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第十四話

なんで俺なのか…?


Kには全く理解できないらしい。そんなことは、この俺も分かるわけ無い…。陳腐な分析をして、己の幅を狭くするくらいならば、その訳を突き止めることは、分かり切った答えを口にするようなものだ。


Kの話によると、K子の旦那はまた、何日も帰っていないらしい。心配して様子を見に行ったら、普段と変わらない、いや、それ以上に明るく前向きで、自分の好きなことを淡々としていたそうだ。そして会話の中には俺の名が連呼される。


Kは睨んでいた。いや、俺にではない。何か俺とK子とあったのでは?と。たしかにあった…。だがそんなことは語るに及ばず。男と女であれば、そういったことは望もうと望まなくとも起こりうる。だが、自分がK子の意識を変えただとか、そういったことは全くなかった。むしろ制御できてしまう自分や、役に立たない相手に落胆したくらいだ。


しかし、Kは腑に落ちないらしい。あの姉が、なぜこうも変われるのか?と。だから俺はますますKが薄っぺらいと感じずにはいられない。人間性はそんな一面だけで判断するものではないからだ。もっと複雑で繊細なのだ。だからシンプルで大胆不敵なものに心を奪われてしまう。


いや、まてよ…。Kは一体何を求めていたのか?あの姉が?そこには何か劣等感のような、きな臭さを感じた。何かを失ったような弱さも感じる。明らかにK子もまた、Kに対する劣等感をもっていたのかもしれない。


またあの匂いがする…。とろけたチーズのような匂いだ。目の前にはフィッシュ&チップスしかない。


気のせいだろか?それとも過去の記憶なのだろうか?

いや、違う…。これは確かに、今の匂いだ…。


続く

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