悔しい。でも、感じちゃう
「キャー、貧乏神王が出たー」
チョコラの喚き声が聞こえて、オレは密かに笑った。お前はもっと泣け、喚け。そして、借金苦に陥るがよい。
「おや、早速貧乏になりたいのか? ならばいいだろう。貧乏の世界ではお金は要らぬ! さぁ、サイコロを振れ!」
「う、ううううう」
チョコラは貧乏神王の指示通りサイコロを振る。デカい目が出て、一気に彼女の手持ちの金が減っていく。いいよいいよ、貧乏神王さん。もっとやっちゃってください。
次のナデ子先輩は、リニアカードを使い、着々と航路を進んでいる。だが、九州には遠い。
オレは急行カードを使い、なるべくチョコラから距離を取ろうと必死になる。
チョコラは新幹線カードを使い、追いすがってきた。その差は3マスしかない。
「く、来るなー。来るんじゃねー!」
「うふ、うふふっ。上杉~。次のターンでアンタを追い抜いて貧乏神王さんをなすりつけてやるからね。震えて待ってなさいよ」
と、チョコラがドスの効いた声を出すも、貧乏神王さんが喋った。
「よし、お前を貧乏の世界に連れて行ってやるわ」
「いやー、それだけはやめてーーー」
チョコラが絶叫するも、彼女は貧乏の世界へと行ってしまった。
チョコラ、気の毒な奴め……ならば、あと10マスで目的地だが、ゆっくりと行くことにしよう。ゆっくりとなぁ。
さて、次のターンのチョコラ。どっぷりと貧乏の世界に浸かっている。
チョコラさん、サイコロを回す。3しか進まず。
そして、間髪を入れず、赤字ルーレット。チョコラさん、-4億を引いてしまう。おまけにデビルまでも。
最高だ。最高だぜ、コイツは。ククク。
「あのさ、上杉」
「何かな?」
「アンタ、自分の部屋でニヤニヤしてない? このあたしが、貧乏の世界に落ちて、笑ってない?」
「め、滅相もないですよ、チョコラさん。グフッ」
「あ、今、ちょっと笑ったでしょ?」
「いいえ、空耳でしょ?」
「うぬぬ……覚えていなさいよ、上杉」
とか言っている間に、ナデ子先輩は新幹線カードで順調に南下してくる。だが、まだ九州までは遠い。
次にオレの番で、6を出す。
「ありゃ目的地を通り過ぎちゃったなー。かー。本当はゴールしたかったのに、かー」
とかわざとらしい声を出す。
チョコラさんは相変わらず貧乏の世界にいて、サイコロを回すも、出口に到達せず、またも大赤字を引く。
そして、デビル軍団までも容赦なく金をむしり取っていく。お、鬼だぜ、コイツら。グビリ。
そして、ついにチョコラは所持金マイナスとなり、物件を売った。泣きながら。
次のターンでまたオレは目的地に着けなかった。つまり、チョコラは未だ貧乏の世界にいることになる。
チョコラは6を出し、出口に辿り着いたかに見えた。だが――
「そこは本当の出口ではなーい」
と貧乏王に一喝され、貧乏の世界のスタート地点に戻される。そうと同時に赤字ルーレットを回し、8億の赤字を引いた。さらに、またデビル軍団が金を巻き上げていく。
大赤字のチョコラさん、ガンガン物件を手放す。
次のターンも同じ流れで、チョコラさん赤字ルーレットを回し、大損こいてまた物件を手放す。
「悔しい。でも、感じちゃう。ビクンビクン」
とギャグをかましたら、チョコラからメッチャ怒られた。
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