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ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双  作者: 新木伸
Lv1編 Act6 迷宮第三層 ゴブリンの洗礼

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step.35「ゴブリン狩りの人たちと」

「いやー、すまんかった」


 二階に戻って――。

 体の大きな戦士の人が、つるっとした頭を撫でながら、そう言った。


「すまないじゃないですよおぉぉ!! 轢き殺されてたらどうするんですかあぁぁ!!」

「あんな――ゴブリンがあんなにたくさんでっ! 俺ッ!! 俺びっくりして!! 死んだふりもできなくてっ!!」

「あああああ!! シロちゃんシロちゃんがいないです!! どうしよう!! どうしよう!!」


 戦士の人は落ちついているのに、みんなは大騒ぎ。

 みんながあまりに慌てているので――ぼくは皆のおでこに〝ちょっぷ〟を入れて回った。

 特に大騒ぎしていたノノには――。


「シロ……は。還った。」


 シロちゃんはトレイン? とかいうのに轢かれちゃったわけだけど、ダメージ受けたら還るだけだよね。


「はっ。そうでした」


 ぼくたちが落ち着いたのをみて、大きな戦士の人が、にかっと笑う。


「いやぁ。すまんすまん」


 戦士の人がまた謝ってくれた。最初に走ってきたときと合わせて、もうこれで三回目。

 トレイン? ――とかいうのは、ようするに、モンスターを引き連れて逃げてくることを言うみたい。


「ゴブリン狩りに来たんだが。さすがに数が多くてな。一旦、退却をしようと思ったんだ」

「ごめんねー。人が来てるとは思ってなくてー。このところ三階で他の人に会ってなかったもんだからー」


 こんどは盗賊なのかな? 髪が短くて、動きやすそうな格好をした、活発そうな女の子が、そう謝ってくれるた。

 もうこれで謝ってもらうのは四回目。


 盗賊の子だけぼくらと同じぐらいの年齢。他の人たちはもっと年上。すくなくとも二十歳は越えているように見える。


「ま、まあ……。なにもなかったですし。うまく逃げてこられましたから。……大丈夫です。はい」


 アルテミスが言っている。


「さっきシロがどうとか言ってたが?」

「あっ。シロちゃんは召喚した子です。だいじょうぶです。また明日になれば呼び出せますし」

「巻き添えで消しちゃったんだな。すまんすまん」

「お詫びというわけでもないんだけど。三階のマップ。――提供するわよ」


 盗賊の子がそう言ってくれた。


 それはかなり嬉しい申し出だった。

 三階のマップはギルドにもなかった。一から知らない階に赴くより、色々知っておいて行くほうが、安全だし安心だし。

 もともと未踏の地だから三階に行こうとしたわけだけど、もう先に行っている人がいるなら、教えてもらったほうがいい。


「今回の三階は、こんな感じよ」


 マップを見せてもらえた。こっちの人はマップは紙に書いている。

 ぼくは端から書き写していった。


「ヘー。盾の内側に書いてんの。便利ねえ。――ガイル。あんたも見習って盾に書いたら?」

「はっはっは。そういう細かいことは、おまえに任せるよ。――盾ないし」


 大きな戦士の人の武器は、大きな両刃の斧だった。

 大きな戦士の人の体格でも、両手でないと振るえないぐらいの大きさがある。

 すごい威力がありそう。


「ゴブリンは、ここと、ここの部屋にいた。最初の二つの部屋にいたのは始末したんだが、宝箱の部屋で警報アラームを鳴らしちまってなぁ」


 警報アラームってなんだろう?


「あたしのせいじゃないわよ。罠の解除中にお尻なんて触ってくるから、手元が狂っちゃって――」

「じいさん。セクハラは、やめ。――な?」

「老い先短いジジイの楽しみを奪うつもりか」


 おじいさんの魔法使いが言う。


「もともとゴブリン狩りに来ていたわけですから、わざわざ宝箱を開けなくてもよかったのではないですか?」


 長い髪の女僧侶さんが言う。


「いやぁ。盗賊の血が騒ぐっていうかぁ。なぜ宝箱を開けるのか! なぜならそこに宝箱があるからだ! ――って、言わない? ねえ言わない?」


 盗賊の子が、ぼくらに話を振ってくる。

 宝箱を見つけると、わー、きゃー、ひゃー、と喜んでいるぼくたちは、こくこくこくこくと、4つのうなずきを返した。


「じゃっ! あたし――こっちの子たちと行くからー」

「待て待て待て待て。盗賊に移籍されると困る」


 なんか? 移籍? とかいう話にいきなりなって、戦士の人が引き留めている。


「だって盗賊、いらないんでしょー?」

「宝箱はともかく罠は俺たちじゃ手に負えん」


 大きな戦士の人が、盗賊の子を、がっしりと掴まえる。


「こいつが変なこと言ってるが、気にせんでくれ」

「あーほら、腕がおっぱい、あたってる」

「いまも変なことを言ってるが、気にせんでくれ」


 ぼくたちは曖昧にうなずいた。

 他のパーティの〝ノリ〟には、どうもついていけない。


「そろそろゴブリンも階段近辺から引きあげた頃だろう。俺たちは下に戻る。経験値稼ぎに来てたんで、ゴブリンを狩っていく予定だ。――君たちはどうする?」


 ぼくらは顔を見合わせる。目線で会話をしたあと、三階のマップを皆で指差した。

 三階の探索だ。


「そうか。健闘を祈る。俺たちは未踏破側に行く。探索済みのところの、三つ目の部屋にある宝箱は、もう罠も作動して残ってないし、俺らはあんまり用がないから、よければ、開けていってくれ」


「うおー! 太っ腹ーっ!」


 ロウガが歓声をあげる。恥ずかしいから、やめようね?


 装備とバックパックを床から持ちあげて、彼らは移動をはじめた。

 階段を下りてゆく。


「じゃあね~♡」


 盗賊の子が、手を自分の口にあててから、ぼくらに向けて投げてくるみたいな仕草をした。

 ロウガは真っ赤になってる。――なんで?


「痛えええ! ――なぜ足を踏む!」

「なんとなく。レムル……、は、踏む必要ないのね」

「さすがです。レムルさん」


 アルテミスとノノに言われる。なにが「さすが」なんだろう?


 ぼくたちは彼らが下りていってから、しばらく待って――。

 それから階段を下りていった。


 色々あったけど、仕切り直しで――。

 三階の攻略開始!

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●書籍情報!

「ぼくは人間嫌いのままでいい。剣ちゃん盾ちゃんに助けられて異世界無双」 2巻

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2019/03/25 2巻発売です! 完結できました!
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