朝を告げる声
鳥の声が聞こえた。
雨戸をしっかりと閉めた窓からは一筋の光も差し込んでこないけれど、朝が来たと思った。
掃き出し窓へ這い寄って雨戸を開けば、薄明るい世界があった。
夕暮れの後の暗くなる前の僅かな時間とも似て、静かな風が訪ねてきたけれど。
この冷たい静けさは、間違いようもなく朝のものだ。
鳥の姿は見えない。
薄暗がりから生えて薄明りへ紛れゆくこずえが揺れるから、きっとその茂みの中にいるのだろうと思った。
時間の感覚を失いつつある乱れた生活の傍らで、毎朝鳴いている鳥の声。
この一日が良いものであればいい、と願った。
お読みいただき有難うございます。
暑い日が続きますが、体調に気をつけてお過ごしください。