表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/59

チョコラと上杉信玄の成功を祈って

「い、いや……その……。いや、待てよ。そっちこそなんだよ? 石田美鈴がチョコラちゃんとかおかしいだろ! ウチの高校、バイト禁止なんだし」

「ちょ。シー!」


 あ、大勢の人の前で言い合いとかマズいな。


「取り敢えず、お茶しましょうよ、お茶。付いていて来なさい」

「いや、帰りますので遠慮します。互いにバイトの件は、秘密厳守ということで」

「その辺も含めての話なのよ。いいから来なさい」

「や、やめ。拉致するとかヤメロー」


 オレは石田に襟首を引っ張られ、そのまま引きずられていく。


「いや、ちょっと待ってくれ。まだナデ子先輩と合流していないのだが?」

「さっき、先輩から『熱が出たので行けなくなったいましたー』って元気な声で、電話があった」


 何だソレ、ハメれた。元からナデ子先輩は、オレと石田を二人きりで引き合わせるつもりだったんだな。

 って、それより。


「おいおい、こっちは道玄坂の方じゃないのか? 連れ込むのか? このオレを連れ込もうっていうのか?」

「はぁ? なに言ってんのよ。東Xに行くのよ、東Xに」

「X急? お前、服でも買うの?」

「いいから付いて来なさい」

「はぁ……」


 とぼとぼと石田の後を付いていく。デパートに着いて、エレベーターに乗り、8階で降りた。彼女はそのまま歩いて行き、フレンチの店に入る。


「これはこれは、石田様。いらっしゃいませ。本日はご予約されていましたか?」

「あ、支配人さんどうもー。えっと、してないけど、席は空いていますか?」

「……そうですね。只今、満席ですが、あと15分もしたら一つ席が空くかと。急なお越しですが、なんとか致します」

「お願いします」

「ではこちらへ」


 ギャルソンさんが先導し、カウンターに案内した。


 天井からシャンデリアが吊されていて、大きな窓からは渋谷の町並みが一望出来る。シックで落ち着いた雰囲気の瀟洒なフレンチ。こんな店、始めて来たぜ。ゴクリ。


「お飲み物は如何しましょうか?」


 石田は如何にも場慣れしている感があり、壁に掛かっている黒板の品書きを見て、即決する。


「じゃあ、私は絞りたてグレープフルーツジュースで。ねぇ、山田。アンタは?」

「お、オレンジジュースいいかな?」

「畏まりました」


 な、なんか、コンビニジュースより、桁が一つ多いのだが……それにオレはそんなに洒落た格好していない。ドレスコードとか大丈夫なんかな?


「え、ええと。ここはなんなの?」

「ウェイティング・カウンター。席が空くまで、ここで飲んで待つのよ」

「は、はぁ。そんなのがあるんだ……」


 細長いグラスに氷が入ったフレッシュジュースが置かれた。


「まぁ、とりま乾杯」

「か、乾杯。って、なにに?」

「チョコラと上杉信玄のますますの成功を祈ってとかどう?」

「あ、ああ。任せた」

「じゃあ、チアーズ」

「か、乾杯」


 互いに軽くグラスを合わせる。


 一口飲んでから、石田にメニューが渡された。彼女はそれを眺め「6000円のランチコース、フィレ肉の方で。二人前でお願いします」と口にした。

 ギャルソンは「畏まりました」と告げ、去って行く。

ブクマや評価などがあると、作者のテンションが上がります。

ブクマ、評価など、よろしくお願いいたします!

皆様の応援が何よりの励みとなります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ