0. ゲームオーバー、そして...
俺はごくごく普通の、いや、もしかしたらちょっと陰気な部類に入る高校生だった。友達とネットカフェに行くよりは、家に引きこもってベッドに横たわりノートパソコンでゲームをするのが好きだったから、他人から見たら「部屋の片隅ゲーマー」と呼ばれていたかもしれない。学校ではただ名前を呼ばれたら「はい」と答えるだけで、テストではだいたい中上位圏を維持していたが、まさに「存在感ゼロ」の生徒だった。
俺の唯一の楽しみは、徹夜でオンラインゲーム『幻想ダンジョン:最後の遺産』をプレイし、強力なボスをソロプレイで倒すことだった。俺は課金が極度に嫌いだった。金がないわけではなかったが、ひたすら自分のプレイスキルと頭を使って難関を突破することに快感を覚えていたからだ。そんな俺にとって「課金ユーザー」たちは、ただ金で能力値を上げた「実力のないゲーマー」に過ぎなかった。
今夜も俺は暗い部屋の中で、キーボードとマウスを狂ったように叩いていた。クエスト最終ボスの「深淵の君主」を相手に、一時間にわたる死闘を繰り広げている最中だった。君主の巨大な闇エネルギー攻撃を避けながら、絶妙なタイミングで回避スキルを使い、弱点を攻略する俺の指さばきは、まるで職人のようとでも言えばいいのだろうか。額には汗が滲んでいたが、俺の目はモニターに固定されていた。
「くそっ、パターンまた変わったのか!」俺は眉間にしわを寄せた。ボスの体力が10%未満に落ちると、狂暴化パターンで難易度が急上昇したのだ。ゲームの中の俺のキャラクターは紙切れのようにボロボロになっていたが、俺は諦めなかった。数十回の失敗を通じて習得した攻略法が頭の中を駆け巡った。
「これが最後…スキルコンボだ!」俺はマウスクリックとキーボード連打を同時に始めた。華やかなエフェクトとともに、君主に致命打が入った。
ドゥドゥン!!!
荘厳な爆発音とともに「深淵の君主」が巨大な悲鳴をあげて粉々に砕け散った。画面いっぱいに「クエストクリア!」という文字が浮かび上がり、経験値と報酬がウィンドウを満たした。俺はついにやり遂げたという達成感に、椅子の背もたれにもたれた。指の関節からはバキバキという音がしたが、気分は最高だった。
「ふう…やっぱりプレイスキルは俺が最高だな。」俺はにやりと笑ってノートパソコンの画面を眺めた。
その時だった。
画面いっぱいに輝いていた「クエストクリア!」という文字が、突然ギーギーという音を立てて歪み始めた。鮮明だった文字が崩れ落ち、ゲームの背景はまるで絵の具のように滲んでいった。続いてノートパソコン全体がジジジッと音を立てて、青いノイズで覆われた。
「ん?なんだこれ?どうしたんだ?」俺は首をかしげてマウスを揺らした。すると、ノートパソコンの画面の中で始まった青いノイズが、徐々に広がり、まるでゲートのように丸く渦巻き始めた。画面の境界を超えて空中に立ち上り、俺の部屋の真ん中に巨大な青い渦が形成されたのだ。
ウウウウ…
耳をつんざくような低い振動が部屋中に響き渡った。目の前の光景は非現実的というよりも幻想的だった。ゲームの中のダンジョンに通じるゲートが、現実世界に降臨したかのような光景だった。
未熟者ゆえ、至らない点も多々あるかと存じますが、どんなご評価も真摯に受け止め、精進してまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。どうぞ、ご評価いただけますと幸いです。