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中途半端な沼男  作者: 有機
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第02話 ショッピング

 休日だけあり、商店街は大勢の人で賑わっていた。

まずはコインランドリーに寄って、汚れ物を洗っておきたい。


 しかし、この感覚はなんだろう。

既に裸も見ているというのに、下着を手にしている今の方がドキドキしてしまう。

なんていうか、『悪い事をしている感』が半端ないからなのか?

仕方ないじゃないか、サイズを調べておかないと買う時に困るんだから。

というか、今から下着も買いに行くのか……

あまり気乗りはしないな、と思った。


 服のタグを片っ端から写真にとり、洗濯物をランドリーにぶち込む。

幸い周りには誰もいないが、衣服を片っ端から写真に収める姿は、男の自分だったら通報されていてもおかしくはない。

 余談だが、この時洗った服が若干傷んだ事もあり、後に洗濯ネットとかオシャレ着とか乾燥NGとか色々な洗い方があることを知ることになる。

女っ気のない大学生には少し高いハードルだったな。これは。


 まずは何から買おうか。効率と心の安寧を求めるならば最初は下着からいこう。

心臓に悪い下着選びと夏休みの宿題は最初にやる。掃除は上から、衣類は中からとも言うではないか。

いや、俺も聞いたことないけどもさ。そんな言葉。


 よし!と決意して、近くの靴屋に寄った。

効率的には足元からでも一緒だし。決してへたれたわけではない。――多分。


 店内はオシャレで落ち着いた雰囲気だった。

自分たちはファッションに自信がありますと顔に書いたような男性店員が2名程店内を闊歩(かっぽ)している。

そこら変の量販店で二束三文で購入したスニーカーを履いている俺としては、泣いて土下座をしながら後ずさりで店を出たくなったがそうはいかない。

 こんなに沢山の靴があるけど、どんな靴がいいんだろう?

皆は何を持って良い靴と悪い靴を決めているんだろう。悪い靴と決められた靴が可哀想じゃないか。

みんなは少数派にも優しくなるべきだ!と悪い靴に感情移入していても仕方がないので調べた。

ネットで良い靴を調べると、「ソール」とか「シャンク」とかいう呪文が出てきた。

なるほど、ソールやシャンクがフィットしていればベターなのか。

と、一人で納得しているところに声をかけるヤツがいた。

「何かお探しですか?」

『アパレル業界といえばこの台詞』みたいな業界必修スキルみたいなのが飛んできた。

業界の人はこれを覚えないと生きていけないと聞く。

このお兄さんも例に漏れず習得済みらしい。噂は本当だと確信した。

「すみません。ソールとシャンクがフィットなやつお願いします」

お兄さんは笑みを浮かべながら『何言ってんだこいつ』みたいな雰囲気を出した。

俺は死にたくなった。

「外歩きに使えそうな靴を探してます。あと、殺してください」

お兄さんはドン引きした。


 結果、ソールもシャンクもわからなかったけど、良さそうな靴は買えた。

危なく、歩くのも大変そうな(かかと)のサンダルを勧められたけど常識人の俺はしっかりと断ることができた。

ちょっとオシャレで結構高い革靴っぽいのを買った。

 ところで、女性の靴ってなんであんなにかかとが高いものが多いのだろう。

従兄弟の沙耶ちゃんのおじさんが『うちの子は背伸びばっかりして』と言っていたが、沙耶ちゃんもこういう靴を履くために小さい頃から鍛えていたのだろうか。だとしたら、俺はこの辺りから既にオシャレ人として出遅れていたことになる。恐るべし、女の子。



 そんな現実逃避をしながら歩いてランジェリーショップに着いた。

ランジェリーショップって言葉は年頃の男子大学生には口にするのも恥ずかしい気がした。

下着屋だと急に江戸時代感が出るのに。いや、出ないけどさ。

そもそも、下着だけで店舗を持てるとは本当に女性の下着は奥が深い。

そんな中に、今は中身だけとはいえ男の自分が入って良いのだろうか。いや、良い筈がない。

と、帰ろうとするが実際問題として下着をつけていないのは非常に良くない。

風紀がどうとかじゃなく、痛い。

男だった時は知らなかったが、衣服が擦れると痛いんだよこれが。

走ったりとか論外だった。千切れて飛んでいくかと思ったわ。何がとは言わないけどさ。

多分、標準くらいだと思うんだけども、それでこれなら会う女性全員に『いつもお疲れ様です』と言いたい気分になった。言わないけど。セクハラになるから。

 そんな事情もあり、店員に声をかけることにした。

大丈夫、今俺は女性の外見。何もやましい事などないので堂々と話しかければいい。


「すみませぇん」

見事に裏返った。


「はぁい」

そんな俺にも可愛い女性店員は丁寧に対応してくれる。まじ天使。

「適当に良さそうなのください。サイズは【 】です」

怪訝な顔をされた。

この後、店員さんからサイズに関してカップではなく、アンダーとトップというのが大事だと説明があった。だって、胸のサイズって言ったらカップ数じゃん。男ならみんなそう思うよ。

だったらグラビアとかもアンダーとトップとかで書いといてくれよ。恥かいちゃったじゃねえか!


 店員のお姉さま(50代くらい)の神対応により、何とかこの場を凌いだ俺はそのまま近くのトイレで着替える事にした。

上も下も痛いからね。男物のパンツもだめだったわ。


 あと、外す時より着けるときの方が実感すごくて、ちょっと泣けた。

ぐっばい男の俺。

茶化しているが、結構本気でショックだった。言葉に出来ない何かがあった。


 この関門をくぐり抜けた俺に死角はない。後は適当に選んで買うだけ。余裕余裕。


 なんて思っていた時期が俺にもありました。

下着と違い、外から見える――というか、見せるために買うんだよね。当然だけど。

ローライズって何よ。何であんなにお尻が心もとないのさ。上着も上着でゴテゴテからスカスカまで色々ありすぎる。しかも高い。あと、俺のセンスが絶望的にない。モデルが着てるやつも実際に着ると全然違う。マネキンもモデルももっと普通の体系にしてくれよ。

 そうして、○ニクロに敗走した。庶民の味方はここにいた。なんか無難で夏っぽい格好を適当に選んで購入した。店員さんも俺もニコニコだった。やっぱり想像と少し違うイメージになったけど、それなりに満足した。自分が庶民だという事実を叩きつけられた感じはするけど悔いはないね。


 買い物を全て終え、トイレで着替え。ロッカーに乾いた洗濯物と荷物をぶち込む。

ついでにネットで調べながら化粧もやってみた。意外と化粧がうまくて自分でもびびった。だいぶ可愛くなったんじゃないかこれ。自分だと変化がめちゃくちゃわかる。化粧ってすごいな。


 そんな感じに非常に疲れ果てたのでお昼にしようとした。もちろん、ファミレス。ドリアとかカタツムリで有名なあのお店だ。

リーズナブルで、安心感がある。


 入店した時、店内に見知った顔を見つけた。

俺はいつもの癖でそいつの目の前に座った。

主人公の性格が作者もまだつかめてません。

ただのやばい人になってきた気がします。

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