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中野小町は、お前のことを好きだったんだ

 ちょっとした事件が図書室で勃発した翌日の朝。登校時間になり、スマホを手に持ったところで振動した。


 石田からラインでも届いたのかと、通知画面を見ると、大矢からだった。アイツからラインとか、2年ぶりか?


 そんなこんなでその文面を見て、オレはフリーズしてしまった。


 中野小町は、実はお前のことを好きだったんだ。コレ内密な話な。くれぐれもアイツに俺がチクったって言うなよ。


 との内容であった。


 いやいや、暴露すんなし。今日も放課後、図書室に行くんだから。中野にどんな顔をして会えばいいのか、分からなくなるだろうが。


 にしても、中野小町かぁ……

 高1の頃、学年模試で常にトップ3入りを果たしていたなぁ。ウチの高校の偏差値から考えるに、その成績なら帝都大を狙える。実に凄いことだ。顔はチャーミングだし、気立てはいい。才色兼備ってやつだろうか。


 そんな女子が、オレに惚れていたとか冗談だろ?


 しかし、大矢は今時にしては珍しく硬派を気取っている。アイツがわざわざ嘘をつくとは考えられんしな。うーむ……


 中野の顔を思い描くと、なんとなしに照れが入ってしまう。

 会うのが恥ずかしいな。今日の放課後、図書室に行かないで、バックれちまおうか。しかし、TRPGのシナリオとか、自分一人じゃ分かんねぇしな。


 そんなことを考え、眉間に皺を寄せつつ登校した。


 午前中の授業が終わり、石田が何か喋ってきたが、上の空で生返事を返した。なんとなしに彼女はむくれた様な気がしたが、生憎とそちらのケアまで気が回らなかった。今は石田より、放課後が怖い。


 とか思いつつ過ごしていたら、放課後になった。さて、これから図書室に行くべきか、否か。――いや、待てよ。いいこと思い付いたゾ。


「あのー、石田様」

「あら、さっきまで生返事していた人が何のご用でしょうか?」

「あのー、一緒に図書室行かない?」

「図書室ということは、文芸部の部長に会いに行くの?」

「その通り。今日、中野小町さんから、TRPGのシナリオについて、詳しく聞けそうなんだよー」

「ふーん、それはそれは。けど、パスで」

「何でだよ?」

「ちょっとした所用があるかも」


 所用? ああ、VTuberの所属事務所にでも行かなきゃなのかな。打ち合わせとかあるだろうし。


 ここは暗黙の了解とばかりに親指を立てた。


「それじゃあ行くけど、なるべく明日は図書室に付き合いたいかも」

「オーケー、把握。頑張ってな」

「うん、ありがとう。それじゃあね、山田。そっちも頑張ってねー」


 石田は立ち上がり、こちらに手を振りながら去って行った。


 図書室で中野小町と二人きりになるのは、なんとなく気恥ずかしいので、石田を連れて行ってクッションにしようとしたが、その目論見は崩れてしまった。さて、どうするかなぁ……


 頭を抱えそうになったが、妙案が浮かんだ。大矢を連れていけば問題ないじゃん。昨日まで疎遠にしておきながらアイツに頼るのもなんだが、ここは無理にでも着いて来てもらうしかない。


 と、教室を見回したが、奴はすでにいなかったので、ラインを飛ばした。


「大矢、頼むから一緒に図書室に行こうよ」と泣きのメッセージを入れる。それから30秒くらい間を置き、返信が返ってきた。


 昨日は、鬼顧問が休みだったから、たまたま図書室に行けたんだよ。今日は顧問がバッチリ来るから、抜けれない。まぁ、そん訳だ。精々、頑張れや。


 いや、何を頑張るというのだ、大矢よ。しかし、あのボクシング部の鬼顧問は怖いからな。これ以上、大矢を誘うのは無理。となれば……


 席を立ち、ショルダーバッグを肩に提げ、階段を降りた。目指すは図書室。


 中野の性格からして、いきなりなにか起きることもないだろう。

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