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ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双  作者: 新木伸
LV3編 Act5 ダンジョン・スタンピード

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step.65「戦いのなかでのレベルアップ」

 斬った。斬った。斬った。

 防いだ。防いだ。防いだ。


 ぼくたちはつぎつぎと迷宮から出てくるモンスターと戦った。


 まわりでも、他のパーティのみんなが戦っている。


「剣ちゃん! 炎!」

《もうだめMP足りない!》

「た、盾ちゃん――硬くなって!」

《だめですあるじさま!》


 ロック・ゴーレムの強烈な一撃を、ぼくは受け止め損ねた。盾が弾かれて、攻撃を体に食らってしまう。

 めしゃっ、とか音がして、ぼくは吹き飛ばされた。


「レムル――!」


 アルテミスが叫ぶ。もうしばらく前から、彼女はMP切れになっていて、「炎弾ファイアスプレット炎弾ファイアスプレット」と、唱え続けている。

 でも炎弾ファイアスプレットなんか、このあたりの階層のモンスター相手には、ほとんどなんの役にも立っていない。


 吹き飛ばされたぼくは、起きあがろうとした。

 すぐに起きあがれた。


 ――あれれ?


 派手に吹き飛ばされた割には、ぜんぜんダメージがきてない? なんで?


《大丈夫。貴方は私が守るから》


 革チョッキの下につけた胴当てから、そんな声がした。


《鎧ちゃん! ありがとう! ありがとう! あるじさまを守ってくれて!》

《……》


 盾ちゃんが言う。

 鎧ちゃんの声って……、はじめて聞いた。鎧ちゃんは喋れる子のはずなのに、これまでぜんぜんその声を聞いたことはなかった。


 ロック・ゴーレムは、ぼくのほうに歩いてくる。

 ぼくは瀕死のふりをして、わざとよろよろと後ろに下がった。

 ていうか。本当にだいぶ瀕死に近いんだけど。


 もう本当にだめな感じで、わざと、ロック・ゴーレムを引きつけた。


 なぜなら、ロック・ゴーレムの後ろからは――。


「俺の必殺技はなぁ――! MPつかわねえんだ! こんちくしょーっ!」


 ロウガが両手を突き出す。組み合わせた両手が、大きな顎のように、ゴーレムの背中に噛みついた。


 ゴーレムはがらがらと、岩に戻っていった。


 ようやく倒した。

 だけど一息つく暇もない。あちこちで戦いは続いている。


 第五層のモンスターが溢れ出してくるようになってから、これまでのように簡単には倒せなくなってきている。

 みんな苦戦しはじめていた。


「……お?」


 ロウガがふと足を止めて、音でも聞くように、きょろきょろと頭をめぐらす。


「……あっ?」


 アルテミスも同じ仕草をする。


「わぁっ……!」


 暗かったノノの顔が、急に明るくなった。


 ぼくは〝音〟が聞こえてくるよりも先に、体の痛みが急に引いていったことで、〝それ〟に気がついた。


 レベルアップの「たらりらった、たったー♪」という音が、頭の中に鳴り響く。


「MPが戻った!」


 アルテミスがさっそく近くの戦士さんに回復魔法を飛ばす。


「助かる!」


 戦士さんは剣を振ると、またモンスターに飛びかかっていった。


「シロちゃん! おねがい! ――また助けて!」


 ノノがシロちゃんを喚び直す。

 ノノはレベル回数分、ノノはシロちゃんを喚ぶことができる。シロちゃんは倒されると消えてしまう。でも喚び直せばまたやってきてくれる。

 迷宮前の戦いがはじまったときには、二回分あった残り回数だけど、厳しい戦いのなかで使い切ってしまっていた。ちょっと前からシロちゃんは消えたままになっていた。


「――ワオーン!」

「――って! シロちゃん大きくなってない!?」


 シロちゃんの大きさが、ダイアウルフぐらいある。前のレベルのときよりも、急に大きくなった。


「がるがるがる!」


 シロちゃんはノノの近くの空間に、突然、襲いかかった。

 ケイブ・カメレオンが保護色を使って身を潜めていたのだ。カメレオンの首に噛みついて、ぼきん、とかいう音が響いてきたら、カメレオンがぐんにゃりと体をまっすぐにした。


「スゲエ!? 一撃で仕留めちまったよ!?」

「し、シロちゃん強い!」

「シロちゃん……だよね?」

「くうーん……?」


 飼い主から疑問形で聞かれてしまうぐらい、シロちゃんは見た目も強さも変わった。


「ちょっとみんな! 私、しばらく突っ立ってるけど、守ってくれる?」

「どうした?」

「私――!? 新しい呪文覚えるから!」


 アルテミスは懐から手帳を取り出すと、真剣な顔で読みはじめた。


「シロちゃん! アルテミスちゃんを守ろう!」

「ワウッ!」


《あるじさま》

《あるじ、あたしたちもレベルアップできそうなんだけど……、しちゃっていい?》

《……》


 剣ちゃんと盾ちゃん……、あと、鎧ちゃんが、そう聞いてくる。


「もちろん」


 ぼくはそう答えた。


 剣と盾と鎧が、ぽうっと輝く。


「お? なんだなんだ? ひっさつくんが光ってるぞ? タートル師も?」

「アルテミスちゃんの腰のとこでもなんか光って……あっ! 下着! 勝負ちゃん!」

「わう?」


 みんなのアイテムも光っている。


《あるじー! レベルアップしたわよー!》

《おまたせしました》

《……》


《ご主人、待たせたね》

《共に参らん》

《あたいと勝負すんのだれ? ごっつい斧男が、いっぱいいるけど。――どいつ!?》


「よし。呪文いくつも覚えたっ! ――って、どうしたの? みんな?」


 アルテミスが、きょとんとしている。

 アイテムたちが話していたことは、まるで聞こえていなかったようだ。

 すごい集中力だね。


 HPとMPが満タン。呪文も覚えた。スキルもまだ試してないけど、なにか身についたっぽい。そしてアイテムたちもレベルアップした。


 さあ、やるぞー!


 ぼくたちは、迷宮から溢れ出るモンスターに向かっていった。

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●書籍情報!

「ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双」 2巻

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2019/03/25 2巻発売です! 完結できました!
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