第1話 プロローグ 改
この物語は、ほぼ戦闘シーンはありません。敵キャラもほぼ出ません。ムカつくキャラ、イラつく言動のキャラも基本的に出しません。推理も無いです。転生モノですが終盤の予定です。運命の悪戯に翻弄される主人公が沢山の秘密と共に波瀾万丈の人生を綴るお話しです。
辺りを見回せば、先程まで戦っていた残り香がする・・・
大理石で出来た薄暗い室内には、所々に切り飛ばされた敵の肢体や魔法で焼け焦げた跡や、氷漬けになったモノが無造作に転がっている。
「ねぇ、ちょっと休憩しない?」シーラが皆に向かって問いかけると「そうね、この扉の向こうが目的の部屋みたいね」パウリナが答える「装備の確認もしたいし結界作るわ」ロリが告げる。ロリは結界を作りエルヴィーノは空気と身体の浄化魔法を唱え、皆の汚れた装備が綺麗になっていく。なんでこんな事になったのか。大体俺は一族の再興と安住を求めて、嫁達と楽しく暮らすはずだったのに。(俺が悪いのか? ) ため息をつく。
こんな事とは、勇者のパーティーに無理矢理入れられて、最強最悪のエンシェントドラゴンと戦う事だ ! そうエルヴィーノは今、魔族の勇者が率いるパーティーと一緒に、最終決戦を前にして嫁が作った安全地帯で体力の回復と装備の点検している。魔法石で作り出された焚き火の変わりの灯りが皆の顔を照らしている。
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勇者(クエルノ族)年齢不詳。シーラ・ジャンドール(魔王ハンター・ジャンドールの娘)
一般的に魔族と言われている一族だ。しかし本当の種族名はクエルノ族と言い、角の有る一族の事だ。中には見るからに獣人だが角が生えている者も居るが、人族の俗称で魔族と呼ばれている。種族名にはこだわりが有り違う名で呼ぶ人族が嫌いで、お返しにイディオタ(馬鹿)族と呼んでいる。人族が魔族と呼ぶのは単純で、見た目(主に角)と圧倒的な魔力を感じ取っての事だ。言葉も通じなかった時代の名残である。
魔王から出された試練は「仲間を率いて自らが先頭に立ち古き龍を倒してこい。そうすれば、何でもお前の言う事を叶えてやる」魔王の陰謀よりも夢が叶う事が重要で、本人は命令や義務的な束縛が嫌いなので国を出て自由に生きたかった。神撃魔法・聖神魔法以外全て使いこなし、圧倒的な魔力で肉体操作して恐るべき力を発揮する。ただ、暗黒魔法はあまり得意ではない。(親への反抗意識の為)得意なのは炎、氷、爆裂、風、土系の魔法は極めている。
漆黒の髪は風になびくと美しく輝き、しっとりとした浅黒い肌の下は獲物を捕らえる為の力と魔力を持ち、赤く光るその眼は全てのモノを魅了するが如く。凄まじい魔力がこもる頭の左右から出た紅蓮に輝く赤い角が魔族を象徴している。しかし、全体の凹凸感が凄い!! 腰が凄く細いくキュット上がった臀部と、折れそうなくらい細い足首だ。
種族の証しでもある漆黒の髪と紅蓮の角に、エルヴィーノに似た耳。浅黒い肌。赤く光る眼。どんだけ? みたいな双丘が、優しさと恐ろしさが同居して、魔族の女性特有の魅惑的な顔と性格だ。一族を思う優しく思いやりのある性格だが、親の事となると全否定であった。ただ、魔族の男からしてみれば、かなりの理想郷がそこに存在した。彼女はエルヴィーノの第四婦人だ。
群青の聖戦士(獣人族)年齢不詳。パウリナ・モンドラゴン(獣王ライオネル・モンドラゴンの娘)
神速のパワーファイターで、戦闘補助魔法が使える。獣王とはあまり似ておらず母親似のガトー(猫)族だ。しかし無駄に大きな双丘は、胸元の開いた鎧の隙間から谷間、イヤ渓谷見え、ガン見するとガトーキックやガトーパンチが飛んでくるので、ばれない様に動体視力でいつも楽しんでいる。
後頭部で一つに纏めて縛ったシルバーグレイの髪が優雅に揺れ、可愛く小さい猫耳に鋭く威嚇する碧眼。スッとした高い鼻と、肉厚感のある唇。性格も真面目で明るい。クールビューティがお似合いな色白の身体は、さほど筋肉は付いて無い様に見えるが、その力は力まずともエルヴィーノを軽くねじ伏せる力がある。しなやかな体にほとんど体毛は無く、人と見分けるのは耳と尻尾くらいだ。ただ、この巨大な双丘が神獣化した時にどこに行くのかは不思議でならない。彼女はエルヴィーノの第三婦人だ。
神聖魔法使い(人族)年齢不詳。ロリ・ヴァネッサ・シャイニング
(聖魔法王国、国王リアム・ガブリエル・シャイニングの娘)神聖魔法の使い手。一族直系の上位聖女サンクタ・フェミナ(神聖女)だ。
肉体・精神回復系、補助魔法全般、防御系、神撃系と神聖魔法の使い手。エルヴィーノにとっての最強の武器は巨大な双丘だが、聖衣の下に大切に封印されている。それは彼との戦いの時だけ封印が解かれ、いつもの事ながらその巨撃と攻防を繰り広げている。温和な性格だが多少天然が入っていてキレると怖い。
エルヴィーノが初めて生れた国を出た時に出会った女性で、初めて人族と関わり合った運命の女性だと本人は口癖の様に言う。初見は全身(頭まで)法衣を纏っていたので、エルヴィーノは分からずに戦闘態勢を取ったのが懐かしい。混血で、エルフの血も入っているのか金色がかったピンク色でボリュームのある髪をベールで隠し、身体を足元まで覆う法衣は魔法攻撃無効化と物理攻撃無効化が常時発動中だ。童顔の彼女はパッチリとした二重で眼は青空のように吸い込まれるような碧眼と、薄紅色の口元はいつも笑みを浮かべている。
そんな顔と手首しか見えない彼女だがもう一か所特徴のある場所がある。法衣の上からでも主張している胸部だ。そこにどれだけのお宝があるのかつい想像してしまうのは男の種族として嬉し悲しの定めだ。彼女にはエルヴィーノが考案した特別な魔法を付与してあった。それは”ある部分が浮遊”しているのだが、結局は妻全員の身体の一部が浮遊する事になる。彼女はエルヴィーノの第二婦人だ。
暗黒魔法師(ダークエルフ族)エルヴィーノ・デ・モンドリアン
(亡きダークエルフ王の娘リーゼロッテ・デ・モンドリアンの子)私生児。
エルヴィーノは謎多き亡国の王子で、暗黒魔法と空間魔法の使い手。あと生活系の魔法や補助魔法、召喚魔法などで、戦闘用はこの暗黒と空間の二種類を使い、他の全ての魔法属性を使えるがそれぞれ初期魔法しか使えない。戦闘は二系統で事足りたし、熟練度を上げるのも面倒くさかったから。と言うよりも余り戦闘は好きではない。身を守る事と、愛する者を護るために覚えた魔法だ。他にも使える特殊な魔法が有る。
そう! エルヴィーノたちは魔族の勇者が率いる異種族混合”一夫多妻”のパーティーだ。因みに彼女達の年齢は知っているけど、あえて言わない。やはり女性に年齢の事を話すのは失礼だと思うので。(そんな事話したらどんな酷い目に合うか考えたくもないのだ) エルヴィーノは普段、若干上方(おでこ辺り)を見て彼女達と話している。理由は察してもらえるはずだが、エルヴィーノの意思に関係無く視界に”イロイロ”と入ってくるからだ。彼女たちは会話の時にいつも”夫”の目線を見ている。ちょっとでも目線が下を向いたら”誰々の胸を見た”と言って追及して来るのだ。だがそこで争いは起きない。彼が一方的に疑われ、咎められ、怪しまれ、罵られ、理不尽にも軽い体罰を受けるだけだ。(みんな昔はもっと優しかったのに)
皆それぞれの想いを胸に秘め作業をしている中、エルヴィーノは一通り作業を終わらせて嫁達を見ながら出会った頃と、自分の過去を思い出していた・・・
いきなりクライマックス的な感じで始まりますが、扉を開けると最終決戦になります。エルヴィーノが誕生してから、扉の前に来るまでに辿った紆余曲折な過去の回想を予定しています。最終的には、「異世界にブッ飛ばされるのは俺が悪いのか!?」と思いながら飛ばされる予定です。どこに行くかは、まだ内緒です。