表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/257

第二十一話

何を考えているの?

うん…。

何かあった?

あった…。色々な事があったよ。

話せる?

うん、多分。

本当に?

うん、きっと世界中誰よりも信じているから。

ありがとう…。

こちらこそ。本当に感謝している…。

そっちはどう?

あんまし変わらないかな。ごめんね、そばにいなくて。

大丈夫だよ、そっちは?

変わらないかな、笑顔を見れることが、救いかな。

僕なんて本当は大したことで悩んでないのかもしれない。

そうかな?

うんきっとそうだよ。

でも元気になって欲しいよ。

本当に?

うん、だからこうやって笑顔でいたいの。

笑顔でいたい…か。

気分いいでしょ?

うん、気分いいね。

また会おうね。

うん、また会おうね。

それまで、死んじゃダメだよ。

うん…。

じゃあね。

うん、バイバイ…。


サラは消えていく。ゆっくりと音を立てずに、目の前から消えていく。笑顔を残したまま。


彼女とは逢ったことはない。ただ、自分が何かに陥っていると、必ず目の前に訪れる。それも決まって真夜中だ。窓辺で自分を包む世界を眺めながら、もう現われないと思っていたが、やはり彼女は現われた。理想の女性。汚れても輝こうとする女性。


あれから3ヶ月。全くの音沙汰無し。これでいいんだ。あの姉妹に関わるとろくなことしかない。緩やかな時間の流れに身を任せながら、少しずつ自分の作品を描こうとしている。知人が個展を開くので、よしみで参加させてもらうことになった。彼はとても激しく人物の描ける人間だ。俺はどちらかといえば、風景画が多い。彼のように素晴らしい主張を曝け出すことには、まだ長けていないと感じている。だが、知人は自分の風景画を絶賛してくれた。人物もまた風景の一部であるという考えに賛同してくれたからだ。だが、影は所詮黒だという彼の主張だけは相反するものがある。ドラクロワの日記をなぜ読み返さないのだろうか?なぜゴッホの夜空に関する手紙を読み返さないのだろうか?黒は単純な黒ではない。


まぁいい。人それぞれだ。俺はコツコツ世界を構築していくだけだ。リストの調べを聴きながら、自分の描きたいものを描こう。


メールが大切な何かを知らせているのに、その時の俺は全く知らなかった。


続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ