ジャイXン・リサイタル
というようなやり取りがあった翌日の学校。
3時限目は音楽であり、音楽室でクラス合唱することと相成った。うう、音痴だから歌いたくねーな。噂をすれば影だよ。
音楽の先生がピアノを奏でて、クラス全体で歌う。オレは呟くようにボソボソと歌った。
すると、やたらと調子の外れた歌声が耳に入ってきた。なんじゃこりゃ、ノイズか!?
「ストーップ、ちょっと待って。なんか音程が全然外れている人がいるっぽいんだけど?」
指揮をしているクラスメート女子が待ったをかけ、合唱が止まる。
「ちょっと山田君、歌ってくれる?」
「え、オレ?」
「はい、さん、し」
指揮者の圧の押され、つい歌ってしまう。
「はい、ストップ。うん、音程が一つズレてるよ。AがB、BがCになってる」
「そ、そうッスか……す、済まんです、はい……」
「まぁ、どうにか改善は出来そうだけど、これは基礎練からするしかないですね。えっと、私は吹奏楽部の部活があるから、今日は部の皆に事情を話して……そうですね。明日の放課後から、山田君を特別特訓しますので。いいですね?」
「分かりました……」
しゅんと項垂れてしまった。放課後は貴重な時間であるが、クラスの足を引っ張っては悪いし、仕方あるまい。
「あとなーんか、調子外れている人がもう一人いるっぽいのよねー。女子で」
うん、そうそう。やたらノイジーな奴がいるよな。右前方から聞こえてきたぞ。
と、そちらに目をやると、石田がどんよりとした顔をしながら肩を落としていた。
「石田さん」
「ひゃ、ひゃい!?」
「はい、いきます。さん、はい」
石田も指揮者に押されてのか、歌い始めたが、コレは酷い。
ねぇ、なんなのこれは? これが伝説のジャイXン・リサイタルってやつなのか? 歌声っていうより、超音波の大量破壊兵器じゃねーの、コレ。
思わず耳を塞いだが、それはなにもオレ一人ではなかった。見ると、生徒達全員が耳を塞いでいた。
「はい、結構です。石田さん?」
「ひゃ、ひゃい!?」
「貴女も明日の放課後から、猛特訓でお願いします」
「ひゃい……」
石田は涙目になりながら、ますます肩を落とした。
へー、あの完璧主義の石田でも弱点はあるんだなー。……いやまぁ、これでは弱点というレベルじゃなくて、最早、大量破壊兵器級だけど。
しかしながら、これは由々しき事態。ナデ子先輩の言うように、「歌ってみた」を配信のネタに出来れば強い。だが、現実の上杉信玄と花園チョコラは、とんでもなく音痴でした。
もうこれじゃあ、二人してシャレにならんぞ……
そう感じつつ、気持ちがブルーになった。
そうして問題の音楽の授業が終わり、昼休みにラインがきた。見てみると「放課後、時間空けて。校門のとこで集合」と石田からのメッセージが入っていた。
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