第一話 光明、没しそして新世界
※作品の切削をしました。
キャラクターのデザインを「みてみん」で投稿させていただいてます、気になった方は是非!
ここは先のプロローグの物語りから幾億年先の世界…
多種多様な種族が挨拶を交わし、
またある時はモンスターを倒す為に徒党を組んで共に過ごす事もある…そんなありふれた幻想世界!
その世界のとある山奥で1人の女性が山道を歩いていた。
ザッザッザッ…
山菜でも採りにきたのかその黒い後ろ髪を靡かせ、地面に生えている植物を採取した。
そんな後ろ姿を醜い怪物が覗いていた。
「グゥゥガゥン!」
体高は3mを越す怪物だった、その怪物は唸り声を上げ女性に襲いかかった。
「!」
声とも言えない音、そんな声を漏らしたのは女性ではなく…
「グゥヴュ!!」
怪物の方であった。
怪物は痛みの走った顎をさすり、女性へ顔を向け直した、しかし先程まで数m先にいた女性が眼前に仁王立ちしていた。
怪物は混乱を他所に、女性へ三度襲いかかった。
女性は怯え…る素振りも見せず、その長い脚を振り上げ…叩きつけた。
「ふんッ!」
「ギュッ……」
怪物は驚愕の表情を浮かべたまま、顎が砕かれ歯が顔の肉を突き破って絶命した。
「…オークか」
はぁ…
「(熊じゃなかった…)」
その原因の女性は、中々特殊な格好をしていた。
黒い髪は後ろに整えられたオールバック、
黒の薄いトップスに胸部には白い布を巻き、
黒い道着のズボンを脛まである靴に裾を入れ、
肌は薄い小麦の褐色、
混じりのない黒目…、
そして真っ黒な光沢のある、顎から鼻を覆う金属質のハーフフェイスマスクをしていた。
「はぁ…喉乾いた…」
ぐしっ…(※髪を掻き上げる音)
そして何よりデカかった。
「うぅむ…最近暖かくなったからなぁ…」
何とも言い難い表情で絶命したオークを持ち上げた。
彼女の視線は山から見下ろせる町に注がれていた、その足は視線の先は進んで行った。
「はぁ…去年こんな強さの奴居なかった気がするんだが…ね…師匠に一応言っておくか」
彼女はオーク、と呼んだ怪物の足を引き摺りながらも背負い軽々と舗装されていない山を歩いていた、むしろ、オークの重さよりも別の事に思考が巡っているようだった。
町から帰ってきた彼女は山に再び登り竹籠を小脇に抱えたまま、地面に埋められた石で出来た、道を通り奥に見える平屋の一軒家に歩を進めた。
「帰りましたー」
彼女の視界の先にはまたしても不思議な格好をした男が家先で動物と戯れていた。
「お帰り、怪我はないか」
「師匠…私もう成人した立派な大人だって…」
家先で師匠と呼ばれる人物に子供扱いされ少し拗ねている彼女は何処か嬉しそうに師匠から頭を撫でられた。
「冗談、お疲れヴァラック、ご飯は確保出来たか」
「…あっ師匠肉忘れた」
師匠と呼ばれた人物、ガルン…彼も彼女と似た服装をしていた…いや、師匠から察するに彼女…ヴァラックが師匠の服装に似ているのだろうか。
「ハハハハ、よぉーし、今日は町で食うか」
「すまん師匠…!」
彼はまずデカかった、悠に先程のオーク程上背がある。
そして筋肉質な体で肌は灰色と言う一風変わった色であった。
「おおっと…リスちゃん…どんぐりはここまでだ、飯行って来るからな」
「早く行こう師匠ー」
服装は彼女と似ているが、
上裸…しかし、尋常ではない肉体をしていた。
脚は上半身の倍はあるんじゃないかと言う程長く、普通の人とは異なる体型。
文字に起こすと、奇形に思える肉体だがある意味神がかったバランスの肉体だった。
髪はオールバックの黒髪、そして彼女と同じ様なマスクをつけていた。
…改めて考えると師匠デカすぎるよな…、まぁいいやと思いながら、私は縁側にドッカリと座り込み動物と戯れる。
「その前に材木の切り分けだけ済ませてくるから待ってろ」
「はいよ、師匠…おぉ〜ウサチャン…ほれ山菜のお裾分けだ」
「おとと…」
ギチチチチチチィィッ…(※切り倒されていた木を掴む音)
ズンズンズン…
ガルンは庭に置かれていた太さ2m程度の木を掴み少し離れた材木加工のギロチンの様な道具に載せ、ゆっくりと…
ギチチチチチチチチチチチチ!!!
ミシャッッ!
その刃を圧した、それは少しの抵抗力もなく押し切られ、ささくれの一つもない綺麗な断面で輪切りにされた。
数個の木の輪切りを量産し、木の大きさが半分ほどになった所で、半分残った木をドーム状の竈へ入れた。
「よし…木炭は明日作るとして…」
「師匠ー、木ぃー薪にしとくー!」
「よぃっしょ…ふー…おお、助かる!」
ゴソ…
「さて…と、これだけ焚くか」
ガルンはヴァラックの言葉に返事を返した、ガルンは唯一身につけている(※前述通り上裸の為)マトモな服のズボンのポケットから、何かを取り出した…。
お香の様な小壺とキラキラ光る石を取り出した、巨大なガルンの手の上にお香を乗せ、器用に人差し指と親指で蓋を摘み、お香の中が空洞である事が露見した。
そして一緒に出した石を…
ギッ…ゴリッ…パァンッ!
「…あれ、マッチ…マッチ…」
「師匠〜、ささっさとそれ撒いちゃって行こうよ」
ひょこっ
粉々に砕き、お香の中に綺麗に注ぎ込みポケットから見つけ出したマッチ…と呼ばれる平たいスティック状の木の板が纏められた様な物を取り出した。
そしてその板を指で器用に半分に折った…すると折れた板と板の間から火花弾けた。
ボ…パチ…バチチ、ぼっ!
瞬く間に火花は火へと変わり、オレンジ色の炎が薄暗い炉の中で揺らめき、そのマッチと呼称した不思議な道具を砕いた石が入ったお香中に放り込んだ。
すると瞬く間に煙が立ち上り、炉の中に広がり、放り込んだ木にも散布された。
「相変わらず《魔法道具》ってのは不思議だな…」
「確かになヴァラック、仕組みは俺にも分からないが、多用しない手はないだろう」
《魔法道具》主にエルフの森で発明された、日用品。
道具に、魔力を込めるだけで使える、便利な機能が搭載された道具の総称。
先ほど使ったのは、数日だけ物体の状態を維持し続ける簡易保存の香炉『簡易保存魔法』が内蔵されている。
「まぁ…俺には魔力がないからな、一々石使わないと駄目なのは面倒だが…仕方ない」
「魔力石もそんなに安くないが、必要経費でしょ」
「そうなんだが…」
あのキラキラした石は魔力という魔法を使う上で必要なエネルギーが含有されている特殊な合金石。
因みに、砕かなくても問題なく使えるが、砕くと持続性は無くなるが、より魔力石の魔力放出する面積が広くなり、多く放出され綺麗に出し切る事が出来るという、謂わばライフハックだ。
「んー…私もそのマッチ買おうかな…火起こし機と迷ってて…」
「マッチは折るだけだが…嵩張るし、消耗品だからな、まぁ懐と相談しとけ」
マッチ、それは折るだけでスティック状の板の中の粉末状の可燃性物質が、折った時の摩擦や衝撃で発熱、直ぐに発火を起こし、周りの木の板が持続性を高めさせる道具。
遥か昔のとある偉い人が摩擦による原理を証し、職人が形にし、受け継がれ現代まで伝わっている、かなり歴史が深い道具。
「さて…そろそろ行くか」
「腹減った…昼は草食って寝てたからなぁ」
「お前はパンダか」
ぼそっ
「パン…?」
「なんでもない」
師匠はたまに変な事を言う…変わったお人だ…。
2人はまるで親子の様に山を降りた、2人の間には楽しげな会話が浮かんでいた。
ヴァラックは山での変化を話し、ガルンはそれを静かに聞く。
血こそ繋がっていないが、私は何処か遠く…しっかりと血縁のようなモノを感じていた。
「ゴブリンの数が減っているきが…(血は繋がってないけど…本当の親の様に思っている)」
「それで、オークと熊を間違えて…(まぁ…本当の名前も知らないんだけど)」
これはそんな主人公、
ヴァラックが歩む…いびつで美しい世界の物語りである。
「あー…財布忘れた」
「ああもう今日は私出すからいいよ」
「…すまん」
「なに食うかなぁ(…なんて、な)」
何処か遠くで何かの音が重く鳴り響く…
ォォォォオオオオオオオオォォォォ…!!!
こんばんは!
第1話をご覧頂きまして本当にありがとうございます!
2025/06/22 にイラストの挿入をやめました、気になった方はお手数ですが『あとがき』から飛んでみてください!
〇ヴァラック
https://47325.mitemin.net/i972666/
〇ガルン
https://47325.mitemin.net/i972667/
ブックマークの少なさとか考えた時に、シンプルに万人受けしなかった以外だと、1話の見辛さにあるのかなと思ったので変更しました!
目指せ書籍化!!うぉ-!