花園チョコラ
ライブ配信時間まであまり時間がないが、もう一度特訓だ。
ゲームスティックを倒し、ボタンを押す。
相手をなぎ倒したり、倒されたり。ペイントで陣地を塗ったり、塗られたり。
花園チョコラ。相手にとって不足なし。かかってきやがれ。
といった訳で、ライブ配信の時間になった。互いにVTuberということで、Liveなんちゃらで制作した可愛らしいキャラ姿である。
始めは雑談から入ったが、意外と話が合ったので驚いた。
好きなゲームやアニメや映画など。色々とツボに入ることが多かった。
ひょっとして、オレ達気が合うのでは?
「はい、じゃあ時間ですね。ではお約束通り……」
「お約束通り?」
「いや、チョコラちゃん。スプラのガチ対決するって、伝えたばかりやん」
「でしたねー。えへへー」
台本通りのボケとツッコミ。うん、これでいい。
さてと、ここからが本番。悪いが、チョコラよ。貴様との馴れ合いはこれまでだ。これから貴様を打ち倒す!
といった訳で、マッチングしてゲームスタート。
あの女子キャラ、チョコラが操作するキャラか。横に回って照準を合わせて、と。
よし、絶好位置取り。悪いな、チョコラよ。死んでもらう……って、え?
確かにチョコラの側面を取ったはずなのだが、ペイント弾を神回避された。嘘だろ! なんて反射神経してんだよ。ニュータイプか何かなの、お前。
「って、うわああああああ」
絶叫している間に、チョコラのペイントビームが飛んできて、オレのキャラを粉々に粉砕。
「ま、まぐれだ、あんなの」
リスポーンされた後、陣地を塗ることもせず、再度チョコラに突っ込んでいくが、結果はみな同じ。悉く返り討ちにあう。
オレ、涙目。そして、ゲーム配信終了の時間がきた。
「みんなー、今日の配信は楽しんでくれたかなー。上杉さんとプレーして、とっても楽しかったよ。だって、上杉さん、『ギャー、ヒー、死んだー』とか叫んでばかりで。アハハ」
「……持たせたんだよ」
「はい?」
「今日はチョコラちゃんに花を持たせてやったんだよ!」
「あ、時間ですねー。それじゃあ、皆バイバイー。またチョコラのチャンネルに遊びに来てねー」
頭から「バイバイー」という単語が抜け落ち、Live2D姿のオレがしょんぼりとしていた。
ライブ配信終了と同時に、チャットの呼び出し音が鳴る。ミキサーで配信の方の音量をミュートし、チャットに応じる。
「ちょっと上杉さん。なんなんですか、最後のアレ?」
「文字通り、君に花を持たせたまでですが、何か?」
「ぐぬぬ……そっちこそ、ガチでやっていたでしょ? 私、分かるんですからね。やーい、ルーザー。この負け犬めー」
「……もう切る。だが、次はないぞ、チョコラよ。次はお前が負け犬になる番だ。じゃーな」
「あ、上杉さん。ちょ」
そこでチャットを無理矢理オフにした。
見てろよ、チョコラめ。いつかお前に吠え面かかせてやるからな。
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