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24 昼は冷やし中華


コンビニでアイスを二つ買い家に帰ってからクーラーをつけて二人でアイスを食べることにする。

普段1人でアイスを食べてもそれ程何も思う事は無いが、依織と2人で食べるアイスは、ただそれだけのことなのに心が弾む。

嬉しそうにアイスを食べている依織の表情を見るだけで、俺まで嬉しくなって来てしまう。


「おいしかったですね」

「ああ、やっぱり夏はアイスだな」


その後、着替えてから暫く部屋でダラダラと涼んでから依織が昼食を作ってくれたが、昼は冷やし中華だった。

この季節には最高に美味しいメニューだが、依織が作ってくれた冷やし中華は今まで食べた中で一番美味しかった。


「依織、美味しかったよ」

「ありがとうございます」

「お店で食べるやつよりずっと美味しかった。なにか隠し味とかあるの?」

「い、いえ。そんな特別なことはなにもしていませんよ」

「そうなんだ。俺の今まで食べた中ではダントツに美味しかったけどな〜」

「……っ。睦月さんは……ありがとうございます」


依織が作ってくれた冷やし中華を、お昼ご飯に一緒に食べる俺。やっぱり現実感がないな。

当分この現実に頭がついてきそうにない。

昼ごはんを食べた後、スーツケースを持ってもう一度依織の家まで荷物を取りに行く事にした。

流石にスーツケース1個分に女の子の生活用品を全部詰め込むことは不可能なので、空になったスーツケースに再度荷物を詰めるために向かったが、外はやっぱり暑い。

折角部屋で涼をとったのに一瞬で汗が吹き出して来るが、しばらく歩くと昨日見た依織のマンションに着いた。


「依織、一応学校の教科書とか宿題も持って帰る方がいいんじゃないか?」

「そうですね。でもどれがそうなのかはっきりとはわからないので」

「あ〜、気が利かなくてごめん。俺分かるから見てもいいかな」

「はい、お願いします」


そう言って依織の部屋に案内される。

何も考えて無かったが、女の子の部屋に入るのはこれが初めてだった。

初めて見る依織の部屋は綺麗に整頓されているが、俺の部屋と違ってぬいぐるみや可愛い小物類が置いてあって一目で女の子の部屋と分かる。

それに何かいい匂いがする。

なんの匂いかはわからないがほのかにフローラルな香りがする。

女の子の部屋はみんなこんないい匂いがするのだろうか?

俺の部屋も臭くはないと思うが、どちらかと言うと無臭に近いと思う。

それが依織の部屋はなにかの花のようないい匂いがする。


「睦月さん、教科書は多分これだと思うのですが」

「ああ、ちょっと見せてね。うん、これと、宿題はこれだな」


教科書類の量も馬鹿にならないのでしっかりとスーツケースに詰め込む。

あとは依織の服を中心に詰め込んでから再び家に向かって歩いて帰った。


「ふ〜、暑いしか言葉が無い……依織は大丈夫?」

「はい、私は睦月さんと一緒に歩けて楽しかったですよ」

「………お、おう」


笑顔でそんなセリフを聞かされたらやばい。

依織は特に意識した様子も無いが言葉の破壊力が凄まじい。

依織が素直なのか、それとも無自覚系の女の子なんだろうか?

学校での依織はどうだっただろう。

俺は側から眺めていただけなので依織のキャラクター迄は詳しく知っているわけではない。

ただ何となくそんなに鈍い感じには見えなかった。

学校で男子にこんな言葉を振りまいていたら、それこそ大惨事を引き起こしていただろうから多分こういう言葉をナチュラルに連発する子では無かった気がする。

少し気弱になっていたり、記憶喪失の影響で少し幼くなっているのかもしれないが、心臓に悪いのでできれば少し控えて欲しい。

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