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╣淫・呪・秘・転╠亡国の暗黒魔法師編  作者: 小桜はんぺん
第十二章 分岐点
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第300話 振り出しに戻る

300話にしてようやく冒頭の場面に到着しました。まだ、修正しきれていない第話部分も多数有りますし、誤字も多いですが今しばらくお付き合い下さい。途中、もっとキャラの個性を打ち出そうかとも、もっと説明補足を多くしようとも思案しましたが、まずはここまで辿り着く事を優先しましたが一年半近く掛りました。途中長期入院などの不本意な事件も有りましたが何とか辿り付けたようです。(実は・・・ここまでがプロローグだったりして) 今後は転生場面に展開していきますので、宜しくお願い致します。

辺りを見回せば、先程まで戦っていた残り香がする・・・

大理石で出来た薄暗い室内には、所々に切り飛ばされた敵の肢体や魔法で焼け焦げた跡や、氷漬けになったモノが無造作に転がっている。


「ねぇ、ちょっと休憩しない?」シーラが皆に向かって問いかけると「そうね、この扉の向こうが目的の部屋みたいね」パウリナが答えると「装備の確認もしたいし結界作るわ」とロリが告げる。ロリは結界を作りエルヴィーノは空気と身体の浄化魔法を唱え、皆の汚れた装備が綺麗になっていく。


最終決戦を前にして嫁が作った安全地帯で体力の回復と装備の点検している。魔法石で作り出された焚き火の変わりの灯りが皆の顔を照らしている。「結構魔法を使ったわよねぇ」「大丈夫だ。パウリナの腕輪にはこれから魔素を送るから」ロリが心配するがエルヴィーノの魔素を腕輪に補充する事でパウリナが魔法を使えるようになる。六、七、八、九階と予定していた戦略を読み違えてパウリナの魔法に依存してしまった結果だ。


だがシーラの腕輪も携帯しているので余裕があるが、念の為魔素の補充をする。お蔭様で、さして労せずに最後の扉まで辿り付け、妻達の体力は温存できたであろう。壁の隅でそれぞれが繕いで居た。流石に魔素の回復は出来ないが、負傷していないのである程度休めば回復するだろう。エルヴィーノとロリは大人しく座り、パウリナとシーラは身体を動かして決戦前の準備運動をしている様だ。


隣からロリの甘い香りがしてくるので、自然に頭をずらして膝枕をしてもらう。少しでも落ち着こうとして目を閉じ瞑想するエルヴィーノを優しく撫でるロリだ。パウリナとシーラは組手をして余念がない。いつでも戦う準備は出来ているようだった。


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


どの位瞑想していただろうか。目を開けると大きな霊峰の向こうから見ているロリの顔があった。「起きたぁ?」「ああ、そろそろ行くか?」「そうね。あの2人はいつでも良いみたいよ」シーラは剣を使わずに体術でパウリナと組み手をしている。「さてと」エルヴィーノは起き上がると、大きく伸びをした。「じゃ行くか」そう言ってロリの手を取り起こしてやる。


「やっと起きたぁ」「いつまで休んでるのぉ」2人に文句を言われるが怒っては居ないようだ。四人は扉の前に立ち並ぶ。大きな石で出来た両開きの扉だ。龍の紋様が彫られて有り、エルフ語で文字が刻まれて有ったのでエルヴィーノが読み上げた。「太古の昔、地上を荒廃させた悪意の化身たる(いにしえ)のドラゴンに力を示せ・・・」「ねぇ・・・」「聞いて無いけど・・・」「シーラ・・・頑張って」ロリが質問し、シーラが否定して、パウリナが回避しようとしている。


四人は扉の前で固まっている。「シーラ。お前の試練だ。お前が行くなら俺も行くぞ」「もう、解っているでしょ?」そう言うとエルヴィーノに近づき唇を押し付けて来た。「もう、この場面で何してるのよぉ」「そうだそうだ! なに甘えているのよぉ」ロリが怒るとパウリナも同意する。シーラが離れると「じゃ私も」そう言ってロリが抱き付いて来た。「あっ、もおぉぉお姉様ったらぁ」舌を絡ませてくるロリを引き離そうとするパウリナだ。「私もよ」パウリナも等しく扱い戦いの準備が出来た・・・


※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez


石の扉は塔の入口と同様に力を必要とせず軽く押すだけで開いた。「ここが屋上かぁ」五階と同様に壁と天井は無い。だが、見渡す限り真っ暗だ。頭上は夜空の様に見え星々が輝いていた。「油断するなぁ」一応声を掛けると”ブルッ”と身震いがした。別段、寒くも無く敵も見えないのに不思議に思い妻達を見る。


ロリとパウリナは小刻みに震え、シーラは足が震えていた。「大丈夫か、みんな」「あなたこそ大丈夫なの?」「そうよ、こんな恐ろしい魔素が吹き荒れているのよぉ」ロリとシーラが答え、パウリナは恐ろしくてエルヴィーノに抱き付いている。「確かにチョット異常だな」「チョットどころじゃ無いでしょう」「お姉様、直ぐに結界の準備を」妻達が危機感で警戒しているが、鈍感な夫だった。


「見て!」シーラが指し示す空間の先に丸い魔法陣が見えた。かなり遠くに感じるがそれ程大きく無いだろうと高を括るエルヴィーノ。なにしろフィドキアの召還魔法陣は直径400mも有るのだから。


すると、何やら出て来たように見えた。「さぁ、お出ましの様だ」と言った直後、嵐の様な魔素風が吹き荒れた。「これはっ」「インスティント様の時より凄いわ」魔素嵐はエルヴィーノとシーラは経験しているがロリとパウリナは初めてだ。「ロリッ」振り向くと既に魔法を唱えていた。


四人を囲む結界の中は、流石に魔素嵐の影響は来なかった。「じゃ、どんなヤツなのか待ってるか?」「そうね、今までの敵であれば全員で対処すれば余裕だと思うけど、もっと近づいて見なきゃ解らないわ」


エルヴィーノとシーラは近くに来るまで待つ事を選択した。計画では最後の敵を見てシーラが挑むか、全員で一気に片を付けるか二拓だった。前方を眺める四人。「遅いね」「なんか鳥みたいだよね」「でも羽? 翼は動かしてるよ」遠くに見える”ソレ”はゆっくりと翼を動かしているが、一向に近づいている感じがしない。


「でもさぁ、あんな遠くなのにさっきの魔素嵐だったでしょ? 流石は(いにしえ)のドラゴンよねぇ」パウリナが客観的な感想を述べると「ねぇ、あなたぁ」「何かイヤな予感がするけど」ロリとシーラが目を凝らして見ている。「ああ、俺も考えてた所だ」それは小さく見えているだけで、実は凄く遠くから物凄い速さで向っているのではないかと。


その存在は、エルヴィーノ達の場所よりかなり遠くの空に転移して現れた。「・・・」古のドラゴンも思う所が有ったようだが、速度を上げて向かう事にするようだ。「なぁ、もしかするとスッゴイ速さで来てるのか?」「「「・・・」」」妻達からの返事は無い。


四人の身体には嫌な汗が流れていた。「おい、まさか・・・」「ええ。そのまさかの様ね」「あそこまで大きいとは・・・」エルヴィーノとシーラにロリの記憶にあるフィドキアとインスティントにラソンの成龍形態を遥かに上回る大きさで近づいて来る。


そしてゴオオオォォと言う魔素嵐の音が聞こえ、降り立つその姿は山の様だった。フィドキアの成龍形態でさえ翼を広げて300mほどに対して、目の前。もとい結構離れた前方に(そび)え立つ存在は、翼を広げた状態で約6,000mとなる巨大さだ。


「でっけえぇぇっ」「大きいわぁ」「まさか、これほどとは」「凄い、これが古のドラゴンッ!」パウリナだけは喜んでいるようだった。


その存在はしなびて古く、悠久の時間を越えて来たような体躯だ。その瞳には賢者の如き輝きを宿しながら全てを見通すかの様だった。幻想と叡智に恐怖が入り混じり全ての死を司る様に思えたエルヴィーノだった。


(良く来た力を持つ者達よ)四人の脳裏に聞こえる声。「これは」「ええ、目の前の方が話している様ね」シーラとロリが感心していると(手段を問わず我に傷を付けてみよ)古のドラゴンは戦うのではなく傷を付けろと言ってきた。

まさか、ここまで続くとは思っていませんでしたが、ノクターンノベルに転移後とも宜しくお願い致します。小桜はんぺん

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