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はじめましてと、これからの部屋



「佐原ちほちゃん、だよね? はじめまして。僕は松永って言います。今日からよろしくね」


「は、はい…よろしくお願いします」


施設に着いたばかりの玄関で、そう声をかけてきたのは、落ち着いた感じの若い男性だった。

笑ったときに目尻がきゅっと下がって、ちょっとだけ茶色い髪がゆれている。

声も表情もやわらかくて、たぶん、苦手じゃないタイプの大人。


「重いよね、それ。こっちで持つよ」


そう言って、わたしの手から大きめのリュックを受け取ってくれた。

大人のやさしさに触れて、少しだけ肩の力が抜けた。


「おーい!」


施設の中に入ると、いきなり大きな声がして、振り返る間もなく、元気そうな女の子がつかつかと近づいてきた。


「松永さん、そっちの子だれ? うちと同じくらいやけど」


「佐原ちほちゃん、今日から同じ学年で、同じ部屋になる子だよ」


「ちほちゃん!? ちほちゃんが今日からの子なん!? うわー! まじかー! よろしく!! え、なに食べる? ポテチ? プリン? あ、わたしの分あげよっか?」


「え、ええっとその」


顔まわりの元気さだけでいえば、テレビに出てくるアイドル並み。

髪は短めでピンピン跳ねてるし、目も声もテンションも、全部“100%”。


「あはは…気が早いよ、はるかちゃん。ちほちゃん困ってるよ」


松永さんが苦笑いしてとめに入る。


「あ! 自己紹介忘れてたわ! うちは日野はるかって言います、よろしくね!」


そう言いながら、はるかは勝手に私の手をとって、上へ上へと階段をのぼっていった。

松永さんは「お願いね」とだけ言って手を振っていた。



案内された部屋には、すでに他の子たちがいた。


「じゃーん!ここがわたしたちの部屋ー!」


着いたのは4人部屋…を無理矢理5人分にしたような部屋。

2段ベッドが2台、布団が1つ、勉強机も5人分あるから、部屋の中はけっこうぎゅうぎゅうだった。


「じゃ、順番に紹介するねー!まずは──」


「どーも。大谷ひより。趣味は寝ること」


ベッドに寝転がったまま、まばたきもせずに名乗ったのは、ロングヘアで表情が一切動かない子。

寝巻きのまま出てきてるし、たぶんさっきまで昼寝してた。

声はちょっと低くてボソボソしてて、でも逆にインパクトある。


「えー、次は──」


「星川ユヅキです~☆あたし、ここの中じゃいちばんキラキラ担当かな~?えへっ」


真逆。

ふわふわのヘアゴムに、星柄のトレーナー、ハートのピアス(本物じゃないよね?)。

動きとか声のトーンも、漫画から飛び出してきたみたい。なんかずっと笑ってる。


「…はい、最後はこの子!どうぞ!」


「……黒崎真琴。よろしくお願いします」


ちょっと離れた場所で本を読んでた子が、立ち上がってぺこっと頭を下げた。

黒縁メガネ、きちんと整えられた前髪、腰まで伸びた長い三つ編み、きっちりたたまれたブランケット。

“真面目”がそのまま歩いてるような子。


……全員、個性の主張がすごい。

この中に混ざっていくの、正直ちょっと不安なんだけど。


「というわけで! みんなで仲良くしていこー!」


はるかは、わたしの肩をばんっとたたいた。


ちょっとだけ、ビクッとしたのは秘密。

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