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~19~


舞踏会の喧騒を抜け中庭に逃げ出した二人。

さすがに邪魔をする者はいない。

今ひと時は、二人だけのもの。



「セイラ、待たせて悪かった。それに黙っていたことも。

どう転ぶかわからなかったから、最終的にケリがつくまで伏せていたんだ。

心配させたね。本当にすまなかった」


ロベルトはセイラに向き合い、その手を握りながら許しを請うた。


「ロベルト様は騎士をお辞めになったと聞きました。それに、養子に入られるとも」


「うん。ガーラント家は元々クレイン家の遠縁に当たるんだ。

ガーラント家は跡取りがいないから、騎士である自分に跡を継がないかと誘いは来ていた。

でも騎士に誇りを持っていたし、爵位を持つことの重責からずっと逃げていたんだ。

私には領地を治めつつ、辺境の地を守ることは荷が重すぎると思っていた。

だが、君との将来を見据えた時に運命だと思えてね。

君となら、セイラとなら超えられると思えたんだ」


真っすぐに見つめるその目に嘘はない。熱いまなざしにセイラの瞳も揺らいでいく。


「ロベルト様からの連絡が途絶えてしまって。どうすることもできなくて。

それなのに、ガーラント家からの婚約の申し出が・・・前の当主様からのお話だとばかり思って。私の噂はどんどん一人歩きして、誰にも相談できなくて、それなのに、ロベルト様からのお返事が他の方の代筆で・・・私は、私は・・・」


ぼろぼろと流れる涙を拭いもしないで、ただロベルトを責めるセイラ。

今までの思いを全て受け止めて欲しいと、子どものように泣きじゃくりながら責め立てる。

ロベルトは、そんなセイラを包み込むように胸の中に抱きしめる。


「不安にさせたね。でも、もう大丈夫。すべてうまくいった。

これからはずっと一緒だ。誰にも邪魔はさせない。

セイラ、これからずっと私の側にいて欲しい。死が二人を分かつまで、ずっと」


腕の中にセイラを包み込み、背中をゆっくりと摩るように、なだめるように手を添える。


「ずっと一緒です。ずっと、ずっとおそばを離れません。覚悟してください」


少し落ち着きを取り戻したその顔に、泣き顔のような笑顔を作りロベルトを見上げた。



「くくく。ひどい顔だ」

ロベルトは堪らず口元に手を当てて、セイラの顔を覗き込む。


「ひどっ!誰のせいだと思っているのですか?もう、知りません!

私、ガーラント家になど嫁ぎませんから!!」


「あ?いや、すまない。そんなつもりじゃ・・・」


「じゃあ、どんなおつもりだったのですか?絶対に許しませんからね。もう帰ります」


「いや、セイラ待ってくれ。頼む、私が悪かった、許してくれ」


「知りません。ついてこないで下さい」


「ちょっ、セイラ!」


静かなはずの王宮中庭が、にわかに騒がしくなった。

二人の未来を象徴するような一幕。


中庭の池で羽を休めていた水鳥だけが、二人を見ていた。




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