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痛々しい……

TRPG テーブルトーク・ロールプレイングゲーム

「キャハハハ! 腕にファッション包帯。その下に邪龍を宿しているとか! 巨乳のチョロインも来ましたーーー。こ、これは、完全な中二病! 手遅れです。山田はもう手遅れです。キャハハハ!」


 時は昼休み、所は学校の屋上。

 ベンチの横にいる石田が、オレ様の傑作ファンタジーを読んで、感涙に蒸せっている――訳ではなく、なんか爆笑していた。


 登校して早々、前から企画をしていたTRPGの為のシナリオを、机の上にノートを広げ、書き込んでいた。実に素晴らしいワンダホーなシナリオである。


 一人ニヤニヤしながら、ノートに書いていると、いつの間にか登校してきた石田が興味深そうな顔をしながら覗き込んできた。


「……見るなよ」

「見るなと言われると、見たくなるんだなー、これが」


 そこでノートを閉じ、石田を見る。

 フム、コイツにTRPGのシナリオを見てもらって批評をもらうのも手か……


 そのように考えを巡らせ、100頁も書き綴った冒険譚「ハガネと竜の刻印と」を書き記したノートを彼女に渡す。

 今時、スマホ執筆もしていないとかどうかと思うが、ノートに書き出す方が性に合ってから、しゃーない。


「いいの?」

「ああ、読んでくれ。それでもって、感想をもらいたい」


 ――というやり取りを今朝方したのだ。


 そこから授業中、何やら後ろの席に陣取る石田が、声を殺して笑っているのが耳についた。なんか嫌な予感しかないんだけど……


 とまぁ、そんなことがありつつ、昼休みに屋上で飯を食うことにした。そしたら、頼んでもいないのにニンマリと嫌らしい笑顔をぶら下げた石田が後をつけてきたので、ますます嫌な感じがした。


 二人してベンチ座り、石田はオレの傑作ファンタジーが書かれたノートを広げ、ニヤニヤ顔で読み始めた。


 で、まぁ、購買で買ったパンを平らげた頃、石田が爆笑を始め、今に至る。


 オレは醒めた目をしながら石田に尋ねてみた。


「どうだった?」

「コメディー小説としては、最高っしょ!」

「いや、それTRPGのシナリオなんだけど……」

「あ、うん……痛々しいけど、なんかハマっちゃった。文章力は中坊並なのに、何でだろ?」


 文章力が中坊だ、と。

 何気ない一言だが、胸が抉られた。


「1項毎の引きが結構上手いのよねー、うんうん」

「まぁ、じゃあ、ストーリーは良かったと?」

「中二病丸出しだけど、いいんじゃない。オレTUEEEに巨乳チョロインとか、ツボを押さえているような……」

「そ、そうか……」

「でもさぁ、これってTRPGのシナリオでしょ? この前、VTuber仲間達とTRPGやったけど、なんか違う」


 あ、うん。そこはなんとなく察していた。

 TRPGテーブルトーク・ロールプレイングゲームとは、どことなく違う。しかし、一体どこがどう違うのやら。


 うーんと唸って顎の下に手を置くと、石田が声にする。


「そうだわ。アンタ、放課後図書室に行ってみたら? 図書委員の中野小町ちゃんがいるはずよ。彼女は文芸部の部長もしているから、そういった方向にも詳しいかも」


 中野小町と聞き、ピクリとする。彼女とは1年の時、同級生で仲が良かった。今、ウチのクラスにいる大矢武人と一緒によくつるんでいたな……


 言われてみれば、中野は文芸部で活動していたような気がする。


「TRPGのシナリオとか、あたしは良く分からないから、中野ちゃんに尋ねてみたら?」

「あ、ああ。そうだね。それがいいかも」

「うん、そうしなさいよ。もし、上杉信玄様がチャンネルでTRPGとかしたら楽しそうだしさ。その為なら、色々と協力するから」


 石田はあっけらかんとしながらも、とびきりの笑顔を向けてきた。

 それに対し、オレは「お、おぅ」と短く返した。

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