恥を知りなさい!
「あのさぁ、真弓に朱音。クラスメートのことをよく『地味男』だの『空気』だの言えるね。それって虐めじゃないの?」
「あ、いや。落ち着けって、美鈴。別にウチらは、虐めとかしてねーし」
「真弓さぁ。アンタ、なにタメ口効いているのよ? 普段は許しているけど、虐めをやった上でその態度とか。のぼせあがるんじゃないわよ!」
「あ、いや……ご、ごめん、美鈴」
「ウチもゴメン、美鈴」
「あたしだけにじゃなく、山田にも謝って。表面上でもいいから。さぁ、早く!」
「そ、その、悪かったな山田。お前を地味男とか呼んだりしてさ」
「う、ウチもゴメン。今度から山田を馬鹿になんかしたりしないから」
米沢真弓さんと秋朱音さんが謝ってきたので、逆に恐縮してしまった。
そして「いや、いいよ別に。気にしてないからさ」とボツリと言った。
「いや、地味男は所詮地味男っしょ。空気は空気だっての」
「それなー」
窓際の席にいる、いつもオレをからかってくる奴等がそう口にした。
「今、発言したの小田ね!」
石田が小田を睨むと、奴は小さくなった。
「い、いや。オレじゃねーよ。言ってねーって、石田さん」
小田は否定したものの、明らかに奴の声だった。
「クラス委員長」
「は、はい、なんでしょうか、石田さん」
「クラスで虐めが横行しているなど、由々しき事態です。今日のホームルームで、担任にこのことを直訴します。委員長は議事進行をお願いします」
「あ、はい。わ、分かりました……」
委員長は石田を前にして、恐縮している様子。まぁ実際、コイツはコエーからな。
「いい? ここにいる全員に告げます。このクラスでの虐めはもう容赦しませんから。今まで平穏にと思って見過ごしてきたけど、看過できない状況まできてしまったようです。それになにより――」
石田はそこで息を吸い込む。そうしてから、言葉を吐き出した。
「この学園を汚さないでくれる? 一部の恥曝しさんたち。アンタ達ねぇ、人を貶めてなにが楽しいのよ!? そうやって自分より下だって見下して、優位に立とうとしてさ。そんな矮小な優越感のどこが楽しいってのよ! 恥を……恥を知りなさい!」
石田はそうがなり立て、席に座った。米沢さんも秋さんもコソコソと自分の席に戻る。
と、そこで、小さな拍手が起きた。やがて、それは伝播し、クラス中に鳴り響いた。
当本人になってしまったオレはというと、突然の成り行きにただただ呆然としていた。
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