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第六話

なんと面映ゆいのか…。


K子という不思議なフィルターから見える今夜のKの姿は、まさにその言葉が最適と言わざるをえない。


Kの突然の来店に三者共々驚愕した。K本人もまさかの状況に、戸惑いながらも驚いていた。そしてテーブルに座るなり矢継ぎ早にKは質問を繰り返してきた。どうしてK子と一緒にいるのか?そして一体何を話していたのか?等々、姉妹そろって質問が好きな家族だと痛感させられる。徐々に三人での会話が続けられたあと、またもやK子の悪戯が顔を出しはじめた。今度はちょっとした姉妹裁判の三歩手前、と言うところだろうか。


「この子服飾なんか好きな事を始めてるでしょ?悪いとは言わないけど、朝起きるのが遅くて遅くて。姉としては心配なの。ちゃんと社会人としてやっていけるのかとか。」

それに対するKの反論はK子の為に料理をしたり、二世帯なりの気を遣った対応をしているとの事だった。しかしK子はまだ続ける。


「そうは言っても、やっぱり少しだらしないじゃない?みんながちゃんと仕事している時間に起きれないなんて。健康保険だってまだ親のと一緒だし…。」

姉に暴露された妹の反撃はすさまじかった。ここで気になるのがKは決して姉とは呼ばずに、K子と呼び捨てにするところだった。また困ったことに、姉が上手く妹へ反論できなかったときには、自分と年齢が近い俺に助けを求めてくるのである。姉を立てつつも、妹にも気を遣い、中立を維持する自分は一体何をやっているのか?と呆れるほど。姉妹は静かなる討論をしながらも、着実に酒を進めていた。


ふとした瞬間、右手の指先に暖かいものを感じた。これは誰かの指先だ。その指先は徐々にこちらへ忍び寄り、指と指の間に入り込んでくる。左にいるKでは無いことは確かだ。彼女はタバコをスパスパ吸いながらグラスを傾けている。


これは、K子だ…。


確かにテーブルにはK子の片手しか見当たらない。だが彼女の顔はずっと討論を続ける妹へ向けられている。テーブルの下は、まさに強姦…。

いくら拒否したり避けようとしても、彼女はずっとこちらを追い掛けては、自分の手を握り返し、決して離すことはなかった。


続く

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