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2度目のラグナロク  作者: 雪華将軍
第二章 闘技国編
30/36

第二十八話 パッキング

後書きでお知らせがあります。



「ヴァラックさーん!おはようございます!!」


「おうイマチュイア、おはよう」


 互いに挨拶を交わすヴァラックとイマチュイアは、すっかり人々が活動を始めてる早朝にて、人の往来がある道に設置された噴水で、集合していた。


「わぁ!ヴァラックさん、オシャレな服装ですね!」


「ああ、お前らに選んで貰ったやつだ」


 ヴァラックの服装はいつものとは異なり…


 皮製のハット


 ブカブカの黒いカーゴパンツ


 黒の薄いタートルネックのトップス


 そしてレザーの厚手コートを羽織っていた。


 ——口元は相変わらず、黒いマスクで隠されているが…。


「都の暗殺者みたいですね!」


「帽子とコートのせいで本当それにしか見えんな…」


「おーい!お二人ーー!!」


 んん…あれはデルタとアハートか、というかデルタは服あれしかないのか…?昨日と全く同じだろ…


 私が言えたものではないが、服買えよ…


 なんて事は流石に口に出さないが、昨日と変わり映えのない服装だなとは軽口を交わして、逆にアハートとイマチュイアの服装を褒めていた。


「イマチュイアは袖のフリルが良いな」


「///」


「私はどうですか!」


「…アハート、お前ゴリゴリのストリートファッションだな…」


「へへ…」


 別にそこまで褒めた訳ではないんだがな、など思いつつもヴァラックはアハートの頭を撫でる。


 純粋なアハートがまさかこんな…ゴテゴテのファッションとはな…


「ヴァラックさんみたくなりたくて、1番イカつい服を着てきました!」



 ——私の所為らしい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○ほどなくして

〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 —適当に店をぶらついて、ふと気づいた事がある。



「あれ、ホリーナは?」


「「「今更!?」」」


「ホリーナは…寝坊です。」


 あ、あいつめ…。



 結局ホリーナは時間通りに来なかったのであった、もう待ち時間にホリーナ除く4人で食べ歩き系の軽食購入して、集合地点でパクついた。


「あま…しょっぱ…あまっ…」ももももっ

「おいしぃおいしぃ」もぐもぐもぐ

「ああ…これは…うまっ…」もぐ…


 フフフフ…愛い奴らめ…、たんと食うがいい、遅刻者よりいい思いせねば割に合わないだろう?


 好きなだけ食え。


 静かに笑うヴァラック…その背後からこちらに駆け寄る足音を聴いて、更に笑みを深めた。


「(くくく…、遅刻した奴には…奢らんぞ?)」


「お、お待たせしてすいませんー!!」



「ああ、問題な…い…ぞ…?」



 ——両手にケバブ抱えて来た…。



「(な…なぜにケバブ…!?)」


「あ、"もぐもぐ"遅いよホリーナ!」


「もぐ…おそひほ(おそいぞ)ほひーな(ホリーナ)…」


 ヴァラックは、ホリーナが何故か持っているケバブにしか目がいかなかった。


 遅刻した人が大量のケバブ抱えてくるという状況に、脳の処理がフリーズしそうになっている。


「ご、ごめんなさい姉貴!それにヴァラックさんも!」


「あ、ああ…いいぞ…!?(何故誰もケバブにツッコまないんだッ!!)」


 誰も…誰もそのパンパンに入ったケバブの茶袋について誰も指摘しないのだ、ヴァラックはツッコむべきなのか真剣に悩んだ、魔法のアクセサリーによって暑さを克服したはずなのに、何故か汗が止まらない(※冷や汗)


 ——ギャ…ギャグなのか…!それとも素なのか…!?何故指摘しないっ!?


 …おいデルタ!もっもっもっも食ってるんじゃない!ホリーナの大量のケバブについて指摘しろ!


「あ、また買い込んできたの?」


「(よし!流石アハート…!お前の無邪気さには助けられる!)」



「?…別にそこまで多くないよ?」


 貴様!本気で言っているのかッ!!その馬鹿でかい茶袋からケバブが見えるくらいには多いぞ!?


 その茶袋×3つ!


 わ…私が聞くしかないのかッ!?


「ホ…ホリーナ…」


「?どうしました?」


 ——い、言うんだッ、黒隼(わたし)ヴァラック(わたし)よ…!「何だそのケバブの山は!」と!いまだ!!


 …しかし、その言葉は紡がれることはなかった…、何故なら…


「あ、ヴァラックさんはホリーナのこれ(・・)知りませんもんね。」


「(イ…イマチュイア!お前なら言ってくれると信じていたぞ!)」


「ヴァラックさん、ホリーナのアレはですね…」


 それはイマチュイアの言葉によって遮られたのだ、だが遮られた事はヴァラックにとっても、良い事であったのだ。


 デリケート(?)な話であった場合失礼にあたるからだ、しかし紡がれる言葉は想像よりも…普通であった。


「ホリーナってば、複数の同じ物買うのが下手なんですよ」


「………」




 ——く、くだらねぇぇ……!


 朝日がサンサンと照らす街道でベンチに腰掛けるヴァラックは、ホリーナの馬鹿買いがあまりのしょうもない理由で、ヴァラックはソッ…と静かに天を仰いで顔を覆った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○エルフの加工屋前

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 あの後皆んなでケバブを食べたヴァラック一行は、以前魔法のアクセサリーを買う時に訪れた、エルフの男がやっている加工屋に来ていた。


「うぅぅぅぶぅッ…!」

「苦しい"ぃ"…」

「…うっぷ…」


 …体の大きいヴァラックやデルタは兎も角、ヴァラック達から見て小さい(※ホリーナで169cm)アハート達は、腹と口を押さえて、フラフラとヴァラックの後を追っている。


「ホリーナ…お前いつもこんな買い込むのか…」


「こ、この間なんて、小盾(バックラー)20個も買ってた…!」

「その前は…た、卵を100個…!うぅ…あの後食いきれなくて…腐敗臭が…うっぷ…」


「ホリーナ…」


 ヴァラックは残念なモノを見るような目でホリーナをジト目で見つめる、ホリーナは居た堪れなくなって、スカートを掴んで震えてしまった。


「うぅ…、だって…なくならないように沢山あった方がいいじゃん!」


「「限度を考えなさい!!」」


「ごめんって、はい、はい……ッ!!分かったからー!」


 アハートとイマチュイアに詰められて、ホリーナはついに謝罪した、確かに多めに買うとか予備用に買うとかはあるだろうが…、流石に多過ぎるのだ。


 正直3人娘の中だと1番長女感があったんだが…意外とアホの子なのだろうか…。


「…まぁいいや、よしお前ら店入るぞ」


「ええ…、ですがなぜ…またこの店に?」


「そりゃお前、再来週の為に準備しに来たんだよ」


 デルタはヴァラックが何故この店にまた来たのか分からなかった、最初は昨日依頼した『遮熱と冷感』を服に付与した物を取りに来たのかと思ったが、流石に早過ぎる上に、デルタ達を連れて行く必要はないのだ。


「…何の?」


 —それになんで、ヴァラックさん…嬉しそう(・・・・)なんだろうか…。



ガラッ…



「コロシアムの」


 何処か期待を含むような声で放った言葉に、デルタは息を詰まらせた。



 ———1番近いコロシアムの闘いは…、たった一つしかない…『高貴な闘技場アリストクラセ・コロシアム』で行われる『王座奪取戦』…。


 だがそれにエントリー出来るのは凡そ『20人』、更には条件が3つある。


 1つ、前大会の『王座奪取シード決定戦』で、上位に入る事。


 2つ、闘技国に存在する各コロシアムで、『王座奪取戦』を掛けて単独優勝する事。


 …そして3つ目、『高貴な闘技場アリストクラセ・コロシアム』現優勝者からの直々の指名を受ける事。


「(どの大会もすでに半月前には終わっている、その上再来週のコロシアムでの闘いはアレしかない…つまり)」


「ヴァラック…さん、『指名』受けました?」


「あーー…」


ゴソゴソ…


 —ウチは恐る恐る質問を投げ掛けた、だってもし…もし指名を受けたのなら、それはすでに『偉業』レベルの事なのだ。




 …闘技国覇者は、 ただの一度も(・・・・・・)指名した事がない(・・・・・・・・)


「ほれ、『指名制参加権チケット』」



 …偉業達成。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○入店

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「いらっしゃいませ、ははは…戸の前で随分仲良さそうに話してましたね。」


「ぬ…それは申し訳ない…」


「全然構いませんよ!それと昨日のお客様ですね、ご依頼された服に効果を付与するのは少々まだお時間が掛かりますが…」


「ああいや…違うんだ店主よ」


 ……私が『マントの魔法使い』から貰ったチケットを見せたら、デルタのヤツが放心状態になってしまった…、アハートたちもコソコソと私を見ながら話してるし…なんなんだ…。


 っと、今は店主と話しているんだった、イカンイカン…


「端的に言えば、コロシアム用に装備を作りたい。」


「…それはそれは…、えぇ…えぇ…!」


 ヴァラックの言葉に店主がいきなり体を震わせ出した、伏せられた顔がゆっくりとこちらを見ると、目にギラリと鈍い眼光が宿る。


 ヴァラックはその眼光に「あえて」気付かないフリをして言葉を続けた。


「期限は…そうだな装「装備に慣れる時間を考慮して5日」いいやもっと詰めたい「ならば4日で仕上げて見せます…!」よぅしそれで進めてくれ」


「構成は?」


「やはり魔法と対武器に対して、ある程度防御手段が欲しい」

「ほお!…ならば軽戦士スタイルでいきましょう」

「いくつか武器も寄越せ、折角の晴れ装備なんだ…遊び心が欲しい」

「やはりあくまでも『賭場』ですからねぇ…装備の見目は、過去に試作した装備を型に闘技国の色を取り入れましょう」


「「決まりだ。」」


 —あまりの手際のいい会話で、デルタたちはほとんど聴き取れなかったが…ああいや未だ放心しているのもあるが…とにかく楽しそうに語り合うヴァラックと店主の姿を、ボヤッとデルタたちは見ていた。




 どこか上の空なウチの肩に重さを感じて、ふと意識を戻した時にはすでに話し合いは終わっていた。


「目覚めたかククク…」


「え、あ、はい…?」


「装備のオーダーは済んだ、ついて来てくれたお礼がしたいし、ど、どこか観光しないか?」


 お礼…ってワザと強調して言うヴァラックさんに思わず軽く吹き出してしまう、さっきまで戦いの装備について熱弁し合っていた人が、ウチらに対してはちょっと恥ずかしそうに来るのだ。


 そのギャップに萌えるモノがないはずがない。


「…ぷふっ…!」


「な、何故笑う…」

「なんでもありませんよ…クフっ…」




「ヴァラックさんって…い、意外と人慣れしてなくて可愛いんですね…って待って!待って下さい!その両拳をグルグル回してどうすっ…ああ!頭にッ!す、すいませんっ!すいませんって!!!」


こんばんは!

第28話をご覧頂きまして本当にありがとうございます!


 ☆お知らせです☆

 『2度目のラグナロク』をカクヨムにて転載開始しました、理由としましては単純にこのサイトで初動に乗れなかった為です。


 なろうでは書籍化が難しいと感じてしまい、カクヨム重点でなろうと並行してやろうと思います。


 自分勝手で申し訳ありません、ですがそれだけ本気で書籍化目指しているんです、どうかよろしくお願いします。



 いつもみていただきありがとうございます!これからも精一杯頑張ります!


 好きと思ったら☆☆☆☆☆ をぜひお願いします!

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