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お嬢様仕様のゲーム部

 放課後、石田に誘われ、部活棟に行った。文芸部だったはずの部室に、「ゲーム部」との表札が掲げられている。


 そのことにモヤッとした気持ちにもなったが、文芸部は存続出来たのだし、取り敢えず置いておくにした。


「じゃんじゃじゃーん。どう? この部室は?」


 石田は様々な備品が置かれている机の前で、ひらりと1回転。


 いや、どうもこうも。これはスゴイ。

 横長の机に、モニターとスピーカー。肝心のゲーム機は、スイッチ、PS、X箱の最新機種、それと馬鹿高そうなPCも鎮座していた。

 スチール製の棚には、ゲームソフトがずらりと揃う。どう見ても、100本以上ありそうだ。


「うええ。何だコレ!?」

「あら? 何か不備があったかしら?」

「いや、そうでなくて。こんなゲーマーの夢みたいな空間があるとか……信じられねぇ」

「そう。じゃあ、その言葉通りに解釈しておくね。フフッ」


 石田はニンマリとした。


「ぱっと見、問題点はあるかしら?」

「そうだな……ソフトが1タイトルにつき、1つしかないみたいだな。例えば、スマブラを部員同士でする時、複数本あった方がいいよな」

「あ、確かに。そこは気付かなかったわ」

「あとは、そうだな……コンシューマー向けのマシンはあるけど、ソシャゲに関してはどうするの?」

「スマホに関しては、各自の持ち寄りになるよねー。好きなタイトルや、課金額も人それぞれなのだし。ただ部の方針としては、ソシャゲも有りな方向で考えています。この部室、高速回線と11axのWI-FIも完備しているのだし」

「成程ね」


 そこで、部室の中を見渡してみる。すると、机の数が10しかないことに気付いた。


「机が10か。つまり、最大10人で活動するってことだよね?」

「そうなるわね」

「これだけの設備だ。入部希望が殺到したらどうするんだよ?」

「その場合、入部テストを行います」

「入部テスト? それってどうやるん……」


 と、言葉の途中で口を閉じてしまった。

 なんとなしだが、先が読めた。


 神ゲーマーのチョコラ――つまり、目の前にいる石田が試験官になる。「このアタシを倒したら、合格よ!」とか言い出すヤツだコレ。


「このゲーム部は先鋭揃いにしたいの。もし、入部したければ、このアタシを倒してからにしてもらいましょうか!」

「あ、うん。そだね……」

「でしょ? 実に素晴らしいアイディアだと思わない?」

「あ、はい。でもさ、現実的に考えて、石田クラスのゲーマーを倒せるヤツなんて殆どいない訳だし、君に善戦出来たら合格でいいんじゃないかな?」

「うーん。それで仕方ないのかなぁ……」


 なんか石田が非常に落胆した様子になったので、慌ててフォローに入る。


「いや、ひょっとしたらApexxxとか、石田を上回るヤツがやって来ないとも限らない。なんたって、全国は広いからな。どんな猛者が潜伏しているか、知れたものではないし。そう期待してみるのもいいかもな、うん」

「そうね。そうなるといいわね」

「――そういえば、学内掲示板に『ゲーム部員募集』の張り紙を見たな。あの張り紙の通り、7月1日から部員募集ってことでいいの?」

「そのつもりだけど?」

「ならさ、7月1日にオレの後輩を連れて来てもいいかな? 姫路遙っていうんだけど」

「心当たりがあれば、ウェルカム。けれども、たとえ貴方の知り合いだろうが、アタシは加減しないからね?」


 望むところだと言いたいが、遙はゲームエンジョイ勢だ。どちらかと言えば、オレがゲームをやっていると、後ろから見ていることが多かった。


 さて、どうやって、遙をこの部に入れるか……これは思案のしどころだな。

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