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ライバルでいたい

 結局のとこ、夜中の1時まで石田とスプラに興じた。最初は元気のない彼女だったが、そのうちにのめり込み始め、華麗なプレイを連発するようになった。そして時折、笑い声。


 これなら大丈夫だろうと感じていた。




 だが、朝起きて、学校に行くと、そこに石田の姿はなかった。どうやら欠席のようだ。

 つまりこれは、想定より深刻な事態になっている可能性が高い。


 恐らくだが、石田の親父さんが、「VTuberを引退しろ」と強く迫って、それにショックを受けた石田は学校に来られなかったのだろう。


 勿論これは、推測の領域であり、可能性の一つでしかないが、意外と妥当な線かとも思える。

 もし、そうなっていた場合、どう対処すべきだろうか。


 そこから、キャパの少ない脳を回転させ、考えを巡らす。


 そして出た答えが、石田の親父さん――つまり、この学校の理事長なのだが、彼をどうにかする意外方法はないとの結論に行き着いた。

 また、それ実行するには、ナデ子先輩の協力が必要不可欠でもあった。




 昼休みになり、昨日と同じく人気のない体育館裏に行き、スマホを取り出し、ナデ子先輩にラインしてみる。あるプランを考えたので、それに先輩が乗っかってくれるかと。そして、そのプランの内容を書き記した。


 と、そこでナデ子先輩から着信があった。オレは慌ててそれに応答する。


「はい、上杉です」

「トークの内容見たよー。でも、このプランはちょっとリスキーだねー」

「……ですね、済みません。しかし、このプランを実行するなら、ナデ子先輩の協力は必要不可欠なんです。どうか……どうにか協力して貰えませんか? お願いしますっ!」

「いやいや、ナデ子の方は別にいいんだよー。それよりも、上杉君の方が心配だよ。なんたって、在学している学校の理事長に逆らうんだからさ。下手したら、停学か退学ものだと思うよ?」

「ですね……」

「なんで。なんでさ? チョコラちゃんのために、どうしてそこまで出来るの?」


 そう指摘され、言葉に詰まってしまった。ホント、なんでなんだろ。そりゃあ、石田には色々と良くしてもらって、恩義を感じてはいる。でも、それと引き換えに停学になるリスクまで背負うかよ、普通。


 少しばかり思案してから、口を開く。


「アイツとはいいライバルでいたいですから。そりゃあ、オレみたいな弱小Vとチョコラとじゃ登録者数なんか桁違いですけど……」

「うん」

「それに、オレはアイツの明るい笑顔が好きなんです。だから……」

「うん、分かった。協力するよ、上杉信玄君」

「本当ですか!? 有り難うございます!」


 オレは受話器越しにいるナデ子先輩に深々と頭を下げた。それから2、3打合せをし、通話を切り上げた。


 これから石田が学校に来る可能性は、ほぼないだろう。つまり、プランの決行日は恐らく明日。そこから石田の親父さん――いや、この学園の理事長と対峙することになる。


 そう思うと、ちょっと身体に震えが来た。だが、ここまで来たら、もうやるきゃねーよなぁ。

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