表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双  作者: 新木伸
Lv3編 Act4 レベル3のぼくたちの日常

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/74

step.59「磨く」

 とあるお休みの日。

 昨日、鎧ちゃんが武器屋さんでの修理を終えて、うちにやってきた。


 本当をいうと、まだ何日かかかるはずだったんだけど……。あとは錆を落とすだけと聞いたので、自分でやることにした。


 いつものぼろ切れと、いつもの磨き粉で、せっせと鎧を磨いてゆく。

 錆が落ちて、銀色に光るところができると、ちょっと嬉しい。


「おーい。レムルー。朝飯なんにするー?」

「……」

「……って、うわぁ! おまえ一晩中磨いてたのかよっ!?」

「……」

「……朝飯できたら呼ぶからな? ……こいよな?」

「……」


 ぼくはせっせと磨きつづけた。


    ◇


「ねえレムルー。わたしとノノ、ちょっとお買い物行ってくるけど。お留守番よろしくね」

「……」

「……って、聞いてるの?」

「……」

「なにか欲しいものあったら、買ってくるけど?」

「……」

「聞いてないわね」

「……」

「聞こえてなかったら、返事すること」

「……」

「聞こえてないわね」

「……」

「ぼろ切れと、磨き粉だったっけ? 買ってきてあげるから。――じゃあねー」


 ぼくはせっせと磨きつづけた。


    ◇


「レムルさーん。ただいまですー!」

「……」

「磨き粉たくさんと、ぼろ切れたくさん、もらってきましたよー」

「わう!」

「……」

「ここに置いておきますからねー」


 ぼくはせっせと磨きつづけた。


    ◇


《しかしあんた、飽きないねえ。オバちゃん感心しちゃうよ》

「……」

《けどその子、なかなかしゃべらないねえ。しゃべれない子なのかもねえ》

「……」

《ねえあんた。――前の持ち主に、ひどい目にあわされたのかもしれないけど。人間はひどいやつばかりじゃないよ。この子のことは信用してやってくれないかねえ》

「……」

《……》


 ぼくはせっせと磨きつづけた。


    ◇


「なー、どうするー?」

「そうね。どうしましょう」

「どうしたらいいと思う、シロちゃん」

「わっふ!」


「……」


《あるじ、昨日も倒れるまで磨いていたわよ》

《今朝は気がついたら、またやってましたわ》

《ちょっと妬ける》

《ふふふ。妬かないの剣ちゃん。あるじさまはどんな子にもこうですよ》

《知ってるわよ》


「……」


「レムルがこれじゃ冒険にならねーぞ?」

「昨日はお休みだったから、今日は冒険の日なんだけど……。今日もお休みの日かなぁ」

「でももうすぐ終わりそうですよー。ほら、あと錆が残っているの、あそことここだけですから」


「……」


「じゃあ、今日もお休みの日にしましょう」

「やったー! 二連休ーっ!」

「ロウガ、なんでそんなお休みで喜ぶのよ?」

「あったりまえだろ! 喜ばねーおまえのほうがへんなんだよ!」

「えっ? わたしへんなの? そりゃ週一で疲れを抜くのは効率のためには大事だと思うけど……。なにかやってたほうが、よくない?」

「よくない! だーらおまえは〝委員長〟って言われるんだよ!」

「なによそれ? なんなの? 褒めてるの貶してるの、どっちなの!?」

「やーい! 委員長ーっ! 委員長ーっ!」

「ちょっ! 待ちなさい! コラ! 馬鹿ロウガ!」

《あはははは! ばかロウガー。ばかロウガー。――あっちょっ! 誰か運んでいってってばー!》


「……」


 ぼくはせっせと磨きつづけた。


    ◇


「……よし。おわった」


 最後の錆を落としおえて、ぼくはそう言った。


 部屋の中は暗い。真っ暗だった。

 あれ? へんだなぁ……?


 武器屋さんから鎧ちゃんを受け取って部屋に戻ってきて、磨きはじめたのが夜だった覚えがあるけど……。

 まだ朝になっていないのかな? けっこう時間が経ったと思ったんだけど。


 鎧ちゃんはピカピカになった。新品みたいに見える。


「綺麗になったねー」

《……》


 話しかけてみるけど、やっぱり返事は返ってこない。


「ふわぁ~ぁ……」


 ぼくは大きなあくびをした。


 ちょっと疲れたかなー。

 みんなが起きるまで……。朝までちょっと眠るかなー。

 ちょっとだけ……。


 鎧ちゃんに抱きついた格好で、ぼくは睡魔に襲われた。


《貴方は私が守るわ》


 眠りに落ちる直前、そんな声が聞こえてきたような気がしたけど……。

 気のせいか、夢だったのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
●書籍情報!

「ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双」 2巻

8tn33tr61r3l898af869heoclqwz_18ib_fh_m8_
2019/03/25 2巻発売です! 完結できました!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ