幼馴染ざまぁの事を話したら
俺、斉藤一也は最近ウェブ小説を読むのにハマっている。その中でも俺が読むのは、青春ラブコメディだ。高校二年生になった今でも、彼女ができない俺にとってはこれが癒しだった。
この事を幼馴染の胡桃凛に話すと、いつも馬鹿にされる。理由はオタクっぽくて嫌だとか、それなら真面目に恋愛すればいいでしょとか言われる。
そんな簡単に彼女ができて、恋愛できるなら小説の物語に癒しは求めない。と思いながら今日も帰り道に、ラブコメを読みながら歩いていた。すると隣にいる胡桃が口を開く。
「また読んでるの!」
「う、うん」
「そんなの読んでても彼女なんてできないし、それに歩きスマホはダメ! わかった?」
「わかったよ、一旦読むのはやめる」
そう言われスマホの画面を切ろうとした時だった。たまたま小説のランキングを見ると、「幼馴染ざまぁ」ものが一位から五位まで独占していた。
「最近はお気に入りのやつしか見てなかったけど、こういうのが流行ってるんだな」
「どうしたの?」
「いや俺が見てる小説のサイトにはランキングがあってさ、それを見てみたんだよ。そしたらこんなのが流行ってて」
スマホの画面を見せると、胡桃が驚いたような顔をする。
「ざまぁ?」
「あんまり読んだことはないけど、嫌な幼馴染と主人公が絶縁するみたいな話しらしいよ」
「ふーん、それって最後はどうなんの?」
「まだ最近流行ったばかりで、完結してる作品は少ないから分かんないよ。でもやっぱり最後まで仲悪くて終わるんじゃない?」
「えっ本当に!?」
「俺の予想だとそんな感じになるかなって話。でも俺達も幼馴染だし、いつかこんな事になるかもな」
冗談っぼくそう言うと、胡桃の表情が曇る。何かあったのかと思い、話しかけると心配そうにこんなことを聞いてきた。
「私とは、そんなことにならないよね?」
「そんなこと?」
「その小説みたいに、仲悪くなったりしないよねってこと!」
「うーんきっと大丈夫だろ。胡桃は優しいし元気で明るくて話してて楽しいから、仲が悪くなることはないよ」
心配そうな表情でいる胡桃を素直に褒めると、満面の笑みを浮かべた。昔から感情が顔に出やすいから、わかりやすいな。でもまあそういうところも、良いところだと思ってるんだけど。
褒められた胡桃は恥ずかしがりながら言う。
「あ、ありがとう!」
「あっでも、ちょっと怖いところもあるかな」
「えっ……」
「嘘だよ」
この時は揶揄いながら話していた。
だがこの事がきっかけで、幼馴染の胡桃凛が次の日から何故か甘々になっていくとは思わないのであった。
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