彼女の勘違いと僕らの秘密(?)
「え‥‥それがお前の素の姿なのか?」
「うんそうだよ!どう?幻滅した?」
幻滅っていうか‥‥‥
「可愛い」
「へ?」
「可愛いよ!水浅葱さん!学校の時は正直怖くて、近寄って来て欲しくなかったけど、素の君だったら、どんどん来て欲しいよっ!」
「えっと‥‥‥」
「あっごめん!気持ち悪かったね!でもさっきまでの有無を言わさない態度より取っ付きやすいし、僕個人の意見としてはずっとそのままの方が好きだよ!」
僕は勢いのあまり、手を繋いでしまった。
「ほえ!?すっ好き!?」
水浅葱さんは繋がれた手と、僕の顔を交互に見ている。
その顔は遠目からでもわかるくらいに赤面していた。
あっ、これは‥‥‥やっちまったかな?久々に‥‥
「ほら、落ち着け、すまんな薔薇姫。純は生粋の可愛い物好きでな。あまりに可愛いすぎるものを見つけるとこうなるんだ」
「山景説明ありがと〜。ちなみに山景が被害者第1号」
「いいから手を話してやれ」
「あっそうだった。水浅葱さんごめんね。でも可愛いのはほんとだよ」
「うっ、うん‥‥‥」
水浅葱さんはますます赤くなって、スカートをギュって握った。
可愛いすぎる。これは山景のいい好敵手かも‥‥‥
「純‥‥‥落ち着け、目が獲物を見つけたハイエナみたいだぞ」
「フーフーフー‥‥はっ!」
ダメだ正気を保て僕!ここで壊れたら、水浅葱さんを
おもちゃにして遊んでしまう‥‥‥(健全な意味で)
「純?ちょっと来ようか」
「へ?あっ山景?まさか‥‥‥」
「ごめんね薔薇姫。ちょっと席外すね」
「いや、いや、いや、‥‥」
「はよ来い」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー」
「うぅ。酷いよ〜‥‥‥ぐすっ‥‥‥」
「神崎くん‥‥何したの‥‥‥」
「別に何も‥‥‥‥」
「山景が‥‥僕にあんなことやこんなことを‥‥‥」
「あっあんなことっっ!」
「純やめろ、誤解をうむ」
「どんな誤解?」
「殴ったり、蹴ったりとか‥‥‥‥」
「神崎くん‥そんなことしたの‥‥‥」
「してねぇよ!!」
山景に廊下に連行されたあと、あんなことをこんなことをされて、(笑顔でお説教&罰として、腕立て伏せ30回)
僕はやつれていた。貧弱とかいうんじゃない。
僕は筋肉が付きにくいんだよ。
「はぁ、まぁいいや。で、なんでそんなことを明かすんだ?」
「あっ。確かに!なんでなんで?」
「急に元気だな‥‥」
「疑問の力でパワー満タン!」
「石田くんってもしかしておバカさん?」
「酷いっ!水浅葱さん酷いよ!」
「そうだ、純は勉強のできる馬鹿だ」
「山景まで‥‥‥‥泣くよ?泣いちゃうよ?」
「ご勝手に〜‥‥で?なんでだ?」
「えっとね。相手の秘密を知るには、まず自分の秘密を話さなきゃいけないと思うの」
2人とも酷くない?僕を無視して続けてるよ。
これ僕悪い?僕が悪いの?
僕が悪くないと思う人手を挙げて!
うん。いないね!悲しい!
「‥‥‥つまり、俺らも秘密を明かせってことか?お前強引なんだな‥‥」
「違う違う。私の質問に答えて欲しいだけ。私が持ってる疑惑が本当だったら、すごい秘密になるってだけ」
「へえ〜そうか」
「じゃ、聞くね」
「2人の関係って‥‥‥百合?」
あれ?僕、耳になんか詰まってる?
今水浅葱さんが百合って言った気がする。
まさかぁ、水浅葱さんを、そんなこと‥‥
「なぁ、純。百合って花の名前だよな?」
「うん‥‥そうだよ‥‥」
山景‥‥‥今の言葉で僕の勘違いじゃないことがわかったよ‥‥‥。
百合ってあれだよね。
女の子同士の‥‥恋愛。
‥‥‥違うでしょ。男だし。
冗談かな?
‥‥‥あっ水浅葱さん目ぇーめっちゃ輝いてる。まさか本気で!?本気で言ってるのかな!?
「水浅葱さん?ホントに言ってるのかな?」
「うん?そうだけど?」
「う〜んとね。僕たち男だよ?ほら制服だって男用だし‥‥」
「え?でもそれは、2人とも何かの手違いで誤って男用が届いてしまったんじゃ‥‥」
「違うよ!?何その設定!?誰が考えたの!?」
「えっと‥そうかなぁって」
「凄い想像力だね!1ミリも合ってないよ。‥‥あっほらそれに、僕一人称が『僕』じゃん」
「ボクっ娘かと‥‥‥」
ボクっ娘‥‥‥あぁいたねーそんなのー。確か髪の短い子が多いよね。あっ僕、ショートボブっぽいんだよね。あはは。
「山景は?『俺』だよ?」
「おれっ娘かと‥‥‥」
おれっ娘‥‥‥うんいるね。あぁいう子って、だいたい照れた時可愛いよね笑。あっ山景だ‥‥‥‥‥‥
「うん。納得したくないけど納得するね。でも僕らは、女の子じゃないから」
「はっ!つまり薔薇!」
「違うよ!?」
薔薇ってあれだよね!男の子同士のやつ!
「なぁなぁ2人とも、さっきからなんの話しなんだ?百合とか薔薇とか。純って植物興味あったっけ?」
「あら?神崎くんは知らないの?薔薇って言うのはね―」
「なんでもないよ!!‥‥‥水浅葱さん何言おうとしてるの?」
「‥‥何?説明しようとしただけよ。それとも何?そういうのに偏見がある系?いい?言っとくけど、薔薇や百合は尊いものなの。決して差別されるようなものじゃ―」
「わかってるわかってるよ。僕も好きな方だし」
「な〜。なんなんだよーコソコソ話してよー」
山景が唇を尖らせて、不貞腐れる。
「何この、可愛い子‥‥」
「水浅葱さんもそう思う?」
「えぇ」
「むぅー」
山景がもっと機嫌が悪くなって、頬を膨らませる。
男子がやると気持ち悪くなるんだけど‥‥‥山景は、可愛いから‥‥‥ありだね。これはいい。
「石田くんが教えたくないってことなんとなくわかったわ」
「えっ?ほんと?」
「えぇ。こんな可愛い子が偏見という攻撃を受けるなんて耐えられない!」
「わかってくれた!」
「ねぇ可愛い子ってまさか俺?」
「こんな幼げで可愛い子は守って行くべき!」
「そうだ!こんなに、ちんちくりんで可愛くてあざとい子は守られるべき!」
「ねぇねぇもしかしていや、もしかしなくても俺のことでしょ。ねぇったら」
「あれ?神崎くんキャラ変わった?」
「ん?あぁ山景が素っぽくなってる」
「へ?」
「ぐすっ‥‥‥‥仲間外れにしないで〜‥‥‥ぐすっ」
「完全に別人じゃない‥‥‥」
「山景は少しだけでも、男っぽくなりたいんだって。僕としては、そのままの山景でいて欲しいんだけど」
「‥‥‥‥私に任せて」
「へ?」
水浅葱さんは、そういった途端、泣いていた山景に近寄り、しゃがんで、目を合わせた。(山景は小さいから、水浅葱さんがしゃがまないと同じ目の高さにならないんだよね。)
「山景くん‥‥‥よく聞いて、山景くんは男の子っぽくなりたいのよね?」
「うん」
「だったら自分を偽ったらダメだよっ。私は俺俺言ってる偽物より、可愛くてもちゃんと自分を突き通している方が男って感じするよ」
「ほんとに?」
「うん。山景くんは今の方が男の子っぽいよ!」
ほんとかな‥‥‥子供っぽいの間違いじゃない?
現に今よしよししてるし‥‥‥‥山景はそれでいいのか?
それ言ってるの、本性隠して、学校では薔薇姫って呼ばれてる人だよ?
「やったぁー」
あっいいんですね。山景さん‥‥‥満面の笑みだし。
「ジューくん聞いた?私男っぽいって!」
「へ?ジューくん?私??」
「驚いた?ジューくんは僕のあだ名。山景は素の時は僕のことこう呼ぶんだ。あと自分のことは私って言うよ」
「みーちゃんが男っぽいって!」
「よかったねぇ」
「みーちゃんって‥‥‥私!?」
「そうみたいだね」
「えへへ〜いいあだ名でしょ〜。」
「‥‥‥水浅葱さんはこれが男っぽいと‥‥‥」
「いや、ここまでとは思わないじゃん?せめて、僕って言ったり、気弱だったりするんだと思ってた」
「山景。みーちゃんは男っぽくな―」
「ちょっと何言おうとしてんの!?」
「あはは。冗談だよ」
水浅葱さんたら必死になっちゃって。
まぁ男っぽいって言われたのに、手のひら返しでやっぱなしって言われたら、山景めっちゃ泣きそうだもんね。ふふふ。
「あっでも山景。素を知られてよかったの?」
「うん。みーちゃんも素を教えてくれたし、バラしっこだよ」
「そっか。山景はいいこだね」
「でしょ!」
「石田くん。完全に小さい子扱いじゃん‥‥」
水浅葱さんがなんか言ってたけど、あいにく聞こえなかった。僕の耳は山景の可愛らしい声を聞くのに、全力を注いでたからね。ふふふ。
「だから、ジューくんの秘密もばらすね」
「へ?」
「確かに、石田くんもばらさなきゃ不公平よね」
あっ水浅葱さんも乗ってきた。さっきからかったのが仇になっちゃった。
まぁ、いっか。確かに、不公平だし。
「ジューくんはね。みんなの前では裏表ないけどそれは、わざとやってるだけで、相手によって、性格を変えてるんだよ」
「あちゃーそれ言われたか。」
「つまりキャラ作ってるってこと?」
「いや、そういう事じゃなくて、相手によってどれくらい素の自分を出すか調整してるんだ。だから、キャラ作りとは違う」
「そうなの?」
「ああ。だから、僕がどんな態度の時も、言ってることは、僕の本心だから。無理に言ったりはしてない」
「ふーん‥‥じゃあ私にはどれくらい出してる?」
「2%」
「にっ!‥‥‥‥‥それだけ!?‥‥‥‥」
「ふふふ。冗談だよ。ばらし合いっこなんだろ。もちろん素だよ。100%」
「そっか。‥‥‥ってあれ?石田くんも口調が違う?」
「ジューくんは素だと、意地悪で口調も、ツンってしてるよー」
「嘘‥‥‥でしょ‥‥‥」
「ほんとだよ。でもあー口調は変えてるかも。」
水浅葱さん‥‥‥めっちゃ驚いてる。開いた口が塞がらないってのはこういうことを言うんだな。面白い。
「でもいいね!」
「ん?急にどうした。」
「いや、幼児系男子とツンデレ系男子の薔薇は絶対面白いと思って!」
「おい!だから、薔薇じゃないっての!」
あわわ。思ってたより、キャラ崩壊っぽい‥‥
というわけで!
ジューくん→みんなの前では元気っ子。素はからかい好きのツンデレ系。
山景くん→みんなの前ではツッコミの俺系。素はThe幼稚園児。
みーちゃん→みんなの前では薔薇姫。素は薔薇百合好きの思ったこと口に出ちゃうタイプの女の子。
です!
神崎風香もそろそろ出したいなぁ〜。