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【短編】なろうラジオ大賞2 (2020年)

伝説になることを禁じます、登録作業が面倒なので

作者: 丸井まご

※1000文字以下の短編企画『なろうラジオ大賞2』参加作品です。

選択キーワード:『伝説』

「伝説の魔獣を討伐しました!

 『伝説名鑑(めいかん)』への登録お願いします!」


 ギルドの受付にて。


「お名前は?」


「佐藤タロウです」


「では『佐藤タロウ九郎(くろう)』で登録しておきますね」


「く、九郎……?」


「9人目! 佐藤タロウはあなたで9人目なの!」


 受付嬢のアイリスは(いきどお)る。


「あの、もう少し何とか……」


「使った武器は?」


「聖剣エクスカリバーです」


「では、『佐藤タロウ(聖剣使い。100人目くらい?)』

 で登録しておきますね」


「佐藤タロウ九郎で良いです」



 伝説名鑑への登録者数は今や900人を超える。

 そのほとんどは、異世界転移でやってきた日本人。


 特に、この街での登録者数は多い。

 登録作業を兼任(けんにん)するアイリスにとっては、たまったものではない。



「アイリスさん、伝説の魔王軍幹部の討伐クエストに行ってきます!」


「はい、行ってらっしゃい。

 ん? ちょっと待って4人で行くの?」


「はい! 聖剣使いに弓使い、盾役とヒーラー。

 この4人なら絶対勝てますよ!」


「伝説の勇者の登録作業は大変なのよ!?

 せめて1人で何か上手いこと倒してよ!」


「そ、そんな無茶な……」


「仕方ないわね、ヨウ・チューバーを呼んで!」


「アイリス様、ご用命でしょうか?」


「伝説の配信者としてあなたも同行して!

 私がここから指示を出すから!」



◇◇


 魔王軍幹部のアジト。


『良い? やり合うのは1人だけ。

 他の3人は裏方(うらかた)(てっ)すること!』


「「イエス、マム」」


「ん? 何だお前達は? 伝説の勇者か?」


「いえ、滅相(めっそう)もございません!

 わたくしどもは『勇者を倒す魔剣』の訪問販売をしておりまして!」


「ふむ、神々(こうごう)しい光を放っているようだが?」


「だからこそ、です!

 聖なる光で油断しているところを、ほらこの通り!」


 なるべく痛くないようにバッサリと斬られた盾役を、ヒーラーが必死に手当てする。


「弓矢で狙われても安心!

 なんと自動で切り落とします!」


「ほう!」


 ガキーン。

 脅威的な反射神経により、間一髪(かんいっぱつ)で切り落とす。

 ほっと胸をなで下ろす弓使い。


「この魔剣が、今なら盾付きで50%引き!」


「買った!!」


 目を見開いて興奮した幹部の、一瞬の(すき)

 見逃さなかった聖剣使いの一撃が(つらぬ)いた。


「勝った……1人で……」


『よくやったわ!

 伝説の話術士として登録してあげる!』


◇◇


「なあ知ってるか、あの街?

 “伝説の受付嬢”がいるってもっぱらの(うわさ)だぜ」


「おもしれぇ、俺の伝説の槍さばきを披露(ひろう)してやろう」


 1週間後、伝説名鑑への登録者数が1000を突破した。


お読み下さりありがとうございました。

アイリスは何だかんだで受付嬢の仕事を楽しんでいるようです。


下部のほうに他の「なろうラジオ大賞2」参加作品のリンクを貼っておりますので、ご興味がありましたらぜひ。

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