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4/4

???

何度も呼ぶ声、それはトンネルの遠くから聞こえるような声。

切羽詰まっている。私を心配している。そんな声が響いてくる。


やがて眩い光に照らされ始める。眩しい。

私はゆっくり重たい瞼を開ける。


霞む視界。次第にシルエットだった二人の人影が鮮明に見えてくる。

同じ法医学者の仲間だった。

角谷守すみやまもるさんと 濱宮友里はまみやゆうりさん。


「ここは……」


私はさっきまで、犯人と思われるアパート、そこに前川結城に銃を向ける男性の姿。それを目に焼き付けていたはずだ。


「浅木、道で倒れたところを発見されたんだよ!!無理するなんて。ダメって言ったでしょ!!」


まるで母親のような優しさと叱責を早々喰らう。

それよりも先に、あるワードが引っかかる・・・道?


目が覚めてから、30分は経っただろうか。

段々と現実が追いついてくる。

本当に病院に運ばれてきたこと。どうやら見に覚えのない場所で倒れていたこと。それは事実らしい。

周りの人曰く。


私は一刻も事実を自分の目で確認したい。なぜ、私はあの男の前にいたはずなのに、訳もわからない場所へいたのか?正確には倒れていたのかを知りたい。とはいえ、ベットで目覚めて1週間も経っていない。

それを告げるかのように重い身体。まともに歩けるかも怪しいかも。


今は誰もいない病室。白が誇張された部屋が眩しく見える。

そこに、ノックをしてくる音が響く。


「はい!!」


看護師さんだろう、そう思っていたが、ドアの先には、スーツ姿の男性が立っていた。

年齢は三十前後。細身で、スーツは着ているがどこか着慣れていない。ネクタイはわずかに曲がり、シャツの襟もほんの少しだけ浮いている。寝癖なのか、意図的なのか分からない無造作な髪。


全体的に「きちんとしているはずなのに、どこか抜けている」印象を受ける。

だが一番目を引くのは、その表情だった。にこやかすぎる。

場違いなほど柔らかい笑みを浮かべ、まるで見舞いに来た友人のような軽さで片手をひらひらと上げる。


「どーも。起きててよかった。いやほんと、寝てたらどうしようかと思ってたんですよ。起こすの、怒られそうで」


男は勝手知ったる様子で部屋に入り、ベッドの横まで来ると、ポケットから警察手帳を取り出した。だが、それすらどこか雑で、見せ方にも緊張感がない。


「一応これ、見せとかないと怒られるんで。刑事です。えーと……あ、名前言ってなかったですね。蒼山あおやまっていいます。下っ端なんで、あんまり怖がらなくて大丈夫ですよ」


そう言って笑うが、その目だけが笑っていないことに気づく。

柔らかい口調の奥に、何かを観察する冷たい光が潜んでいる。


「で、浅木さん」


少しだけ声のトーンが落ちる。


「あなた、どこまで覚えてます?」


「何がです?」


「実は、あなたが倒れるまで、どこに向かっていたが調べたんですよ。そりゃ大変で、徹夜で監視カメラずっと見てたというか、まあ見てたのは俺というより」とごちゃごちゃと逸れていく話題。


「前川結城のアパートに向かっていました」


「お!! それはなぜ?」


「神谷刑事が関わっていた事件の捜査をするためです」


「一人で?」


「一刻も早く事件を解決したかったので」


そういい、満面の笑みを見せる蒼山刑事。


「そうっすか!!ならいいんです。そこで何か見ませんでしたか?」


「前川結城と会いました。その後、彼に拳銃を突きつけた男性も……警察の人のようには見えませんでした」


「ほうほう!!それ以外に何か思い当たることは?」


「それ以上は……でも、その後です。記憶が途切れたのは……」


いつの間にか開いた携帯画面ですぐさまタイプしていく。メモを取っているっぽい。


「わかりました!!ありがとうございます」と呆気なく去っていきそうだったので、一声かけた。


「あの!!例の事件の容疑者、見つかりそうでしょうか?」


「う〜ん、お答えすることはできないかな、あ!!そうだ!!私の名刺、ここに置いときますね。何かあればいつでも!!」

そういうと、ベットのすぐそばにある、机へと白い名刺を置く。

私はそれ以上、差し止めることはしなかった。でもおそらく、




 1件目。

 2年前。

 男性、41一歳。

 自宅で突然死。

 所見――心筋壊死。外傷なし。毒物なし。

 付記:死の直前、強い静電気様現象を家族が証言。

 

 2件目。

 1年前。

 女性、19歳。

 河川敷。

 草地に円状の倒伏痕。

 呼吸が止まる。

 

 3件目。

 一年前。

 男性、35歳。

 工場敷地内。

 コンクリート床面に局所的熱変性。


そしてこないだの4件目。

この一件を追っていた神谷刑事が同じ方法で亡くなっていた。

 

 共通点。

 全員、外傷なし。

 報告書の末尾。“物理的原因、特定できず。


この事件を『内部圧壊連続殺人事件』と定義するのであれば、おそらく犯人は、前川結城で間違いない。

だが、彼を探す方法は、一体どうしたらいいのだろうか?


そんなことを思いながら、何も行動を移すことができない日々だった。

1週間後には、外傷もないことから退院ができそう。

私はとりあえず、安堵の気持ちでいっぱいだった。ヤッホー!!

幸いにも、あれから内部圧壊連続殺人事件の犠牲者は報告されていない。


あの拳銃を突きつけた男性が、前川を殺してしまった?

いや、そんな安易に考ず、大きく広く捉えようと、頭を全力で振る。


入院している間に、携帯画面でラジオを聴くことにハマっていた。

楽しい音楽の間に、ニュースの報道が入るのだが、どうやら都内から離れた森の奥で爆発のような大きな音が聞こえたと。これに対し、警視庁は、『立入禁止区域として誰も出入りできない』と発表したらしい。何もない方がおかしい。


普通、そこで止まるだろう。

でも私はその場所へと車を走らせていた。

夜の都内は、まだ人の気配を残していた。

ネオンが滲み、信号待ちの車列が赤い光を連ねる。コンビニの明かり、タクシーのヘッドライト、交差点を渡る人影。それらすべてが「日常」であるはずなのに、どこか遠く感じる。


ハンドルを握る手に力が入る。

私は、どこへ向かっているのか。

自分でも、完全には説明できていなかった。

ただ――行かなければならない気がしていた。

やがて高層ビルは姿を消し、街灯の間隔が広がっていく。

住宅地が途切れ、代わりに暗闇が増えていく。

道路脇に広がるのは、黒く沈んだ木々の影。


窓の外は、いつの間にか森に変わっていた。

ヘッドライトだけが、細い山道を照らしている。

対向車は一台も来ない。

風に揺れる木々の音だけが、時折フロントガラス越しに聞こえる。

そのとき――ブレーキを軽く踏む。


「……何?」


視線の先。

暗闇の中に、不自然な“途切れ”があった。

そこには『行き止まり』の文字。看板の背後には、大きな壁でも立ちはだかるかのようなバリケードで、登れそうにない。でも、爆発のような音が聞こえてからは、まだ1週間も経ってない。バリケードの完成が追いつかなかったのだろう。脇の森の奥から迂回すれば。アスファルトの道路へと戻り、向こう側へと進むことができそう。


私の読み通り、その先の道へと進むことが可能だった。とはいえ、さすがに、車で迂回はできない。


「……ここからは、歩きか」


車のライトはつけたままにしておく。

消す気にはなれなかった。

ドアを開ける。

外の空気は、思っていたよりも冷たい。それに――重い。


簡易的な検査キットを積んだボックスを肩に掛ける。手には、携帯画面のライトを頼りに道を進む。


前を向く。アスファルトの続くその先へ。

怖い?いや、論理的なエビデンスを求める人間だから、幽霊は信じないタイプ。ただの肌寒い道路。寂しい道路としか思わない。


アスファルトの上に足を乗せる。

硬いはずの地面が、どこか頼りない感触を返してくる。

ひび割れた路面。ところどころ黒く変色し、靴底にざらついた感触が伝わる。

一歩。また一歩。


焦げた匂いが、さらに強くなる。

鼻の奥に貼り付くような、不快な匂い。

それに混じって、微かに金属のような臭いもする。

血??その単語が一瞬浮かび、すぐに打ち消す。


「ありえない」


声に出すことで、思考を押さえ込む。

ふと、携帯のライトが一瞬だけ揺れた。

画面の明るさが、わずかに落ちる。


「……?」


電波のつながりは悪くなってきてるが、バッテリーは十分あるはず。

軽く振る。元に戻る。


その直後――足元に、自分の影が“不自然に伸びていることに気づく。

携帯画面のライトで自分を照らしているわけではない。


いや……暗闇のさらに奥に、わずかな光があった。

最初は錯覚かと思った。だが違う。

確かに、そこにある。

白い。

いや――白すぎる光。

街灯のような暖かさはない。

病室の照明にも似ているが、もっと無機質で、均一な光。


「……施設?」


まるで、その光に導かれるように、私はアスファルトの道路から外れ、脇に広がる森の奥へと進んでいく。

歩くたびに響く草の茂み。



足元に意識を向けながら、草をかき分ける。

そこまでは順調だった。

ぐに、と。

足裏に、柔らかい感触が沈んだ。

反射的に足を引く。


「……何?」


光を落とす。


黒ずんだ布。

それが“衣服”だと気づくまで、一瞬遅れる。

――遺体。

呼吸が、わずかに乱れる。


仰向けに倒れた男。

目は見開かれ、口は半開きのまま固まっている。

外傷がない。血も、ほとんど出ていない。

それなのに、胸部だけが不自然に沈んでいる。

内側から押し潰されたように。


「……ッ」


喉の奥が詰まる。

見慣れているはずなのに。

目の前で“起きたばかり”の死は、別物だった。

一歩、下がる。

わずかに肩が震える。


「……落ち着け」


低く呟く。

息を整え、視線を戻す。

観察。それが、自分の役割。

しゃがみ込み、携帯の光を固定する。

皮膚に外傷はない。

だが、確実に内部で何かが起きている。

死後、そう時間は経っていない。


そして――

周囲の地面。

円状に倒れた草。

焦げた跡。

中心が、この遺体。


「……同じだ」


報告書の内容と、完全に一致する。

内部圧壊。外傷なし。原因不明。

そして……私の前で謎の能力を見せたあの男・前川結城。


この先に、彼がいるとしたら……



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