでも……」

「いや、やっぱり明日はラブストリーを観に行こう! そうしよう」

「いいんですか?」

「俺もラブストリー観たかったんだ。キュンキュンするやつ」

「……ありがとうございます」

「明日が楽しみだな〜。今上映してるのをちょっと調べてみるよ」


俺は早速スマホで映画館の上映内容を確認する。

夏休みだけあって、アニメ映画が多いが、その中に高校生の恋愛模様を描いた映画『8月は雪模様』と言うのが上映されている様だ。

あらすじを読む限り、王道の高校生青春ラブストーリーという感じだし、特に問題は無さそうだ。

問題があるとすれば、俺がこんなのを観に行っても大丈夫なのか? という事ぐらいだ。


「依織、ラブストーリーだと、これぐらいしかやって無いんだけど、これでいいかな」


俺はスマホの画面を依織に見せて確認する。


「はい。面白そうですね。観てみたいです」

「それじゃあ、朝の上映だと十時三十分の回があるから行ってみようか」

「はい」


俺から提案した事だが、よく考えてみると、女の子と二人で映画館に行くのは初めてだ。子供の頃母親とは一緒にアニメ映画を観に行ったが、女性と行くのはそれ以来だ。

自分で誘っておいてあれだが、観に行く前から少し緊張しながら次の日の朝を迎えた。

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