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わかるかしら?

 わかるかしら? この喜び。

 わたくしは知っていたの。

 ここは恋愛ゲームの舞台だって。

 この学校の街を舞台にしたシリーズ。『フォーチュンネーム――恋する学び舎――』だって。

 わたくしの一番の当たりキャラは主人公と同じ学年に留学してきた隣国の王子様。留学生は毎年違う国からで四年で一回り。

 私は無印の攻略キャラで難攻不落氷の乙女。とか言われてる。同時に女性向けでは妨害キャラの一人だ。ちなみに友情エンドもある。エロゲでは蹂躙されるチョロキャラだ。

 そう、私はギャルゲも乙女ゲもエロゲだって差別しない恋愛ゲオタクだった。

 喪女?

 違う信者と言って欲しい。

 無印ギャルゲから桃心オトメ黒箱エロゲ蒼華ビーエル白歌ユリ、束縛までシリーズ番外ファンディスクも含めて時には生活費までつぎ込んで追っかけたのだから!

 こほん、しかしそれは前世のこと。

 今生にはちょっとしたステップアップにしか役立たない。

 私は、わたくしとして生きていくことに決めたのだから!

 黒箱・束縛展開はいただけないですもの。

 少し悩むのは展開している選択肢、複数のゲームの展開は絡んだり絡まなかったり、ゲームの設定や二次で想定されていた状況も無きにしも非ずで、(ゲーム中接点はないけど同じ学部選択してる二人が会っていないわけがない、親友だったら萌え! という脳内補完妄想だ)実際、友人だったりいい先輩後輩だったりする。

 そして、わたくしは現在第三学年。

 ゲームで言えば第三シーズン、束縛でいうなれば第二シーズン真っ只中。各主人公の動向が気になるところです。

 いくつかのパターンが複雑に絡まっていると考えれば、難しい。それでも基本ルートがあるものだから。わたくしが避けるべきは、主人公、敵対勢力による王国のっとりフラグだけは叩き潰すのです!

 現在、わたくしに接触してきている方々のうちに主人公キャラはおそらくいないようです。一人を除いて。

 その一人はルームメイトのシシリー。束縛の女性視点時の主人公にして男性視点時における攻略キャラの一人です。ストーリー中五本の指に入る不憫キャラ。

 ただ、シシリーはもう少し、直情的、行動的なおどじっ子だったはずなのだ。時々、天然だなぁとは思うけど、どこか違う。

 彼女ルートからは見えるフラグは現在動いているようには見えないです。

 多分、わたくしの侍女就職フラグは立ってるはず。白歌フラグはわたくし立てる気はありませんし、信頼できる友人にして侍女をゲットです!

 そのための強制礼法スキルアップしていただきました。

「花嫁修業、就職に有利じゃないかしら?」

 と囁けばシシリーはチョロかったと言えます。

 お友達として付き合う彼女はプレイしたとおり、とてもかわいらしかったです。

 実験室から逃げ出した爬虫類や両生類、マウスを手づかみ捕獲したり、害獣駆除に出かけてうさぎを捕まえてきて、わたくしに振舞ってくださったり。その毛皮を見ながら、「防寒着を作るなら何匹くらい必要かしら」と見つめていたりしてましたけど。

 ワイルドすぎじゃないかしら?

「ミルキラ? それで、西からの留学生と、春の祭典に行きたいのならそろそろ声をかけたほうがいいんじゃないの?」

「ええ、そうね。お祭りに、案内したいと誘おうにも、まず、知り合わないとね」

 助力する? と聞きたそうなシシリーを見ながら、攻略プランを考える。

 顔見世は済んでいる。次は名乗りだ。

「せんせーに聞いてみようか? 会えそうな時間」

 ぇ?

「せんせー、ってフィブレ先生?」

 シシリーはにこにこと頷く。

「やさしーし、情報通だし、きっとこっそり教えてくださると思うの!」

 無邪気なシシリーに、わたしく、いえ、わたくしの血の気が引く。

 束縛二期の攻略キャラフィブレ先生。温厚優男系にして、超執着系。ちょっと待って!?

 シシリーは束縛一期よ?

 いや、フィブレ先生は一期でもちょい出してたけど?

 む、無関係?

 ……そうよね。ただの生徒と教師で、仲がいい、だけですわよね。

 ゲーム中でもシシリーがそう、呼んでた気もしますし。シシリーは基本、人見知りしませんものねぇ。

「あ」

 ふっとシシリーが不満げな表情を見せた。

「どうなさったの?」

「西からの留学生、ミルキラの気にしてる方って、アレと仲が良いみたいなのよね。すっごく失礼なの! ミルキラも気をつけてね」




 どーして今こんなに貴女シシリーにフラグが立ってるんですのー!?



 面白いので傍観、観察ですわ。なんて楽しいのかしら。思いもかけない展開。妄想が働く。この展開。



 わたくしは恋し、恋に溺れる。

 わたくしの初恋は二次元。わたくしは恋に恋してる。

 そして、わたくしは無償の愛など信じていない。

 払う対価も、このトキメキのためなら惜しくない。

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