ゲーム部
日曜なので、総合病院にやってきた。
今日は遥の顔色も良く、ほっと一安心。
「哲君。あのね」
「おお、どうした?」
「私、来週退院出来ることになったんだー」
「おお、それは朗報だな。良かったな、遙」
「うん。それでさ、学校に行ったら、部活に入ってみたくて。病弱だからって、いつまでも引っ込み思案とか、駄目だと思ってさ」
「いいことじゃないか。けど、無理しない程度にしてくれよ」
「うん。それでね、哲君がいつか言っていたゲーム部に入部しようかと思っているんだー」
ゲーム部。そういや、そんな話があったな。
言い出した本人の石田が、全く話題にしてこないから忘れてたわ。あの話、どうなったんだ。そろそろ7月になるし、話が動いていてもおかしくはないはずだが……
「どうかな、哲君?」
「あー、それはいい選択だと思うが……まだゲーム部が設立されていないんだよ」
「えー、そうなんだ?」
「そうなんですよ。まぁ、ゲーム部を設立したいって本人を知っているから、明日にでも話を聞いてみるわ。なんか分かったら、ソッコーラインするからさ」
「あ、うん。お願いしますね、哲君」
「おう、任せておけって」
ドンと胸を叩く。
遙は病弱なので、運動系の部活は無理だし、やっぱゲーム部があったら、ソレが最適だよな。
そんなことを考えながら、遙と話を咲かせた。
そんなこんなで月曜日。学校に行き、すでに席に座っている石田に問いかけようとした。したら、アッチから喋ってきた。
「ゲーム部よ、ゲーム部。パパが理事会を説得して、承認されたし。いよいよ始動するわ」
おっと、石田の方から口火を切ってくれたか。これなら話が早くて助かる。
「それは良かった。微力ながら、オレも協力するぜ」
「そうして貰えると、有り難いわね」
「そういえばさ、部室の方は大丈夫なの? 部活棟の方も一杯だったような気がするけど?」
「ああ、それね。大丈夫、解決したわ。実績のない部を一つ廃部することにしたから」
「おいおい、それはチト横暴だな」
「空きがないから、仕方ないじゃないの。ここのところ、実績を出してない方が悪い」
成果主義かよ、おっかねぇな。まぁ、彼女の親父さんらしい強引なやり口だけどな。
眉根を寄せつつ、石田を見遣る。
「で、その廃部にさせられる可哀想な部はどこなの?」
「文芸部」
「は? いやいや待て待て。そりゃないんじゃないの? オレ、このあいだ、あそこの部長の中野小町に世話になったばかりだし。いきなり廃部とか、可哀想過ぎるだろ」
「……では訊きますが。文芸部は、何か実績を出しましたか? 弁論大会は? 小説甲子園は? 高校生文学コンテストは? 入賞者はいましたか?」
「いや、そんなん知らないけどさ……」
「文芸部は創立以来、そういった賞と無縁なんですけど。さらに言えば、今の時代、投稿サイトがありますよね? どうしても小説を発表したいなら、そういった場を利用すればいいじゃない」
石田の意見がまっとう過ぎて、ぐうの音も出なかった。けど、中野の方はどう思っているんだろ。
なんか気になるし、放課後、ちょっと図書室に顔を出してみるか……




