トウコ・ユリ
紹介が遅れたが、私の名前は「トウコ・ユリ」。トウコが姓で、ユリが名。まあ、気軽に「ユリ様」と呼べ。……嘘です、ごめんなさい。
さて、今日から新しい生活が始まる訳だが、私にとっては別にどうでも良かった。
せっかくの高校生活。「華のJK」的な青春を味わいたい気持ちも、全くないわけではない。が、平和に暮らせれば、それだけでいい。
というのも、私の通っていた中学は、はっきり言って「とても」荒れていた。イジメられたこともあったし、自分がイジメたこともあった。表面では仲が良くても、裏では悪口のオンパレード、なんて日常茶飯事。常に他人の顔色を伺い、強い者についていかなければならなかった。私は、学校で一度も泣いたことがなかったため、「強いね」ってよく言われたのだが、本当はとても辛かった。ただ、ドライアイで涙が出なかっただけだ(真顔)。そしてもちろん卒業式でも、泣くどころかむしろ喜んでいた。やっとこの苦しみから逃れられる。そういう思いでいっぱいだったのだ。
中学生活での3年間は、私に大きな変化をもたらした。「人間関係」に対する恐怖、という変化を。
対人恐怖症程のものではないが、私はどうしても他人の目を見て話すことが出来なくなり、人間関係が面倒臭くなってきたのだ。