いざ対決
難しい顔しながら教室に戻ると、欠席したはずの石田が暗い顔をしながら自分の席に座っていたので、たまげた。
当本人が来たなら、今日プランを決行するしかないじゃん……
兎に角、早く石田と喋りたかったが、5限が始まってしまったので、放課後まで待つことにした。
気もそぞろなまま授業を受け、やっと放課後になった。
石田は心配してやって来たギャル友達との会話も早々に切り上げ、教室から出て行く。慌ててオレもその後を追った。
「なぁ石田、ちょっと待ってくれよ。話があるんだ」
廊下で彼女の背中に声をかける。すると、石田は振り返り、こちらを見遣った。
「話って?」
「あー、いや。ここじゃなんだし、体育館裏まで来てくれないか?」
「分かった」
石田の前を歩くと、その後に彼女がついてきた。
本日の2度目の体育館裏に着き、周りを見渡して、人目がないことを確認し、喋り出す。
「今日は休みかと思ったよ」
「あ、うん……私もそのつもりだったんだけど、なんかさ……アンタの顔が見たくなっちゃって。昨晩みたいに元気を貰えるかなーって」
「石田に元気がない原因っていうのは、やっぱ親父さんとこじれたからか?」
「……だね。今朝、パパからやっぱりV辞めろって、最終通告がきちゃって。今日の午後から、Vの事務所にチョコラが辞める旨を伝えてくるって、頑として言われちゃってさ」
「でも、チョコラにも契約期間とかあるんじゃないの? なのに、いきなり辞めるとか、そんな無法が通じるものなのか?」
「勿論、そういう契約はあるんだけど、パパは違約金払ってでも辞めさせるって息巻いて。それに、Vの事務所にしても、ウチの芸能事務所との縁は切りたくないだろうから、アッチもパパに対してはそんなに強く言ってこないと思うんだ……」
「じゃあもう八方ふさがりじゃねーか」
「そうなの。でも、私はチョコラを続けたい。見てくれる皆と一緒に、笑顔になりたいの!」
石田は瞳に涙を貯めながら、絶叫するかのように声にした。
たまらずオレは、石田の手を握って駆け出す。
「ちょ、ちょっと。なによ?」
「いいから来い」
廊下を走っていく。目的地は理事長室。
「ちょ、ちょっと待ってよ、山田。どういうことなのか説明して」
「いいか、石田。上杉信玄と花園チョコラは付き合っている。いいな?」
「ちょ、イミフなんですけど!?」
「お前の親父さんに会って、直接そう言う」
「ちょ、ダメだって、そんなの。下手したら、貴方がパパの逆鱗に触れて、退学になっちゃうよ」
「それならそれでいい。兎に角、そのいけ好かない織田なんちゃらとかでなく、オレとプラトニックな交際をしている。それで押し通すんだ。チャラチャラしたVなんかより、その方が絶対にマシだ」
「だ、ダメだって。貴方がパパに怒られちゃうよ!」
「なぁに、それくらい。停学程度なら喜んで受けてやるよ。チョコラのためならな」
「山田……」
「失礼します!」
オレは石田の制止を振り切り、扉を開け、理事長室に乱入した。




