第1話 異世界(前編)
見慣れない音、見慣れない服装、見慣れない建造物。
ここは今までの住んでた世界とは違う事がわかった。そう…ここは異世界だ。
「いやいやいやいや!ないないない!ちょっとパパー!戻して!」
大声で彼は叫んだが、何も変わらない…そう…ここは異世界だからだ。
「おい…」
彼はこの世界に困惑して思わず涙が…。
「おい…!聞こえてんだろ!ナレーター!」
え?もしかして私に言ってる?
「そうだ!お前以外に誰がいるんだ!」
んなこと言われても…っておい!なんてルール破りな事をしてるんだ!これは1つのお話じゃねーか!
「いいからマイクを貸せ!」
ちょ!やめ!うわっ!……あ〜あ〜、聞こえますか〜?パパ?ちょっと元の世界に戻してくれないかな?
「……ん?今は私が紅茶を飲んで美人のメイドとニャンニャンってやるシーンじゃないの?ナレーター。
てか…なんか聞き覚えがある声なんだけど…」
僕だ!僕!息子のエディだよ!パパ!
「はぁ…ちょっとは小説のルールを守ってくれないかな…」
ねぇ!お願いっ!
「ダメだ」
え?なんで…?パパ…。ほら、こんな掟破りな事をするからお父さんも許してくれないんだよ…ってか、こんな所に来られたら、読者が誰が何を言ってるのかわからないよね?
「息子よ…それは出来ない…なぜなら…なぜなら…!」
とりあえずマイクを返せ!このっ!父である大魔王は息子に呆れてしまいながらも、理由を話す。ふぅ…ようやく仕事に戻れる…。
「今はニャンニャンってメイドが甘えて来るシーンだからだっ!」
おいぃぃ!父の威厳ゼロじゃねーか!
「おいおい…そ、そんな事をしたら私は…」
ちょっと待てぇぇぇ!ってお前は何を見てんだ!息子だろ!いいから元の異世界に戻れ!
「ぐわっ!」
とりあえず元の異世界にエディを突き飛ばした私は大魔王の所に足を踏み入れる。
「め、メイドさん…。え?おい!何入ってきてるんだ!」
「そんなシーンは最初からあるわけねーだろうが!」
「ぐはっ!ちょ…ちょっと?ナレーター?し、仕事に戻ろ?え?何…?その手にしたバットは…え?ま、待て待っ」