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2度目のラグナロク  作者: 雪華将軍
第二章 闘技国編
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第十八話 いきなりトラブル

投稿遅れて申し訳ございません…次も同じくらい期間が空きそうです。


ガサガサガサ…

「ふっーー…」


ダラダラ…


「あつぃ…」


 ルアンの街を飛び出し、山をいくつか越えた道中…、ヴァラックは滝の汗を流しながら草原の中を突っ切っていた。


 それもそのはず、ルアンの街は一年通して寒い寒冷地、その山奥に住んでいたのだ。


「ぜぇ…ぜぇ…(くそが…素直に道なりに進めば良かった…)」


「ったく、小説みたいにあんな綺麗な野道がある訳ないよなぁ…くそが」


 謎に体に付着する小虫や植物の種子にイライラしながらも、きた事もないので土地勘を頼る事すらでぎずに、


 ただただ直進を続けた、本当にイライラしながら。


「はぁ…藪うぜぇ…」


キィ…ン  ワーワー…


「…ああ?」

「…なんの…音だ?」


 草藪に青スジを立てながら進む歩がピタリと止まる…、何か騒がしい…、何かが争っている(・・・・・)ような音が草の騒めきに混じって聞こえてくる…。


「…喧騒か?」


 近づけば近付く程に聞こえて、()こえてくる騒々しさに、ようやく人の気配を感じたヴァラックはウキウキとして小走りになった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


場面は変わり、喧騒の真ん中…


ガシャッ!


「あぐっ!?」


 とある草道の整備された街道で、複数の人間が争っていた…。


 しかし、片方の渦中の人間が斬り倒されていたのだ、血こそ滲んでいるが、少し傷口を抑えるだけで元気そう(・・・・)であった。


「ふん…お前如きが…ウチの後輩に大会(・・)で勝ったのはやはり、マグレであったとしか…思えない。」


 「そんな事は!」と反論するしようとした、斬られた男の仲間と思わしき女も、その剣先に威圧され押し黙った。


 その剣…青龍刀を持つ女は、男と比べても大きく…只人(ヒューマン)と比べて、どこか異形であった。


「へ…へへ…、お前の後輩…、そこの(・・・)チンピラ女の事か…」


ギロリ


「ああ…もう…いい、殺すから(・・・・)黙ってていい」


 静かなる殺意を向けた女は、青龍刀を斬り付けられた男に投擲した。


 "ブシッ"…と、血液が飛び散る…



「なぁッ!?」


 …投げた女の血液が…


 渦中の場に一つの黒い塊りが飛来したのだ…、それは青龍刀を摘み、指先で投擲した女に投げ返したのだ。


「ぎ…ぎぎ…!クソッ!何処の女だ!」

「そっくり返そうか」


「何処の女だ?」


 突如跳ね返ってきた自身の剣に肩を切り裂かれた女は、怯み崩した体勢を戻して正面に向き直る…。


「っ…」


 そこには…、大柄な体に漆黒の装束の女…「自身が憧れる(・・・)」女傑の姿を見た。


「「「貴女は…!!」」」



「『黒隼』…ヴァラック…」


 ヴァラックであった、吹いた風に巻き上げられた黒髪はまるでマントの様に舞い、乱れたオールバックを直す仕草に、全員が見惚れた…


「た、助けて下さい!暴漢に襲われて…!」

「なっ…!」


「…まぁここでコイツらシバいても良いんだが…」


 ヴァラックの登場に、暴漢…青龍刀の女は酷く動揺した。


 あの憧れの人が、私の一時の気の迷い(・・・・・・・)で敵になってしまったら、チーム(・・・)の皆んなに顔向け出来ない…と。


「ままままま待って下さいッ!!」


「「!」」


「聞こうか」


 暴漢の女らは、青龍刀の女を中心にただ沈黙していた…がその沈黙を破ったのは、暴漢の1人であった。


「姉御は…わ、私が負けてチームが舐めらないように

「落とし前にチョッカイ掛けた」

おとし…え…」


「どうせこうだろ」


 弁明しようとした青龍刀の妹分…四腕に蜘蛛の下半身…蜘蛛亜人(スパイダー)の女が弁明中に、ヴァラックに先読みされ言葉を途切れさせた。


ギラッ…


 ヴァラックの眼光がより黒くギラリと光る…その眼光は昼間なのに、まるで夜に光る瞳のような存在感を放っていた。


 暴漢の4人組、



「こ、殺すってのは舐められない様に言っただけで…!」

「プライドの為に脅したんだろう」


 蜘蛛の下半身のため少し小さい蜘蛛亜人(スパイダー)が、言い訳し…



「そ、そもそもソイツが悪いんだよ!」

「ハァ…負けたアイツ(蜘蛛亜人)が悪いだろ」


 爬虫類よりの顔だが身体は鱗が末端に生えている以外は人型の蜥蜴亜人(リザード)が、責任転嫁…



「だ、だからってこのまま引いたら、アタイらの面子だって!」

「"イラ…"」


 全身鎧でメイスを持った只人(ヒューマン)は、そもそも論がズレている…


 おそらく下っ端であろう3人の女…全員が全員自身らの非を認めなかったため、ヴァラックは苛立ちを感じ始めていた。


「お、お前ら…もう黙れ…」


 あの妹分3人は、口論(言い訳)で気付いていなかったが青龍刀の女は、少し俯瞰した視点で逆に冷静になれた分、ヴァラックがイライラしている事に気付いた。


「…ッ()が本当に殺す訳…ない」


 青龍刀の女…彼女は、ヴァラックに並ぶ程の巨体を誇る半分人間、半分牛面の獣人。

 珍しい水牛獣人(バッファロー)の女であった。


 自身の一人称(・・・)を誤ってしまう程に緊張しながらも、的確に反論してどうにかこの場を収めたかった。


ふーーー…っ(・・・・・・)


「ッッ…!」


 ヴァラックはマスクを片手で覆い、重い息を吐いた(・・・・・・)…。


 …これはヴァラックの()である…、ストレスを感じ始めた時に無意識に行う()であり、憧れである彼女の癖も伝聞で水牛獣人の女はそれを知っていた(・・・・・)


「わた…、…ウチの投擲は当たる軌道になかった…」


「そうだな、あの軌道なら股下の地面に刺さってた」


「…これだけで充分証拠になる…だろう」


 傷付き倒れた男とその仲間の女…、2人に顔を向け傷を見た。


「(…軽傷…とは言い難いな)」


「なぁ…もぅどうでもいいから治療だけさせてくれない!?結構痛いんですけどぉッ!」


ハッ


「あっスマン」


 背後にいるチンピラ4人衆に気を取られ過ぎて、怪我人を放置してしまった自身の気の回らなさに、素直に謝って頭を掻いた。


ぽいっ

「礼は要らん、使え」


 …と、適当に回復のポーションを投げて回復させた、男はみるみる回復して、破れた衣服からは綺麗に治った肌が見えた。


「あぁ、治ったぁ!ありがとうございます!」

「ありがとうございます!」


 「おう」と返事したヴァラックは、再び体の向きを変えてチンピラ4人衆に向き直った。


 どうやらようやく(・・・・)話がまとまったようだ…。


「で…どうするチンピラ」


「あ…姉御…」

「本当にやるんです…?」


「ああ」


 チンピラ3人は、1人の水牛獣人を盾にするように隠れてヴァラックと水牛獣人を交互に見た。


 ヴァラックはそれが不思議に見えた、何故交互に見ると…。


「ヴァラックさん…アンタに」


「…闘いを申し出る。」

……

………

「はあ」


 ヴァラックは突然の闘いを申し出られて、酷く曖昧で気の抜けた空返事を返した。


 それもそうだろう…、脈絡がなさ過ぎるのだ、急に何故闘うのだろうと眉を顰めて思案した。


「…、なぜ?」


「貴女は私達の憧れ…、ならば闘いたいと思うのは必然…です。」


「…まずコイツらに謝れや」


 一方的に闘いたいと言われて、バトルジャンキーのヴァラックも流石に引いた。


 …意外と常識的な思考の為、まず斬った男に謝罪すべきと、顎を"くいっ"としゃくる。


「ならば一戦…ウチに頭を…」


ブチッ…


「筋通せゴラァァアア!!!」


 喉を鳴らす様に出た怒号に、この場を支配するような圧を発せられ、思わず全身から冷や汗が飛び散る。


 …ヴァラックと敵対してしまった焦りと、手合わせして欲しい気持ちが先行して自分の事しか見えていなかったのだ…。


「っッゥ…(お…音圧だけで…鼻血がッ…)」

「ぎッ!?(なんて咆哮(・・)なの!?)」

「あ、姉さッ!(あッ…圧死(・・)しそう…ッ!)」


「"サーーッ…"…わ、私たちの都合で斬りつけて、も…申し訳ない!」


 憧れの人(ヴァラック)からの一喝に、あまりの音圧に青白いを通り越して、紫色になった顔を下げた。


 ヴァラックの黒い瞳は限界まで小さく凝縮し、普段気怠げにしている目元を大きく釣り上げた…それはまるで…


ぶしゅッ…ダラ…

()まなかった…ッ(…ドラゴン(・・・・)っ…)」


「姉御!(顔中血塗れ…ッ!私らより前に出てた分多く当てられた(・・・・・)んだ…ッ)」


 …ここまで来てようやくヴァラックは睨むのを辞めた、ハッと気付いた時には眼前の女が流血してたからだ…。


 牛の鼻から、牛の耳から、人の口から、人の目から…一筋の血が滲む…。

 大量出血じゃない分、余計グロい。


「…あー、すまん…(クソ…熱くてイライラしてしまった…いかん…)」


「えっ!?なに!?いきなりアイツ出血したんだけど…!」

「分かんないわよっ!あの女の人が何かしたんじゃないかしら…」


 ヴァラックの顔が見えない背後の2人は無事であったが、急に衰弱した暴漢らを見て動揺した。


 ヴァラックが何かしたのは明白だが…まさか目力だけでああなるとは思わないだろう…。


「ここは私が仲介する…だからお前たちは戻ってな」


「わ、分かりました!」

「失礼しますっ!」


 "タッタッタッ"と駆ける足音が小さくなったのを確認して、水牛獣人に近付いた。


 既に限界を迎えた水牛獣人は、四つ這いで更に片肘を着いて何とか耐えている…。


「…すまん、気が立っていた」


「い、いえ…私が悪いので…ッ」

「ちょ…姉御!無理に立ち上がらないで!」


 膝に手を乗せて踏ん張り、何とか立ちあがろうとしているが、フラフラである。


「ふっ…ふっ…ふっ…」


 …恐らくはストレスによる低血圧…脳へ血液が一時的に巡らず、全身に力が入らない筈…だが、それでも何とか取り巻きに支えられながら立ち上がれたのだ。


「無理するな、多分だが恐怖のあまり全身の血流が滞っている」


「ふぅぅ…『強き心臓(ハート・ザ・ハード)』…!」


「…獣人固有の『能力(スキル)』か」


「ええ…もう大丈夫です…!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 …今更であるが、『技術(スキル)』と『能力(スキル)』の違いについて簡単に語ろう。


 …『技術(スキル)』は、学びさえすれば、難度の違いこそあれど基本的に誰でも習得出来る、発動型の攻撃や(トラップ)を即座に作るなど、体外(・・)に発動するモノ。


 …『能力(スキル)』は、種族や才能、特殊な装備に付与された、心身強化系や肉体変身系などの体内(・・)で発動するモノ。


 ただ能力(スキル)に関しては種族系、付与系を除き、基本的に同じ能力は二つとなく、珍しくはあるが能力があれば無敵…というほどのバランスブレイカーにはなり得ないモノである。(※不死などはなくはないが…)


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「で、どうする?」


 ___闘うか。


 満身創痍の水牛獣人に対して、さっきされた申し込みをヴァラックに逆提案された。


 …別に断られても特に何かする気はなく、気軽(ラフ)に聞いたヴァラックは、オールバックを整えつつ返事を待った。


「"にひっ!"…不様ながら…」


「…!」


「よろしくお願い…致します!」


 ヴァラックはマスクで隠れた口元を「への字」から口角を上に…頬を緩めた…。


「(…骨のある女じゃないか…!)」



「…いい女だな」ボソッ…


 ヴァラックは未知の地で会った、未知の獣人女闘士に、怒りから無関心…そして興味へと評価を三転させた。


 …藪や虫にイライラしてたらまさかの上玉(相手)…、街の外はこんなに素晴らしい世界かと、拳を構えたのであった…。

こんばんは!

第18話をご覧頂きまして本当にありがとうございます!


 ※この世界の獣人、亜人は人の要素は少ないです、人型で若干人の面影がある程度。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 昨日のPV数が70超えてたんですが、私投稿してないのに…

 まじで嬉しいけど、急すぎて怖くなってきた、嬉しいんです、嬉しいんですが、急に何故…?



いつもみて頂きありがとうございます!面白かったらご評価お願いいたします!

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