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第0話、序章
朝起きてリビングにいくといつものように笑うオカン
「おはよう。カナちゃん」
俺の名前は叶〈カナエ〉なのだが、オカンは上の2文字にちゃん付けで呼ぶのが好きなのか、17年間ずっとカナちゃんと呼ばれている。
年頃の中学生のときは女みたいで嫌だったけど、中々カナちゃん呼びをやめてくれなかったからもう諦めた。
兄弟たちは部活やらテストやらで家を早くに出ていて家には俺とオカンだけ。
さっさと朝ごはんを食って家を出ようとすると、パタパタとキッチンからオカンが走ってきて弁当箱を渡してきた。
「はい、お弁当!いってらっしゃい!カナちゃん!」
「・・・おう。行ってくるわ」
ニコニコと手を振るオカンを残し、俺はあくびをしながら家を出た。
まさか、オカンを見るのはこれが最後になるとも知らずに