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幼馴染と一緒にお昼ご飯

　次の日。登校している途中で、後ろから胡桃（くるみ）が肩をトントンとしてきた。

「おはよっ！」

「おはよう！　今日は珍しいな、いつもだったらもっと早くに学校に着いてると思ってたけど」

「今日はちょっと寝坊しちゃって、いいでしょたまには私と学校に行くのも」

「まあいいけど」

　胡桃は俺が学校に着く頃にはいつも席に座っていて、授業の準備をしている。俺は遅刻はしないけど、ギリギリの時間に着くようにしているから胡桃がこの時間にいるのに驚いた。

　一年の最初の方は一緒に登校してたけど、最近はそんな事もなかったからな。

　そんな事を思いながら、歩いていると胡桃が口を開く。

「あ、あのさ今日よかったら一緒にお昼食べない？」

「えっ」

「嫌（いや）ならいいけど！」

「嫌じゃないけど、珍しくてさ。最近は女子と一緒に食べてただろ？」

「そうだけど……一也（かずや）と食べるのもいいかなって」

　何故か目を合わせず、恥ずかしそうにしながら言った。

「どうせ一人だから俺はいいよ」

「そうだよね。一也（かずや）はいっつもボッチだもんね！」

「そんな言い方ないだろ」

「ごめん、でも今日からは私が一緒にいるからボッチじゃないよ」

「何だよそれ」

　昨日揶揄(からか)ったから、今日は俺を揶揄うのか。少し様子がおかしい気もするけど、たまにはこういうのもいいかな。

　胡桃は歩いている途中で遅刻したらどうしようとか焦っていたが、学校に着くとまだ授業は始まっていなかった。だけど着いたらすぐに先生が来て授業が始まる。

　授業が終わり昼休みになると、言っていた通り外のベンチで胡桃と一緒にお昼ご飯を食べる事になった。ベンチに座りおにぎりを食べながら話す。

「もしかしてクラスの友達と喧嘩でもしたの？　だからいきなり俺と一緒に食べるって言ったのか」

「違うよ、喧嘩はしてない！　幼馴染の最近の様子を聞きたくて」

「最近の様子って何も変わってないよ」

「ふーん、じゃあ好きな人とかいないの？」

「今はいないかなー」

「ふふっそうなんだ」

　馬鹿にしたように笑われてしまう。

「何で笑うんだよ」

「別に、まだ小説に癒され続けるのかと思って」

「小説の話はいいだろ。そういう胡桃はどうなんだ？」

「私は好きかどうかわからないけど、気になってる人はいるかな」

「意外だね」

「えーそうかな」

「だって昔は、白馬に乗った王子様と結婚するとか言ってただろ？」

「それは小さい時の話でしょ！」

　ムッとしたよう顔で怒られてしまう。でも胡桃が好きになるような人なんているのかな、誰か気になるけど聞いても言ってくれないだろう。

　しばらく食べていると、胡桃が突然こんなことを言ってきた。

「あっそうだ！　これからは、ここで一緒にお昼食べるのってどうかな？」

「毎日？」

「毎日じゃないけど週に何回かとか」

「昼は暇だからいいよ」

「じゃあ決まりね！　私は先に授業の支度してるからバイバイ」

「おう！」

　機嫌よく教室に戻っていく。あんなに機嫌がいいなんて、何か良いことでもあったのかな。

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