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下書き  作者: ノットビーレディ
9/12

アンデルセンの町

―――数日後


「着いたな」

細長い街道が中央にひかれる商店街に着く。すると隣を歩くニドーさんが声を掛けてくるが、この喧騒の中だと真隣にいるのに、ニドーさんの声は聞こえずらい。

大変に賑わった街は、どこを見ても人々がごった返しており、絶え間なく声が聞こえてくる。これでは普通に話していては聞こえるはずもないので、僕は大きな声を出して言葉を返す。

「すごい人の数ですねっ!」

俺が銀狼と来た方向の反対側に位置する、ここ〈アンデルセンの町〉は、大樹の根元の位置にあり、この世界で人が生活できる数少ない町のひとつだ。町に着いて最初に目についたのは、町の入り口に立っていた銅像。台座には「この町の象徴である〈魔女〉ライラ・ベンジャミン・アンデルセン様の銅像である」と書かれていた。

ニドーさんから聞いていた話では、この町はその魔女が大樹ジェベンナルを植えたおかげで今も安全な暮らしを送れているんだとかで、その魔女は今も町民から神様の如く崇拝されているのだとか。

この町に住む人々は、活き活きとしていて町中が活気に満ち溢れている。そのことに、外の世界から来た身からすると違和感を覚えるが、それだけモストロの被害が無いということなのだろう、平和なのは良いことだ。

「はぐれるな」

ニドーさんも、喧騒に負けじと大声を出す。まあ、もともと彼は声が大きいから、いつもとたいして変わった話し方はしていないようにも見えるが。

ライラ様について、もう一ついうと、魔女というだけあって、伝承によれば魔法が使えたんだとか。それが嘘か本当か分からないが、そりゃ、こんな木を植えたとされる方なのだから、魔法くらい使えてもおかしくはない。


燦燦と降り注ぐ日光のもと、下町を下って行く。右を見ても左を見ても、道一杯に出店があって、その数だけそれぞれの売り文句が聞こえてくる。

ここらで、なんでこんな場所に来ているのか理由を話そう。


数日前のジェベンナルでの出来事だが、あの閃光が止んだあと、あれはただの閃光なんかではなく、とてつもない威力の爆発を伴っており、あたり一面が吹き飛ばされることとなった。爆発が止み、俺らの眩んでいた視力が戻る頃には、ワロンユイセと名乗った男は忽然と消え失せていた。その爆発は、先ほども言ったがとてつもない威力で、その場に残ったのは俺と銀狼とニドーさん、それに大樹()()だった。

周辺に生えていた草木は、爆発で粉微塵になって跡形もなく消し飛んでおり、地面は三千度あたりまで上昇してカラカラに干上がり、空気中に微細な有害物質が飛んでいることで活力のあった大地はボロボロになり、毒に侵され、以前の光景は見る影もなく、悲惨な光景へと変わり果ててしまったのだ。

被害はそれだけに留まらず、前方およそ二十キロ先の森にまでその余波が届いていると、ニドーさんが言っていた。

ただ、その中心にいた俺も銀狼もニドーさんも無事だった。それどころか、爆発で生まれた被害もすぐに元通りになるらしい。理由は、俺らと共に無事だった大樹のおかげだ。

この大樹は、この世界の端まで根を生やしており、この世界のどんな場所においても、そこにある自然を快癒させるという非常に強力な力を持ち、木自体も、この程度の爆発ではビクともしない程に頑強だ。

俺らを守ったのも、俺らが大樹の内側にいたからであり、大樹の防衛機能が働いたことで爆発の威力が外へ逃げたおかげだったのだ。

最初は少しばかり疑っていたのだが、その疑いはすぐに晴れることになる。一週間もすると、被害のあった地面に次々と青々とした草木が生えてきて、瞬く間に干上がった大地には溢れる緑が広がり、完全に元の姿を取り戻していた。

これだけの力があるのは、この大樹がこの星の生命力そのものだからであり、要するに、これが枯れない限りこの星の自然が消える事はないのだという。

この世界においてこの大樹の存在は、この星を見守り、この星に生きる力を与えている。


これらのことは、爆発のせいでいつの間にか気絶していたので、後からニドーさんに聞いた話だ。

「木に命を救われた」って言葉にすると、不思議な話に聞こえるけれど、視界を埋め尽くすような大きな木があることや、その大きな木が周りの草木をあり得ない速さで復活させてしまったり、狼が話せたり、もはや木に命を救われたと聞いても、すんなりと受け入れられる。


爆発の件が一段落すると、俺がどうやってチェックに出場するか、という話になった。エマを見つけるためにも、俺がこの場所に来た原因であるチェックで勝ち抜く必要がある。それに伴い、チェックについて具体的なことを教えて貰ったり、引き続き戦闘能力の向上を計ることとなった。

当分は、そうして生活する。

銀狼がこの場にいないのは、元々あの雪山にいたのが、そもそもニドーさんから手紙を受け取ったかららしくて、その手紙が何についての話なのかは教えてもらえなかったけど、ニドーさんが何か依頼をしたようで、しばらく俺らと別行動をとる事になったのだ。


さて、それでまず手始めとして、必要なモノを買い揃えるためにこの町へと訪れている。しかしながらそのためには大きな問題があった。ものを買うとなると当然お金が必要になるのだが、俺はお金を一銭も持っていない。それに仮にあったとして、この世界では使えない。

ニドーさんにそのことを伝えると、すぐに何の問題もないと返されてしまった。ニドーさんがお金を出してくれるわけではない、チェックの選別者には特別な待遇があり、好きに使っていいこの世界で使えるお金の入った金庫の鍵を渡されるのだ。

俺は鍵なんて貰ってない、と思ったのだが、雪山で持っていたものを良く調べてみると本の裏表紙に鍵が入っていた。

セントオリバー301と書かれている鍵だ。セントオリバーとは、この町の銀行の名前だ。つまりは、その301とは金庫の番号ということになる。

にわかには信じがたいが、今からその銀行に行くからすぐに分かる。まあでも、こんな嘘を言う意味も分からないし、きっと本当のことなのだろうから、これで俺はお金の心配がなくなった事になる。

「あれは何?」と俺は、あるモノを見かけて堪らずニドーさんに問いかける。

この町は、驚きに溢れている。

人によって驚く出来事は違うだろうけれど『違う世界に来てどんな食べ物が出てくるんだろうと期待していたら、なんかのウンコが出てくる。』なんて場面に遭遇した人は、どうしたって必ず驚くだろう、なんでそんなことを突然言うのかって?今しがた通り過ぎた出店の看板に『ドラゴンの糞』っていうメニューがあったからさ。

「あれか?この町で一番の名店だな。特にドラゴンの糞が絶品だ。」

「ふ、糞が美味しいの?」

「うんにゃ、ただの糞じゃねぇ。ドラゴンの糞だ。

ドラゴンは食べ物を一度食べた後、排便までに千年もかけて糞を出す。ドラゴンの糞には人間とかのモノとは違い、菌もなく、豊富な栄養とどんな病気にもかからなくなるという効果がある。

加えて、滅多に取れない希少な食い物だ。まあ珍味佳肴ちんみかこうという訳だな、断じて汚いもんじゃねぇ」

「そ、そっかぁ...」

...珍しかろうが、美味しかろうが、これだけは絶対に食べまい。

もし俺がウンコを食べて、仮に美味しかったなんて思った事が知れ渡れば、友達はおろか近寄る人すらいなくなってしまう。

唯一の救いなのが、ドラゴンの糞がそもそも珍しい食材で滅多に手に入らないらしいので、そうそう出てくることが無いという事だ。

しかも誰かが来た時や祝いの席とかでしか出さないらしいし、俺がここにいる内にそんな機会が来ることが無いように願っている。

「ふむ、お前は何をそんな嫌そうな顔をしているんだ?」

話をもとに戻そう。

お金の話が住んだ所で、次は俺がこの町で買う必要なモノとは、世界の常識や習慣、特性などの知識を身につけるためのモノだ。チェックに臨む者ならば戦いの力だけではなく、見知らぬ環境に適応する力も身につける必要がある。ニドーさんの話だと、この先、チェックに参加するならば必ずまた旅をすることになる。その際に現地の環境と自分の価値観との齟齬を瞬時に見出し順応できないと困った事になるため、今のうちにその感覚を養っておかないと駄目だそうだ。


「―――さぁ、さぁ、安いよぉっ!」

「―――そこのお兄さん!ご飯食べて行かないっ?」

「―――良いの揃ってるよ!見て行かないかい?」


地球にいた頃にも、似たような売り文句を聞いた事があるような、無いような。こういう所は、似た部分があるのかもしれないな。

傍の店にはショーケースに大剣が飾ってあり、刃の部分が陽の光にキラキラと反射している。

上にぶら下がっている看板に〈武器屋 アンデルセン工房〉と書かれている。もしかしたら、この町にもモストロと戦える人がいるのだろうか?

「こっちだ」

アンデルセンの町の入り口から続く一本の長い通り道を歩いていると、〈ネストバッチ横丁〉と書かれた路地に入る。

「あの白いのが、偉大なるセントオリバーが建てた、ジェベンナルを除いて最も安全な場所〈アンデルセン銀行〉だ」

路地には、数々の店が立ち並ぶ中でひときわ高くそびえる真っ白な建物があった。言われてはいないが、あの建物に違いないだろう。それだけ目立っている。

「銀行を経営する小人のミロ一族は恐ろしいもんだ。

あそこで盗みを働こうなんて、考えるだけでも狂気の沙汰だとしか思えん。

彼らとはもめ事を起こすべきじゃないぞ、ハベル」

「どうしてあの銀行で盗みを働くのは狂気の沙汰なんですか?」

徐々に距離が縮まってきている銀行を見ながら聞いてみる。

「呪いが掛かっているのだ。一般の人間が使う金庫ですら強力な呪いが掛かっていて、重要な場所になればドラゴンが守っているという噂も聞く。

中はとてつもなく広い。それぞれの金庫までは数百キロの入り組んだ道で構成されていて、盗人が道に迷う呪いがかかっているのだ。

そんなもの、どうやったって盗みを成功させることは出来ないって分かるだろう?あそこで目当てのものを手に入れても、迷って餓死しちまったら意味がない」

「...ドラゴンって言った?」

「ああ、言ったぞ。

竜でも龍でもなく、ドラゴンだ。

今日は見ることはないだろうが、あれは良い。ぜひとも一頭欲しいものだ」

欲しいって、飼ったりでもするんだろうか?

それにしても、何度か話題に上がる度に気になっていたんだけど、もしかして、この世界のドラゴンって俺の想像してるようなものじゃないのだろうか。段々その姿に興味が湧いてきたし、いつか本物にお目にかかりたい。

「さて、銀行につく前にメモを確認しておこう」

ニドーさんに言われて、左ポケットに入った羊皮紙を引っ張り出し、今一度紙を広げて、内容を確認する。


~~~


【 アンデルセン 買うもの 】


衣服 - 普段着用の服 三着

     手袋     一組

     外出用マント 一着


教本 - 「アンデルセンで学ぶ歴史」   アレクト・ララベイ著

     「奇妙な心理学」        アマンダ・デトレー著

     「生物学-幻獣とその生息地」  クリスティアン・デラーイ著

     「天文学 -1-」       スーザン・カラバン著

     「薬学総集本」         ミネルバ・ガネルフマットニー著

     「生活に役立つ!魔法薬調合法」 マリー・ザットマン著

     「サバイバル術教本 第一巻」  バージニア・カルカンデル著

     「アクソサス地理学」      キリエ・ドロシア著


他  - 普段用ナイフ 標準型         一本

     鉄製の直剣 五十キログラム      三本

     木製の剣(雷鳫の木から作られたもの) 一本

     大鍋(錫製、標準)          一つ

     大臣虎の皮              百グラム

     黄銅製はかり             一つ

     薬用瓶(ガラス製)          一組

     伝書烏                一羽


~~~


「全部、ここで揃うの?」

「店を知っていればな」

確かに、ここに来るまでに思ったけれど、この町に来てからというもの、至る所に本当に様々な物が売られている。

客に関しても色んな人たちがおり、入り乱れた大勢の買い物客で町は賑わい、四方八方で声が上がっている。

今だって横にある薬問屋の前で、六十は言っていそうなおじいさんが元気な声を出していた。

「安いっ!三つ首の兎の肝、五十グラムが二十セシルだって。買うしかないじゃないか...」

これだけ店があるというのに、多分それぞれ違ったものを売っている。

大きな声で宣伝をしている店や、反対に薄暗い場所に店を構えた怪しいところなんかも見かけた。これだけ色々な店があれば確かに揃いそうだけど、もしも一人で来たら、どこに何が売っているのか探すだけでも日が暮れてしまいそうだ。

「さて、着いたぞ。

アンデルセン銀行だ」

気付いたら遠くで見えていた白い建物の目の前に来ていた。

正面に構える古めかしく、しかし磨き上げられたブロンズに輝く観音開きの扉はまるで新品のような輝きを放っている。

手前にあった白い階段を上っていくと、その扉の両脇に臙脂と緑黄色の制服を着て立っているのは...

「ようこそ、ニドー様。

 ワタクシはキ・ミロと申します。

 こちらはジ・ミロと言います。本日はどういったご用件ですか?」

彼らは浅黒い思慮深そうな顔つきに、俺の()()()()()の背丈でこちらを見上げている。

そしてなんと耳の長いこと。地面に届きそうな程に垂れさがっている。彼らこそ、恐らくさっきニドーさんが言っていたミロ一族なのだろう。

「ハベル・ペルセウス=ぺネレウスの金庫を開けてもらいたい。

色々買わなくちゃならんのだ」

それに比べて、俺の隣に立つのは三メートルの大男。

俺だってニドーさんと話す時は少し辛いのに、その身長差のせいでほとんど真上を見る形になっているから大変そうだ。

「では、鍵をお持ちでいらっしゃいますか?」

「ハベル、鍵を」

淡々とした口調で返される。

こういうのってやっぱり形式みたいなのがあるんだな。これっていわゆる入場審査みたいなのだろう。

「えっと...あった、はい」

俺は、しばらくポケットを探ってから小さい鍵を取り出した。事前に本から取り出しておいた、例の鍵だ。

キ・ミロさんは鍵を受け取り、なにやら慎重に見た後「案内いたします。こちらへ」といって、扉を開いてくれて、中へと入れさせてもらえることになった。

銀色の扉が開いて、博物館のような玄関を過ぎ、大理石でできたホールへと通される。中は円型になっていて、床にはペイズリー柄のようなデザインがされている。

ホールの中央にある窓口の奥に何十人といる小人が、長細いカウンターの向こうで色々な作業をしていて、その光景が廊下の奥までずっと続いている。

「ガ・ミロを案内につかせましょう。」

しばらく進むと、突き当りの所で一人の小人が待っていた。

「こちらの方々を金庫までご案内して差し上げなさい。」

ギ・ミロさんから紹介を受けると、ガ・ミロさんは軽く会釈し「こちらへ」と案内してくれる。正直、顔が似ていて良く判断がつかない。今だって、言われなくちゃギ・ミロさんとガ・ミロさんが入れ替わってても気が付かない自信がある。

その小人に案内されて、ホールの奥にあった扉の中に入る。大理石でできた廊下をしばらく進んでいくと、選別者金庫と書かれた札のかかった扉の前までやってくる。

小人はその前で俺たちに待つように指示し、俺が渡した鍵を出した。


小人は鍵を扉の鍵穴に入れるでもなく、扉の前に掲げて静止していたかと思うと、ガガガッ!という音が鳴る。突然扉の向こうで機械仕掛けのような歯車の動く音を出して、ほどなくして扉が開いて奥に道ができた。

「驚いただろう。ここは許可された者しか入ることを許されない扉だ」

ひそひそ声でニドーさんに補足してもらう。

そこからの道は、ここまでの大理石でできた空間と違い鍾乳洞のある凹凸の激しい洞窟だった。小人に案内されて歩いていると、ほどなくして岩場の間に出る。そこには開けた場所があり、下を見れば湖があった。その水面の上に用意された鉄製の昇降機に乗り込むよう促される。それに従い、ニドーさんの体が大きいから三人乗ると窮屈になってしまう大きさの昇降機になんとか乗り込むと

「こちらへ、下へ参ります」とガ・ミロさんが言う。

小人はどういう訳か()()()()と言っているが、何度見ても下には湖がある。俺の戸惑いなど、全く気が付かない小人は、何の迷いもなく昇降機の電源を入れると、すぐに下へと動き出す。

「えっ、あの大丈夫なの?」

小さく悲鳴を上げて、慌ててニドーさんと小人の方を向いても二人とも何も驚いた様子はない。

「問題ない。あれは盗人をはじく膜であって、溺れたりはせん」

顔に水面のような膜が近づいてくると、それに伴う形で心臓が引きつるような感覚を味わいながらドキドキしながら通り過ぎるのを待っていると、ニドーさんが言ったように何も起きることなく膜の下へと降りてくる。

無意識に溺れるかと思って、息を止めていたけれど何の感触もなくそのまま下へと降りてきた。そうして何回か同じ膜を通った後、やっと昇降機が止まる。扉が開くと見えたのは、大きな扉だった。

「それでは開きましょうか」

小人は扉の鍵穴に、今度こそ鍵を入れると扉の仕掛けが動き出す。

金属質の何かが重なり合うような音を出し、そのまま小人が左回しで鍵を動かすとカチッと何かがハマる音がして重々しくその扉が開かれる。

大きな扉で、俺たち三人は開くのに合わせて一歩後ろに下がる。

「到着いたしました。こちら301番金庫になります。

御用がお済になりましたら、お声掛けお願いいたします。」

小人はそう言って扉の脇に立つ。

「ほれ、入ってこい。」

なんだか圧倒されてしまって、その場に立ち止まったまま動けずにいると、先に入って行ったニドーさんに中から手招きされる。

中には、そこかしこに山積みになった硬貨があって外から入った光でキラキラとした輝きを放っている。

見た限りだと、この金庫にあるのは金の硬貨、銀の硬貨、銅の硬貨の三種類みたい。特に金の硬貨が明らかに多い。

「こ、これ全部...」

「そうだ。

セシル銅貨の横に積んであるのがボーフォート銀貨で、お前さんの真後ろに積んであるのがド

ロテア金貨だ。

9セシル銅貨で1ボーフォート銀貨で、12ボーフォート銀貨で1ドロテア金貨になる。

ヒヒ鳥の串焼きが5ボーフォートくらいで、今日買う予定の羊皮紙本なんかは大体3ドロテアだ

な。

物価は最優先に覚える。町で買う時にも、また教えよう」

その後、持ってきていた麻の小袋に、パンパンになるくらい硬貨を詰めて、再び昇降機に乗って地上へ戻ると、銀行を出た。

そういえば銀行の中には、昇降機ではなく地下列車なんかもあるらしい。

金庫番号によって移動手段はいくつかあるらしくて、ほとんどの人は移動時間が一番短い昇降機を利用している。だから、俺らも昇降機を利用した。

元々は、王や重要な役職についている人に千番より若い番号の金庫が用意されていて、そういった金庫に行くために列車が用意されているんだけれど、昇降機の移動が苦手な客は列車を使うことも出来るらしい。

線路は全金庫に通じているらしいので、千番に近い金庫を利用する客は移動時間がそこまで変わらないため鉄道を利用する機会も少なからずあるらしい。

「それじゃ、まずはどのお店で買い物をするんですか?」


「まずは〈デロミアの呉服屋〉でお前さんの服をそろえよう」

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