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第2話 認めない理由

「認めないってどういうことですか?」


「言葉通りの意味だけど。もしかして、生徒会役員になるには会長か副会長に任命されないとなれないの知らないの?」


「え、そんな仕組みなんですか!? てっきり青山先生の許可があれば生徒会に入れるものだとばかり......っ!」



 俺ははじめて聞いた事実に驚いて青山先生を見た。先生がは「あ」と声をもらしたあと、手を合わせて俺に謝ってくる。



「すまんすまん、大事なことを伝え忘れていた」


「なんとなく何を伝えていなかったのか理解できましたが、改めて聞かせてください」


「滝沢、私は生徒会の担当教員だが私に生徒会メンバーを決める権限はない。メンバーを決める権限を持っているのは会長と君の目の前にいる副会長の日比谷だ。それゆえに、あくまで私は君を生徒会に推薦することしかできん」


 

 たしかに先生は日比谷さんには生徒会に推薦したいやつがいるという言い方をしていたが……



「でも、めちゃくちゃ先生に人事権ある感じで話してたじゃないですか。あれなんだったんですか?」


「すまんな、私からの紹介であれば承諾するだろうと思っていたんだ。私から提案しておいて申し訳ないが、両名が君の参加を嫌だと言ったら今回の話はなしになる」


「なんで生徒会の方が権力持ってるんですか……しかも、もう副会長からバツが出てるんですけど」


「すまん、私にはどうしようもできない」 



 せっかくやる気が出てきたというのに何と無責任な人だろうか。



「まあ、2人のうちどちらかが承認すればいいんだ。安心したまえ、君の人間性については朝比奈に話している。問題なく生徒会に入ることができるさ」


「副会長には話していないんですか?」


「いや? もちろん話したぞ」


「先生から俺の話を聞いた上で副会長は『アナタが生徒会に入るのを認めない』と言ったんですか?」


「そういうことになるな」



 彼女の方を見ると冷たい視線を向けられた。



「「どんな伝え方をしたら初対面であんな目を向けられることになるんですか?」



 心当たりはないが彼女からの評価はマイナスであるらしい。


 俺の何を伝えたのか先生に聞こうとしたとき、生徒会室のスピーカーから音声が流れた。どうやら青山先生が職員室に呼ばれているようだ。



「タイミングが悪いな。日比谷、朝比奈が来るまで滝沢を置いてやってくれないか」


「ええ、問題ありません」



 問題あるだろ。どうして生徒会入りを拒絶された直後にその相手と二人きりになって問題がないと思うんだ?



「滝沢、今から生徒会長が来て君を生徒会役員として迎え入れるかどうかを決める。後で結果を教えてくれ」



 そう言って先生は俺の返事を聞くことなく出て行った。生徒会室に残された俺は、とりあえず彼女の方を見る。彼女は、もう俺には興味がないようで読書に戻っていた。


 うん、なかなか様になる……じゃなくて。



「俺はどうしたら?」


「会長が来るまで待っていなさい。椅子に座ってもいいから」



 こちらを全く見ることなく彼女は言った。


 なかなか厳しい人だ。まあ、許可はもらったので適当に座ることにしよう。彼女の近くに座るのは、ちょっと遠慮したいので少し離れた位置に座る。


 ……しかし、やることがない。仕方ないからちょっと話しかけてみよう。



「日比谷副会長って、内部進学組ですか?」


「……」


「俺はこの学校高校からなんですよ。授業進度を合わせるために去年は授業がたくさんあって大変でした」


「……」


「その眼鏡カッコイイですね、どこで買ったんですか?」


「……」



 へんじがない。

 ただ 俺に興味がない ようだ。


 いやしかし、こんなに無視されたことないぞ。話題が悪かったのだろうか。答えやすく、かつ広げやすい話を振ったと思うのだが。


 あまり話すのが好きじゃないのかも知れない。


 うーん、この話題で最後にしてみるか。 



「俺の生徒会入りを認めない理由って何ですか? 参考までにお聞きしたいです」



「……」



 少し踏み込んだ話をしてみようと思ったのだが、これもダメらしい。



「……別にアナタ以外の人でも私は生徒会の断ってるわよ」



 おお、時間差すごいな。回線ラグでも起きてるのかと思った。


 だがしかし、やっと話題にくいついた。未だに本から顔を上げてはくれないが。



「どういうことです?」


「以前、私が役員にした人が任期を完了させる前に辞めたからよ。とてもまじめな人だったけど、そういう結果が出たから推薦は会長に一任しているの」


「なるほど……」



 つまり俺になんら非はないということだな?


 よかった。生徒会参加を拒まれたという事実によって内申が下がってしまうかもしれないと思っていたのだが、いらぬ心配のようだ。


 そんなことを考えていると突然彼女は顔を上げた。



「でも、そのことを抜きにしても私はアナタを役員にはしないわ」


「……何故?」


「鏡を見なさい。気崩した制服に無造作な髪、それにこの部屋に入ってから消えないにやけ面。とても真面目そうな人間に見えない。生徒会への参加だって青山先生にやってみないか、と言われた以上の理由はないでしょう?」


「おっしゃる通りです」



 彼女の視線がさらに鋭くなった。



「人柄は申し分なくやる気もあった。そんな人でも続かなかった。だから、アナタに生徒会はオススメしないわ。向いてないと思う」


「……副会長の考えは分かりました。でも、青山先生は俺に期待して生徒会に入らないかと言ってくれました。そういうのは俺の生徒会での行動を見てから判断してください」



 まあ生徒会に入れる保証はないけれども。


 俺が啖呵を切ると、彼女は本を閉じてこちらをまっすぐ見た。



「……口ではなんとでも言える。でも、真正面からそういうことを言える人は嫌いじゃないわ」



 以外な評価に俺はちょっとびっくりする。



「じゃあ役員にしてくれます?」


「会長に任せるわ。もし、あなたが生徒会に入ることになったらその行動とやらを見ることにする」



 彼女は再び読書に戻った。


 うーん、先生は色々言っていたが彼女からそこまで癖の強さは感じない。しいていえば、ちょっと冷たいなあと思うぐらいだ。これなら生徒会で上手くやっていけそうである。


 残った懸念は会長からオーケーをもらえるかどうかだが、先生が大丈夫だと言ったのだから大丈夫だと考えることにしよう。もし、拒絶されたら「俺のことをどう伝えたんだぁ?」と問い詰めてやる。


 少し待っていると扉が開く。


 現れた人影は、俺の胸あたりに届かない小さなものだった。全体的にフワッとした雰囲気と低い背もあいまって小動物のような印象を受けるが、この人は俺でも知っている学内の有名人。生徒会長だ。



「レンちゃんごめんねーーー。あれ、キミは?」



 会長に声をかけられた俺は立ち上がった。


 生徒会に入れてもらうためにも第一印象が良くなるように頑張らねば。

 


「高等部二年、滝沢隼人です。この度は青山先生に生徒会をすすめられて、ここへ来ました」



 といっても気の利いたセリフなんで言えないので誠実さが伝わるようにするしかない。しっかりと頭を下げて会長の反応をうかがう。


 さあ、どうだ。 



「あ、うん…そっか、男の子かぁ……」



 え、性別からダメなの?

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!?」


と思ったら


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