親友に捧ぐ
なろうラジオ大賞用
少ない文字数制限だと意外と書きやすいですね。文字数削るの大変ですが(;^_^A
連載にできたらしてみたいです・・・
(いうだけはタダ(○´ิ∀´ิ○)ドヤァ)
「シンシア・マクラウド公爵令嬢!貴様の公爵令嬢という身分を笠に着て行った非道な振る舞いは分かっている!!全くもって我が妻、ひいては王妃となるに相応しくない!よって皇太子である私との婚約を破棄する!!そして、非道な行いに耐えながら私を支えてくれた清廉なアンは王妃となるに相応しい。よってここに私とアンの婚約を結ぶことを宣言する!!!」
とある夜会の最中に空気を壊しながらそう宣言したのはこの国の皇太子。その傍には皇太子の恋人と噂になって久しい平民のアンが怯えた表情を浮かべ、かばわれるように立っていた。
それを見るとここしばらく消えることのなかった無力感や悲しさが頭をもたげてきた。
あなたと初めて出会ったのはまだ年端もいかぬ頃。身分も派閥も何も関係なくただ“お友達”と呼べた日々。王妃教育の厳しさや、周りからの期待、いわれのない誹謗中傷に耐えられなくなるといつもあなたに会いに行った。
あなたはいつもわたくしの憧れだった。優しい性根に、いつも笑顔の絶えない明るいあなた。裏表のない言葉はわたくしを安心させた。それでいて正義を貫く強さを持っていた。その正義は正しくとも、貴族の世界では鼻で笑われるもの。それを持ち続け貫ける強さは、良くも悪くも貴族として貴族らしく育っていた私にはまぶしく見えた。
そんなあなたが変わってしまったのはいつからだったのでしょう?
わたくしが気づかぬ内にあなたは変わってしまっていた。
優しい性根は、わたくしたちの人を貶めることを厭わない穢れた性根に
屈託のない明るい笑顔は、わたくしたちの浮かべる笑顔の仮面に
裏表のない言葉は、わたくしたちの様々な思惑や中傷を含む言葉に
正義は、上辺だけの薄っぺらな悪に
皇太子はわたくしがやった罪とやらを列挙し謝罪せよと言う。
それには応えず、わたくしは願いを込めて問う。
「アン様、あなたは本当にわたくしがそれらを行ったと思っておいで?」
彼女は一瞬わざとらしくビクついた後、勇気を振り絞った体で返事を口にした。
「シンシア様、罪を認めてください。あたしは謝ってくださるだけでいいんです。」
涙をうっすら浮かべ、その様はまるで聖女がごとき。
そう、堕ちた聖女
もう、我慢ができなかった。
わたくしは、かつての婚約者とかつての親友に、
永遠の別れの記念として人生で最高の笑顔とカーテシーを捧げ、会場を後にした。
お読みいただきありがとうございました。
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