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策略生徒会  作者: 中川大存
第三章【知略戦争】
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第三章【知略戦争】⑤

 

          [5]

 

 七月十六日──朝。

 臨時全校集会によって行われた生徒会の通達は、校内を揺るがした。まったく前例のない目新しさに対する驚きがその大半を占めていたのだろうが、その中にあって島崎は言葉の意味を理解した瞬間に何も考えられなくなった──それほどに、陽陵学園の実態を知る者にとっては衝撃的な発表だった。

 壇上に陣取った南岳は、余裕たっぷりに告げたのだ。

「昨日の生徒会にて、次期生徒会編成の効率化についての決議が行われ、可決しました。次期からの生徒会選挙においては、各部門に一定数の枠組みを設定し、全ての立候補者を現生徒会が審査した上でその枠組みに合うだけの人数を選出することとします」

 立候補者審査制度──。

 それは裏を返せば、立候補しても現生徒会の審査に通らなければ候補者にすらなれないということである。

 その気になれば候補者全員を南岳の手下で固めることすら可能なこの決定は、生徒会選挙においては反則的なまでに最強の一手──そして島崎達にとっては最悪の一手だった。

 

「まるで翼賛選挙だ。南岳もやるねえ」

 休み時間に島崎がこれからどうすべきか相談に行くと、連上はしかしのんびりとした調子でそんなことを言った。

「悠長なこと言ってる場合かよ! しかしどうしてこんなふざけた案が可決されたんだ──」

「そりゃされるさ、生徒会は一枚岩だもの。南岳がこうと決めればそれは実現する──今までは闇の存在を匂わせないためにあまりに露骨な真似は慎んでいたようだけど、追い詰められて開き直ったんだろうね。多少無理でも可決してしまい、不平は武力で抑え込む。苦肉の策ではあるが、意外と悪くはない」

「どうすりゃいいんだよ! あんな手を打たれたらこっちは──」

 焦る島崎に、連上は呆れたように笑って安心しなよ、と言った。

「こんな力技じゃ、あたしの策は崩せない。断言してもいいよ、南岳の打ったこの一手は無為に終わる──いや、むしろこれは墓穴だろうね」

「本当なのか?」

 あたしを信じてよ、と連上は嘯いた。

「状況は劇的に変わるから」


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