美少女VTuberとのオフ会
そして、チャットソフトが間髪入れず、反応。チョコラからだ。
「はい?」
「被るなーーー!」
「それはこっちの台詞だっての!」
「それにしても、貴方の配信もチラチラ見ていたけど、死にまくりじゃない。なにがノーデス・クリアよ? チョー笑えるんですけど。ゲラゲラ」
「ぐぬぬ、抜かせぃ、チョコラ。ちょっとばかりゲームの腕が良くて、それが何になる? ゲームで飯が食えるか!?」
「あら、異な事を。今はeスポーツがあーるじゃない。海外の大きな大会の賞金はデカいわよー」
「まぁ、言われてみればごもっとも」
「でしょ? まぁ、兎に角、今後は貴方が次の配信で何のゲームをするか教えなさいよね!」
チョコラの高圧的な言い様にカチンとくる。
「抜かせ! 次の配信でするゲームを敢えて教えないこともあるわ。ゲリラ的配信もするしな。なのになんで、いちいちチョコラに教えなきゃいけないんだよ? そんな義理など何処にもない!」
「この前、大して有名でもない貴方を大物VTuberであるこの花園チョコラが誘ってあげて、コラボしてやった恩を忘れたの?」
「別にこちらからチョコラちゃんにコラボしてって依頼したわけじゃありませーん。勝手に話を持ってきたのは、そちらでーす」
「何ですって!」
そんな感じでチャットしていると、志那ナデ子さんも会話に入ってきた。あ、彼女を招待したままだった。
「まぁまぁお二人共、仲良しだねぇ」
ナデ子さんはのほほんとした声を出す。この方もVTuberで、オレやチョコラの先輩にあたる。
「これのどこが仲良しなんですかっ! ナデ子先輩?」
「それはアレだよぅ、チョコラちゃん。喧嘩するほど仲がいいってやつ?」
「違いますって、ナデ子さん!」
「それは違います!」
チョコラと否定する声がハモり、ますます険悪になる。
オレはグルルルと唸り声を上げ、チョコラを威嚇。チョコラは「シャー!」と訳の分からぬ声を出し、同じく威嚇してくる。
そんな殺伐とした空気の中、ナデ子さんが呑気な声を出す。
「あ、そうだー。私達3人仲良しだし、オフ会しようよー、オフ会。そこで親睦を深めよう? ね? ね?」
「はぁ?」
「ちょ、ナデ子さんってば!」
「はい、決まり~。じゃあ、日時は……今度の日曜、渋谷でどうかな?」
駄目だこの人。人の話を全く聞いてねぇ。
「オレは不参加で。ナデ子さんだけとオフ会なら喜んで参加しますが、なんか邪魔者が一匹いますので」
「なによ! 私も上杉さんと会うとかお断りだっての!」
「まぁまぁ、皆ー。仲良くねー。あ、来ないと、先輩的にキツいお仕置きしちゃうからねー」
その一言にオレは震え上がった。のほほんとした声のナデ子さんであるが、その底に情念めいた何かを見た。コエーよ。もう行くしかない。
「はい、喜んで-」
「わ、私も。けれども上杉さん、勘違いしないでよね? 私はナデ子先輩に会いに行くのであって、貴方と会いたい訳じゃないんだからね!」
「それはこっちの台詞デース。一昨日来やがれっての」
「いいかげんにしろっていってんだろ、このガキめらっ! つぶすぞ!」
なんかヘッドフォンにデスボイス的な迫力のある声が響いた。おい、今のナデ子先輩の声じゃあるまいな?
それから尚も先輩が仕切り、取り敢えず待ち合わせ場所だけ決めておくことと相成った。今度の日曜13時、モヤイ像前で待ち合わせ。
それから何処に行くかは、その場のノリ次第ということらしい。
まぁ、初顔合わせなのだし、その辺のカフェに入って、お茶して終わりだろう。
快諾とまではいかないが、承諾すると、素直に先輩は喜んだ。
「しょ、しょうがないわね……」
チョコラはそのように言った。
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